2009年4月30日木曜日

FOMC声明発表

本日、FOMCが終了し、声明が発表されました。予想通りFF金利は据え置きとなりました。市場は、FOMCの声明の内容を好意的に解釈した様です。以下、Federal Reserveの声明の原文と若干のコメントを追加しています。

Information received since the Federal Open Market Committee met in March indicates that the economy has continued to contract, though the pace of contraction appears to be somewhat slower.
(この冒頭のセンテンスで、“下落のベースが若干遅くなってきている“(太字部分)との表現が、前回に比べ追加された事が、市場に非常に好意的に解釈された様です。)

Household spending has shown signs of stabilizing but remains constrained by ongoing job losses, lower housing wealth, and tight credit. Weak sales prospects and difficulties in obtaining credit have led businesses to cut back on inventories, fixed investment, and staffing. Although the economic outlook has improved modestly since the March meeting, partly reflecting some easing of financial market conditions, economic activity is likely to remain weak for a time. Nonetheless, the Committee continues to anticipate that policy actions to stabilize financial markets and institutions, fiscal and monetary stimulus, and market forces will contribute to a gradual resumption of sustainable economic growth in a context of price stability.
In light of increasing economic slack here and abroad, the Committee expects that inflation will remain subdued. Moreover, the Committee sees some risk that inflation could persist for a time below rates that best foster economic growth and price stability in the longer term. In these circumstances, the Federal Reserve will employ all available tools to promote economic recovery and to preserve price stability. The Committee will maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and anticipates that economic conditions are likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period.

(最後の部分のセンテンスで、“FFレートは現状維持する。経済状況を鑑みると、FFレートは当分の期間非常に低いレベルに据え置かれる事になるだろう。”(多少表現上の関係で意訳になっています。)低金利を当面据え置く事を明示したことが、市場に好印象を与えた様です。)

As previously announced, to provide support to mortgage lending and housing markets and to improve overall conditions in private credit markets, the Federal Reserve will purchase a total of up to $1.25 trillion of agency mortgage-backed securities and up to $200 billion of agency debt by the end of the year. In addition, the Federal Reserve will buy up to $300 billion of Treasury securities by autumn. The Committee will continue to evaluate the timing and overall amounts of its purchases of securities in light of the evolving economic outlook and conditions in financial markets. The Federal Reserve is facilitating the extension of credit to households and businesses and supporting the functioning of financial markets through a range of liquidity programs. The Committee will continue to carefully monitor the size and composition of the Federal Reserve's balance sheet in light of financial and economic developments.


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米第1四半期GDP(速報・暫定値)は6.1%の下落

米商務省国勢調査局(BEA, U.S. Department of Commerce)が発表した米国第1四半期のGDPの速報値は、年間に換算して6.1%の下落のペースとなりました。2008年の第4四半期のGDP確定値は、6.3%の下落でした。

尚、BEAは今回の数値はあくまでも速報の予想値(“advance”estimate)で、更に包括的なデータを基にした暫定の予想値(“preliminary” estimate)は、2009年5月29日に発表する予定である、としています。

今回のGDPの下落の要因は、個人消費支出(personal consumption expenditures: PCE)がプラスとして部分的に寄与した他は、全てマイナスの状況でした。

元となった主なデータの分野別の動向は以下の通りです。(BEAニュースリリースの発表の項目を全て網羅していません。詳しくは、BEAのプレスリリースを参照して下さい。)

The price index for gross domestic purchases: 1.0%下落(第4四半期は3.9%下落)食品と燃料費を除いたprice indexは、1.4%上昇(同1.2%上昇)

Real personal consumption expenditures (実消費者支出): 2.2%上昇(同4.3%下落)

Real nonresidential fixed investment: 37.9%下落(同21.7%下落)

Real exports of goods and services: 30%下落(同23.6%下落)

Real federal government consumption expenditures and gross investment: 4.0%下落 (同7.0%上昇)

The real change in private inventories: 2.79%減少

(BEA プレスリリースからの引用は以上です。)

今回の発表された6.1%の下落は、市場予想よりも悪いものでした。しかし、市場は消費者支出が増加した事、在庫が減少していることに焦点が集まり、今回の数値を非常に好意的に解釈した模様です。


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2009年4月29日水曜日

米財務省、クライスラー債権者との最終交渉大詰めを迎える

オバマ政権の設定したクライスラー救済期限まで後三日となりました。

本日のNew York Timesの記事によると、米財務省はクライスラーの最大の債権者と暫定的な合意案を詰めている状況にあるとしています。もしも、債権者との合意が得られれば、バンクラプシー(破産)申請を回避できるかもしれないとのことです。

Reutersもほぼ同様の内容の記事を掲載しています。こちらもお勧めです。
Chrysler lenders and Treasury set deal framework: sources

以下、New York Timesの記事の内容を要約したものです。
Tentative Deal Set on Chrysler Debt to Avert Bankruptcy (New York Times)

クライスラーは、Citigroup, JPMorgan Chase, ヘッジファンドによる約69億ドルの担保付きの借入金があります。今回の提案は、その全ての借金を、20億ドルの現金と交換し、債務を解消する案とのと事です。

米財務省は、クライスラーの担保付き債券の約70%を保有する最大の債権者(企業)に対して最新の提案を行いました。提案受け入れには、ほとんど全ての債権者の承認が必要です。ヘッジファンド等、一部の債権者にとって受け入れる事は難しい可能性があり、提案受け入れを拒否する場合もあり得るとしています。

また、関係者によると、この提案が債権者から受け入れられたとしても、クライスラーはバンクラプシー申請の可能性が依然としてあるとしています。

この案が合意となった場合、債権者は借入額面1ドルについて28セントを受けとることになります。これは、この債券が市場で取引されている現在の価格にプレミアムがつくことになります。(要は、現在の市場価格に比べてプレミアムが上乗せされている。(価格が高い))財務省は、従来額面1ドルにつき22から25セントを見込んでいました。

以上、簡単ではありますが、クライスラー関係のアップデートです。

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2009年4月28日火曜日

GM再建計画アップデート

GMが再建計画(原文では、Viability Plan)のアップデート発表する記者会見をCEOのHenderson氏が行いました。

今回のアップデートの主な内容としては、ポンティアック・ブランドを遅くとも2010年中に廃止(終了)することを発表、また、債権者に対して、額面1000ドルの債券・手形に対して225の普通株式と交換する提案を発表しました。ニュースリリースによると、今回の提案の目的は以下の通りです。

- 現在一般市場にある債券の残高は270億ドルあり、これを普通株式と交換する
- 株式交換が首尾よく行われた場合、債権者、米財務省、そしてVEBAからの負債総額が最低で440億削減できることとなる
- 債権者は、今回の株式交換提案が無事完了した場合、GMの10%を保有する事となる。
- 当該交換は、VEBAの条件変更と財務省からの負債の交換条件に依存するが最低で200億ドルの負債削減となる。
- 交換提案が実行されない場合は、バンクラプシー救済を選択する見込み

尚、最後の項目については、プレスリリースの中で、以下の様な記述があります。

In the event that GM does not receive prior to June 1, 2009 enough tenders of notes to
consummate the exchange offers, GM currently expects to seek relief under the U.S. Bankruptcy
Code. GM is considering its alternatives in seeking bankruptcy relief in consultation with the U.S.
Treasury, GM’s largest lender. If GM seeks bankruptcy relief, noteholders may receive
consideration that is less than what is being offered in the exchange offers and it is possible that
such holders may receive no consideration at all for their notes.

(要約)6月1日までに十分な債券の交換提案が応じられない場合は、US バンクラプシー・コードによる救済を求める事となる見込みである。米財務省と相談しながら、バンクラプシー救済を求める中での代案を検討する事になる。もし、GMがバンクラプシー・リリーフ(要はChapter 11申請後のフォローアップ・アクション)を選択した場合、債権者は今回提案の株式交換の条件よりも悪い(低い)条件を受けとることとなるかもしれない。さらに、その様な債権者は、保有する債券に対して全く考慮されない条件を受けとる可能性もある。

(かなり強い表現だと思います。)

GMは米国内の年間の乗用車販売台数が1000万台で損益分岐点(break-even)となることを元に、今回の計画を作成しているとのことです。

GMプレスリリース


以下に、今回プレスブリーフィングでのHenderson氏のプレゼンテーションとその後の質疑応答のビデオのリンクを添付します。全部で約1時間弱です。冒頭のヘンダーソン氏のプレゼンテーションは約10分程度なので時間がないかたは、最初の部分だけご覧になられることをお勧めします。質疑応答はかなり時間を割いていますが、いろいろ興味深いやり取りがあります。私の感想としては、ヘンダーソン氏は質問の受け答えが良くできているな、一部記者の質問は不安まじりの少し感情的なものもあったりして、今回のプレスブリーフィングの場の雰囲気が良く分かると思いました。ご興味のあるかたは、是非ご覧になってみて下さい。



(お知らせ)週末から、体調を大きく崩してしまいました。パソコンに向かう時間もほとんど取れない状態です。また、今週からもう一つのブログ(ウォーレン・バフェット ウォッチ)の更新に力を入れる事を考えているため、本ブログの更新は不定期となります。特に、当分の間、本日の米国市場のエントリーは簡略、あるいは、割愛させていただくかもしれません。いつもご覧になって下さっている読者の皆様、申し訳ありません。

誠に勝手ながら諸事情、ご了解下さいます様、よろしくお願いいたします。


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2009年4月24日金曜日

4月23日の米国市場


<主要インデックスの終値>

DOW: 7,957.06 +70.49 (+0.89%)
Nasdaq: 1,652.21 +6.09 (+0.37%)
S&P500: 851.92 +8.37 (+0.99%)

今日は朝から午後にかけては前日比でマイナスとなっていましたが、その後上下に比較的大きく変動したものの最終的には前日よりも上昇して終了しました。

<本日の主なニュース>

本日発表された先週の失業保険申請件数は、2万7千上昇し、64万件でした。添付の記事によると、この数字は高いものの3月の終わりに記録した過去26年半で最悪の67万4千件よりも低いため、経済の悪化の傾向が収まりつつあると解釈しているアナリストもいる様です。
U.S. jobless claims rise, home sales fall

3月の中古住宅の販売は、季節要因を考慮した年換算で457万件の販売ペースでした。これは、下方修正した2月の471万台のペースから比べて3%の下落です。また、2008年3月の492万台のペースに比べて7.1%下落しています。発表したNAR(National Association of Realtors)は、初めて家を購入する人が増えている事に焦点を当て、市場が安定しつつあると言った見方を示しています。尚、今回の販売件数のうち45%はフォークロジャー関連の販売によるものとの事です。(これってもの凄い状況だと思います。)
March Existing-Home Sales Slip but First-Time Buyers Rise (NAR press release)

USPが発表した四半期の結果は、4億100万ドル、EPS40centsの利益でした。一時的な出費を除いた場合のEPSは52centsでアナリストの予想56centsを下回りました。先々の収益見込みに対しても慎重な姿勢を示しています。
Global slump hurts UPS profit, shares fall

市場終了後に、AmEx, Amazon, Microsoft等が決算を発表しました。AmExは大幅な減益ながら、アナリストの予想よりは良い結果でした。

AmEx earnings beat expectations, shares rise

Amazonの結果は増益でアナリスト予想を上回る好決算でした。

Amazon beats Q1 sales, profit estimates, shares up

Microsoftの結果は、32%の減益、今後の見込みに着いても慎重な見方を示しましたが、発表後のアフターアワーズでは上昇となっています。コスト削減とWindows7の開発が日程通り順調に進んでいると語った事が好材料とされた様です。

Microsoft cuts costs, says Windows 7 on track

<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)かなり上下の変動がありましたが、最終的にはCiti 1.54%, MS 2.14%下落。WFC 10.51%, BAC 6.78%, JPM 4.11%, GS 1.93%上昇しました。

(小売り)ほとんどが下落しています。下げ幅はそれ程大きくはありません。

(住宅関連)Lennarが8.78%の上昇、他の主要な株は上昇と下落に分かれていますが、それ程変動の幅は大きくありません。(多くは1%未満)

(テクノロジー)  Apple 3.2%上昇、昨日大幅に上昇したBroadcomは今日も3.27%の上昇で好調でした。Microsoftは日中は0.75%の上昇で、発表後のアフターアワーズで更に3%以上上昇しています。

<まとめ・コメント>

今日は上下に変動があり方向性があまりはっきりしませんでしたが、最終的には上昇となりました。発表された中古住宅販売結果、しかも2月を下方修正した上で、そこから下落、フォークロジャー関連の販売の割合が高い内容でした。また、UPSの大幅減益の決算等、悪材料もありましたが、大きく下落する事なく、逆に上昇して終了しました。これは6週連続で上昇しているモーメンタム、市場センチメントを非常に良く表していると思います。大幅減益だったとしても、アナリストの予想を上回れば上昇、下回ったとしても株価、市場への影響は限定的な動きなのが先週から今週にかけての市場の反応の特徴だと思います。

個人的にはすごく危ういものを感じますが、一方で、明らかに非常に悪いニュースがない限り、このまま乗り切ってしまう勢いもでてきています。こうなってくると、マクロの視点では、決算発表結果よりも、ストレステストの結果、そして、ChryslerとGMがChapter 11申請となるか否かが短期的な市場の動向に大きな影響を与える要因が更に高まってきている気がします。

Chryslerについては、オバマ政権が設定した期限まで後1週間となりました。今の時点では、まだどうなるかはっきりしませんが、土壇場の激しい交渉が水面下で行われている様です。

今日の夕方にNew York Timesが、財務省は、 ChrylerにChapter 11の申請を準備する様に指示したとの報道があります。この記事によると、バンクラプシーを申請させた上で、Fiatとの提携を完了させる計画の様です。元の政府の提案は、1ケ月以内にFiatとの提携を完了する事、それができなければ、 バンクラプシー申請のシナリオでしたが、多少、変更となった様です。このNewYork Timesの記事は非常に詳しく書いてありお勧めです。

U.S. Is Said to Push Chrysler to Prepare for Chapter 11

明日は、政府がストレステストの結果の一部を対象の銀行に提示する予定となっています。また、オバマ大統領が主要クレジットカード会社の経営者とホワイトハウスでミーティングを行う予定です。これらのニュースがどの程度明日の市場に影響があるかわかりませんが、どちらも重要なイベントだと思います。


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2009年4月23日木曜日

4月22日の米国市場


<主要インデックスの終値>

DOW: 7,886.57 -82.99 (-1.04%%)
Nasdaq: 1,646.12 +2.27 (+0.14%)
S&P500: 843.55 -6.53 (-0.77%)

今日は、市場開始前にWells FargoとMorgan Stanley等の決算発表があり、市場開始前の取引では両社の株は大幅に下がっていました。市場開始後も下落で始まりましたが、その後、Wells Fargoは一時は$20を超える大幅な上昇、MSも下げ幅を縮小し、それ以外の主要ファイナンスもかなり上昇していました。発表されたAT&Tの決算結果が減益だったもののアナリストの予想以上でした。また、iPhoneの売り上げが好調だったとされ、市場終了後に決算発表予定のAppleも好決算の期待が高まり、また、他のテクノロジー株の動向にも好影響を与えていました。しかし、終了までの最後の1時間で、AppleのMacの売り上げが前四半期よりも低いとの見込みであることが、一部で報道された事等から、テクノロジーセクターは下落、全体の市場も下落に転じて、DOWとS&P 500は結果的には前日比で下落、Nasdaqはほぼ変わらずで終了しました。

<本日の主なニュース>

Morgan Stanleyの第1四半期の結果は、5億7800万ドル、一株あたり57セントの損失でした。アナリストの予想平均は、一株あたり9セントの損失を見込んでおり、予想よりも悪い結果でした。決算発表時に配当を一株あたり5セント、80%減額することを併せて発表しました。
Morgan Stanley posts loss, slashes dividend

AT&Tが発表した四半期の結果は、売り上げは0.6%減り305億7000万ドルでアナリストの予想310億6000万ドルを下回ったものの、利益は31億3000万ドル、EPS53セントでアナリスト予想の48セントを上回りました。第1四半期に160万台のiPhoneがアクティベイトされたとのことです。新規顧客の携帯の月々の売り上げの内、iPhone向けが75%になっている様で、一部のアナリストからは、AT&TのiPhoneのエクスクルーシブの契約終了に対する懸念がでてきている様です。(以下添付の記事をご参照下さい。)
AT&T profit boosted by iPhone, video, Internet

Boeingの第1四半期の利益は6億1000万ドル、EPS86セントでした。昨年の同期の12億1000万ドル、EPS$1.62に比べると、大幅な減益となりました。また、2009年の収益見込みを引き下げ、$4.70から$5.00の間と発表しましたが、アナリストの予想$4.61よりも高かった事等から、株価は本日1.77%上昇しました。
Boeing profit narrows as economy hits orders

市場終了後にAppleが決算を発表しました。結果は、12億1000万ドル、EPS$1.33の利益でした。アナリスト予想は、EPS$1.09を上回りました。iPhoneの出荷は、379万台でアナリストの予想の330万台を上回りました。iPodの出荷は、1101万台、Macは222万台の出荷でした。(iPodは予想よりも約100万台も多く、Macは予想通り。尚、Macは今回前四半期に比べ出荷減となりました。)
Apple profit beats expectations on iPhones, iPods

EBayの発表した四半期の結果は、純利益、売り上げ、利益率とも下落しましたが、アナリストの予想を上回ったため、本日日中に3.43%上昇に加えて、アフターアワーズでさらに7%近い上昇となっています。
EBay profit, sales down but beats Street view

<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)MS 8.97%, BAC 5.71%, WFC 3.35%, JPM 1.94%下落しています。C 0.31%, GS 0.11%の若干の上昇です。

(小売り)Wal-Mart 1.75%, Best Buy 0.60%下落となりましたが、それ以外は上昇しているところが多いです。

(住宅関連)ほとんどが上昇しています。日中は、大きく上昇していたのですが、最終的には数%程度の上昇のところがほとんどです。

(テクノロジー)  上昇と下落に分かれています。上昇で目立ったのは、BRCM 10.19%, STX 7.20%, TXN 3.16%上昇等です。Broadcomについては、昨日Emulexに対する買収提案の際に大きく下落した反動と思われます。

<まとめ・コメント>

今日の朝発表されたWells Fargoの決算はほぼ事前発表通りで、特に驚く様な材料はありませんでした。クレジットロスに関しては、46億ドルを計上、228億ドルをクレジットロス用に備えていると発表しました。Morgan Stanleyに関しては、アナリストの予想以上に悪い決算で、昨日市場終了後にCapital Oneが発表した結果も、クレジットロスが急速に増えており、ファイナンスセクターの今後については、予断を許さない状況だと解釈していました。しかし、市場開始後は私個人の予想とは裏腹にファイナンスセクターは大幅な上昇となりました。Capital Oneは昨日のアフターアワーズでは、かなり下がっていましたが、本日の日中は前日比で上昇となっており、個人的には納得できず、また、市場があまりにも楽天的に推移している様に思いました。結果的には、ファイナンシャルは、ほとんどが反転下落で終了しました。ある意味、これはある程度好ましい調整的な動きだったと思います。

政府がストレステストの一部の結果を対象の金融企業に対して、今週の金曜日に明らかにする予定との報道がありました。また、今回のストレステストにおいて、TCE(Tangible Common Equity)の割合が重要な基準点として扱われると一部の報道がありました。主要なファイナンス企業の第1四半期の決算がほぼ出そろいつつあり、ファイナンスセクター関連の焦点はストレステストに集まってきています。

AT&Tの決算結果は予想よりも良く、また、AppleのiPhoneが大きく事業に貢献したとの内容から、AT&Tの決算結果は
Appleはもとより、テクノロジーセクター全体に好影響を及ぼした様です。今日のTIは大きく上昇しましたが、恐らく、その影響と思われますが、反応があまりにも飛躍しすぎていると思っています。携帯電話の中でスマートプォンが非常に好調な一方で、既存の携帯電話はシェアを失っており、TIは既存の携帯の半導体では高いシェアを持っていますが、スマートフォンでは後手に回っており、苦戦中です。と言う事で、BroadcomやMarvellが好調なのは分かりますが、TIが今回の決算結果と発表した最新の収益見通しから見た場合、決算発表後に上昇するのは納得できません。(納得できない動きを短期的には常にするのが株式市場の傾向だと理解はしています。特にテクノロジーセクターの株に関しては、そうです。)

市場終了後に発表されたAppleの決算はアナリスト予想を上回る好結果でした。これは、本当に素晴らしい結果だと思います。AT&Tとのエクスクルーシブの契約は来年終了予定なので、契約期間終了後どうなるのかに市場の注目が集まってきています。(AT&Tの不安材料、他のキャリアのアップサイド)Appleの決算発表の速報をみたのですが、どうも、カンファレンスコールにおいて、AppleはAT&Tとの関係に満足していると語った様です。これは、AT&Tには非常に好材料だと思います。

ここまでの決算結果は、減益、売り上げ減を発表する企業が多いながら、アナリスト予想は上回るところが多く、市場としては大きく崩れずに堅調に推移していると思います。ここ数日、一部企業ではアナリスト予想を下回る結果を発表したところもありますが、市場全体への影響はほとんどなく、株価自体もここ数週間のレベルでみた場合、悪影響はほとんどない様なところが目立ちます。(e.g. Capital One, Morgan Stanley他)

「アナリスト予想よりも良い、あるいは悪くない」=「最悪期は脱した」との解釈がある様に思います。また、市場は5週連続で上昇しており、その上昇モーメンタムは依然として強いものがあります。このままモーメンタムを維持できるのか否かが短周期的な着目点だと思います。個人的には、遅かれ早かれ、市場のトレンドは転換すると考えています。短中期的にはやはりストレステストの結果、政府の対応が非常に大きなイベントだと思います。


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2009年4月22日水曜日

4月21日の米国市場


<主要インデックスの終値>

DOW: 7,969.56 +127.83 (+1.63%)
Nasdaq: 1,643.85 +35.64 (+2.22%)
S&P500: 850.08 +17.69 (+2.13%)

今日は市場開始直後は、下落して始まりましたが、上院でガイトナー氏がほとんどの銀行は、今後の損失に対して十分な蓄えがあるとの見方を示したことが銀行株に対する政府の新たな加入に対する懸念を払拭し、ファイナンスセクターは全面高となり、市場全体の上昇の原動力となりました。
Wall St gains as banks lifted by Geithner remarks

<本日の主なニュース>

今日の一番のニュースはなんと言っても財務長官のガイトナー氏の以下の発言でした。

"Currently, the vast majority of banks have more capital than they need to be considered well capitalized by their regulators," Geithner said, a comment that gave stocks a lift in morning trading.

「現時点でほとんどの(大多数の)銀行は、行政から見て必要とされる資本よりも多くの資本を持っている。」

と語った事から、ストレステストの結果がでた際に、一部の銀行に対して政府から追加の資金調達を求められる可能性に対する市場の懸念を払拭した様な形になりました。本日市場開始直後は、ほとんどの銀行株はそれなりに大きく下がっていたのですが、この発言の報道をきっかけに逆に大幅な上昇に転じました。また、市場全体のセンチメントも大きく向上させる事になった様です。
Geithner says most banks have adequate capital

建設機器製造大手のCatapillarの第1四半期の決算結果は、一株あたり19セントの赤字でした。Catapillarが赤字になったのは、過去17年間で初めての事です。売り上げは、前四半期に比べて30%減でしたが、グロスマージンは上昇でした。レイオフの費用を除いた場合の EPSはアナリスト予想を上回りました。本決算発表直後は、株価は一旦6%以上の下落でしたが、ガイトナー氏の発言後の市場全体の上昇の流れに乗り、上昇して終了しています。
UPDATE 5-CAT reports first loss since '92, cuts forecast

United Technologiesも28%の減益となる四半期を発表しましたが、Catapillarと同様に順調に上昇しました。
United Technologies' quarterly profit falls 28%

市場終了後にクレジットカード会社のCapital Oneが四半期の決算を発表しました。結果は、1億7610万ドル、一株あたり45セントの赤字でした。回収不可能と思われるチャージオフのレートは、第4四半期の7.8%から8.39%に上昇しました。アナリストの予想を下回りました。株価は、本日12.48%の大幅な上昇でしたが、発表後のアフターアワーズでは、10%程度下落しています。
Capital One posts first-quarter loss, shares fall

Yahooの発表した第1四半期の結果は、1180万ドルの利益、EPS8セントでした。アナリストの予想と合致しています。株価は発表後のアフターアワーズで数%程度上昇しています。
Yahoo to cut 5 percent of jobs

<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)USB 20.89%, WFC 10.65%, C 10.20%, JPM 9.57%, BAC 9.23%, GS 4.65%, MS 4.80%の大幅な上昇となりました。

(小売り)順調に上昇しています。宝飾品製造販売のTiffanyが10%以上上昇しています。理由となるそれらしいニュースは今の時点では(私は)分かりません。

(住宅関連)順調に上昇しています。

(テクノロジー)  全般的に順調に上昇しています。尚、昨日決算発表したTIは本日は1.21%の下落、Emulexの買収提案を発表したBroadcomも5.83%の下落でした。尚、両社の株とも日中はもっと下がっていたのですが、市場の上昇トレンドの影響もあり下げ幅を縮小して終了しています。

<まとめ・コメント>

建築機器製造大手のCatapillarは17年ぶりに赤字となる四半期決算を発表、景気の影響の厳しさを物語る結果でした。上に書いた様に発表直後は、株価は大きく下落していたのですが、最終的には上昇して終了しています。本日のガイトナー長官の発言の市場への影響は非常に大きかったと言えると思います。この発言で、ストレステストに対する結果への不安もかなり和らいできている様です。Roubini氏やその他のエコノミスト達が、ストレステストはもはやストレステストとしての意味をなさない、と既に語っていましたが、今日のガイトナー長官の発言からも、ストレステストに恐らくほとんどの企業が合格し、早急な資金調達の対応を迫られる可能性も少なくなってきていると思われます。

一方で、IMFが本日発表した金融機関の損失予想は、前回の予想から大きく上昇となり、また、ヨーロッパやアジアの損失も今回から加えてきています。このIMFの予想とガイトナー長官の現時点での金融機関の状況の見方には大きな差があります。ガイトナー長官の発言の裏には、金融機関への不安を高めない様にする配慮があるとしか思えません。市場としても、本日はIMFの発表はほとんど材料視せず、ガイトナー長官の発言に焦点を集め、上昇となった様な格好です。実際問題として、ストレステストの懸念が和らげば短期的にはファイナンスは買い、との動きになるのはある程度理解できます。しかし、中長期的な視点で見た場合は、現時点で新規にロングポジションを構築する事は、明らかに避けるべきセクターだと思います。

昨日少し書きましたが、IBMとTIの市場終了後の決算発表とそのアフターアワーズでの反応は相反するものでした。しかし、今日の株価は、逆にIBMが上昇、多くのテクノロジー株が上昇する中でTIは下落となりました。TIの決算結果はアナリストの予想以上ではしたが、第1四半期の結果、第2四半期の収益予想、今後の見込み等を考慮した場合、株価はオーバーバリューであり、同様の条件で見た場合、IBMは逆にアンダーバリュー気味であると思っています。今日の両社の株価の動きに関しては、比較的妥当だと思います。また、Oracleに関しても、今日は上昇となっていますが、こちらも昨日の時点では、Sun買収のリスクをクローズアップする動きがありましたが、今日は逆に好意的に評価する見方がでてきた事を示していると思います。

CitiとBank of Americaの決算結果で注目が集まりつつあるクレジットロスについては、本日市場終了後に発表したCapital One Financialでも、チャージオフの急速な上昇となっている等、市場全体としての方向性を示唆していると思います。明日の朝にWells Fargoが正式に決算を発表します。好決算である事は既に明らかではありますが、細かい内容に市場の注目は集まっていると思います。住宅ローン関連の事業が非常に好調だったことが、収益向上の主な要因とCFO Atkins氏が既に明らかにしていますが、クレジットロスがどの程度なのか、また、それ以外にも不安要因があるのか、等の視点で決算結果に焦点が当てられてくる様に想像しています。

ガイトナー氏の発言で、市場センチメントは再び急速に良くなっていますが、中長期の視点で見た場合はとても楽観視できる様な状況ではないと思います。後は、これからの企業の決算発表の内容も中短期の市場の動向には大きな影響を与えると思います。取りあえずは、明日のWellsの結果に私も注目したいと思います。


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2009年4月21日火曜日

4月20日の米国市場



<主要インデックスの終値>

DOW: 7,841.73 -289.60 (-3.56%)
Nasdaq: 1,608.21 -64.86 (-3.88%)
S&P500: 832.39 -37.21 (-4.28%)

本日は、朝に発表されたBank of Americaの決算結果から、金融機関のクレジット損失が大きく上昇している事、今後更に増える事への懸念等が高まり、市場のセンチメントにも大きく影響を与え、市場全体が大幅に下落しました。また、6週連続で大幅に上昇してきた事への調整的な反落も(当然)あると思います。S&P 500は、4%を上回る大幅な下落となりました。

Wall Street sinks on banks' woes

<本日の主なニュース>

Bank of Americaの第1四半期の結果は、純利益が28億1000万ドル、EPS44セントでした。昨年第1四半期は、10億2000万ドル、EPS23セントで利益は約倍増となりました。この結果は、China Construction Bankの株式の売却益19億ドルとMerrill Lynchのストラクチャード・ノートの22億ドルの収益を含んでいます。一時的な損益(と出費等)のアイテムを除いた場合、利益は一株あたり17セントでアナリスト予想平均の4セントを上回りました。

優先株の配当支払い前の場合、純利益は42億5000万ドルで、その収益の86%はMerrillの事業からのものとの事です。市場から注目を最も集めたのは、クレジットカードの事業で17億7000万ドルの損失となりました。

以下に添付のReutersの記事からのCEOのKen Lewis氏のコメントを引用します。

"Make no doubt about it, credit is bad, and we believe credit is going to get worse," Lewis said.

と語り、今後クレジットの損失が悪化しており、今後更に悪化することは確実(間違えない)との見方を示しました。

Bank of America net up, shares sink on bad loans


OracleがSunを買収することを発表しました。これについては、一つ前のエントリーを参照して下さい。


市場終了後にIBMとTIが四半期の決算を発表しました。

IBMの四半期の結果は、売り上げは217億1000万ドルで前年第1四半期に比べて11%減少しましたが、利益は1%減少に留まる23億ドルでした。また、一株あたりの利益は上昇し、EPS $1.70でした。グロスマージンは43.4%に上昇しています。IBMは、2009年の収益見込みについては一株あたり最低$9.20の見込みを維持しています。IBMの株価は発表後のアフターアワーズで2%程度下落して取引されています。

IBM revenue falls more than expected

TIが発表した四半期の結果は、1700万ドル、EPS1セントの黒字でした。昨年の第1四半期は、6億6200万ドル、EPS49セントの黒字だったので大幅な減益です。また、売り上げは36%減少し、20億9000万ドルでした。第2四半期の収益の見込みは、EPSで1セントから5セントの間を見込んでいることを明らかにしました。

尚、先々の見込みに関しては、CFOのMarch氏が以下の様に語り、非常に慎重な見方をしています。

"Frankly, when we look out at the macro economic environment it remains unclear what direction the economy wants to go in," he said, noting that there were no signs of improvement in markets such as automotive or industrial.

アフターアワーズで、TIの株は4%前後の上昇となりました。

TI Q1 revenue, Q2 outlook top estimates

<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)BAC 24.34%, C 19.45%, WFC 16.09%, JPM 10.73%の大幅な下落でした。GS 4.64%, MS 5.92%で相対的には下落幅は小さめでした。

(小売り)下落しています。特に目立ったのは、Targetで6.27%の下落でした。但し、Targetは先週かなり上昇したので、調整的な側面も大きいかと思います。

(住宅関連)先週大幅に上昇しましたが、今日は下落となりました。Lennarが18.63%で突出して下がっています。それ以外は10%以下のそれなりの下落でした。

(テクノロジー)  Sunが36.77%の大幅な上昇となりました。


<まとめ・コメント>

注目を集めていたBank of Americaの結果はアナリストの予想を上回る収益となりましたが、クレジット・ロスが急速に増えている事、本業の銀行業務の利益はそれ程でていないこと等、今後の収益に対して不安材料が残る内容でした。今後クレジットロスが更に増加する事はほぼ確実と見られており、それによって政府からの資金調達を余儀なくされる懸念が再び持ち上がってきている模様です。BACの株はこの6週間で4倍近く上がっており、今回の発表であれば今日の大幅下落はある意味致し方ない様に思います。

尚、クレジットロスに関しては、先週発表したCitiも同様の傾向にあり、こちらも本日大幅に下落しました。失業率の増加に伴い、クレジットカードや住宅ローンの返済に窮する消費者の数は増加の一途をたどっており、破綻件数の増加による市場への影響、金融機関の決算への影響は今後更に大きくなることはほぼ確実だと思います。

OracleのSun買収発表は衝撃的なものでした。Sunの株価は大幅な上昇となりました。買収側のOracleは下落していますが、私は別エントリーにも少し書きましたが、この2社の組み合わせはかなり強力で長期的には非常に良い組み合わせだと思っています。Ellison氏の手腕に期待しています。(多分、Ellison氏はハイレベルの方向性を示して、適切な人材に戦略を実行させると思います。)ある意味、この2社の組み合わせは、業界に対して非常に大きな変化を与える事になることと思っています。

市場終了後に発表されたIBMとTIの決算は両社とも予想通り(アナリスト予想ではなく)良いものでした。個人的には、特にIBMの結果は素晴らしいと思っています。売り上げは少し下がったものの、マージンは上昇し、収益はほぼ横ばいです。2009年の収益見込みをほぼ達成すると仮定した場合、P/Eは10倍程度で、アンダーバリュー気味です。一方のTIは、アナリスト予想の赤字に反しEPS1セントの黒字だった事、第2四半期の見込みもアナリスト予想以上だった事から、アフターアワーズで株価が上昇しました。はっきり言って、大幅な減益、売り上げ減、EPS1セントで今四半期もレンジの上限でEPS10セントの予想では、P/Eで見た場合、完全にオーバーバリューになっています。バリュエーションと今日のアフターアワーズの株価の反応を見た場合、IBMとTIはまったく対照的です。この様な非論理的なバリュエーションはハイテク株では日常的なので、個人的には冷めた目で見ています。

今日は大幅な下落となりましたが、ここ数週間の大幅な上昇はある意味ちょっと行き過ぎの傾向だったので、この程度の下落は調整的なものだと思います。重要な点は、市場のトレンドが転換を迎えつつあるのかどうなのかだと思っています。引き続き企業決算と市場の反応に注目して行きたいと思います。

明日はCaterpillarが市場開始前に決算を発表します。また、クレジットカード大手のCapital Oneが市場終了後に発表予定です。これらの2社のどちらかが思いの外悪い決算を発表すると市場への影響も大きいと思います。明日は、それ以外にも多くの会社が決算を発表する予定です。ここまでは、アナリスト予想よりも良い、予想した程悪くない、と言った結果が主でしたが、その状況が続くのか、それとも値がティプサプライズがあるのか、市場も注目しているところだと思います。


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OracleがSunを買収することを発表

IBMによる買収交渉が決裂し、追い込まれていたSunでしたが、本日、Oracleが買収するとの電撃的な発表を行いました。買収価格は、一株あたり$9.50で総額約70億6000万ドルとのことです。買収価格はIBMの提示価格の$9.40よりも高い価格でした。Sunの取締役会は全会一致で、Oracleによる買収提案の受け入れに賛成したとの事です。

Oracleプレスリリース:Oracle Buys Sun

関連記事:Oracle to buy Sun Micro, enters hardware market

(以下、私のコメントを書きます。)

この発表には驚きました。業界内でもかなり衝撃を受けているところがあると思います。特に、IBMとHPにとっては、OracleとSunの組み合わせは将来、非常に強力な競合相手となる可能性がでてきました。Sunにとっては、買収額だけではなく、これ以上の買収先はいないのではと思います。正直、買収額等の条件だけでなく他の面も考慮しても、IBMよりも良い組み合わせだと思います。(IBMとの組み合わせも(IBMにとって)良かったと思います。)

Oracleは買収の経験も豊富で、しかも、大型の買収を成功させてきた実績があります。今回、Sunを買収する事により、ソフトウェアだけでなくハードウェアの事業も手に入れる事になり、ソフト専業からハードも販売する事業展開として大きな転換となることを意味します。Oracleにとっては、今まで手がけた買収以上に今後の方向性、事業戦略に大きな影響を与え、また、大きなリスクも伴う判断となりました。SunはIBMとの買収交渉を独占契約(エクスクルーシブ)でやっていたので、交渉破談後から買収についての話し合いを始めたと考えられます。会社にとってこれほどの重要な戦略的判断を、非常に短い期間に行う事ができたのは、創業者でCEOのLarry Ellison氏の決断だったのだと想像しています。恐らく、IBMと破談になった後、McNealy氏がEllison氏に話を持って行ったのだと思っています。(これは、想像ですが、ほぼ間違えないでしょう。)

私の予想では、現Sun CEO Jonathan Schwartz氏は遅かれ早かれ、会社を去る事になると思います。(長くても一年程度、もっと早い可能性が高いと思います。)McNealy氏が会社に残って、Ellison氏と組んで仕事をするのか、どうなのか、非常に興味深いところです。この二人の組み合わせはかなり強力だと思います。いずれにせよ、今後の成功の鍵はEllison氏が握っていると思います。Ellison氏がどの様に、OracleとSunを組み合わせて料理するのか大変興味深いところです。

IBMが買収した場合は、SunのハイエンドCPUのSparcの事業を終結させ、自社のPowerのプラットフォームにSunのハイエンド・サーバー事業を移行させる事により、Powerの事業とサーバー事業の両方を強化する事が大きな目的・利点でその様な計画だったと想像していました。Oracleが買収した場合、Sparcの事業をどうするのか今の時点では不明ですが、恐らくSparc事業はOracleとの組み合わせでも、長期的には取りやめることになると思います。その場合の代替えのCPUは、当然IBMのものではなく、恐らく(ほぼ間違えなく)Intelのものとなると思います。

Oracle/SunがIntelとくっついた場合、Intelにとって現時点でのIntelのサーバーCPUの主要顧客のHPとDellと同程度、あるいはそれ以上の重要度の高い顧客となると考えられます。つまり、HPとDellにとっては、Intelの戦略顧客の立場、競合の立場として大きなプレッシャーをうける事になると思います。また、IBMにとっては、IntelのサーバーCPUのシェアの増加、競合の激化が予想され、サーバー事業全体はもちろんですが、サーバーCPUのPowerの事業に取っては、非常に強い競合の脅威が生まれる事になります。また、IntelのサーバーCPU事業で戦略的な協力関係にあるMicrosoftにとって、IntelのOS/Softwareのパートナーのプライオリティ、方向性が大きく変わる危険性、Oracle/Sunとの競合の激化等が考えられ、非常に衝撃的なニュースだと思います。

今回のOracleのSun買収発表は、業界構造に大きな影響を与える非常に重大な案件と思います。これにより、更なる業界再編成の動きが活発になることも予想されます。

あまりにも、衝撃を受けたので、ついつい自分の感想を長々と書いてしまいました。皆さんのご参考にもなれば良いのですが、、、


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2009年4月19日日曜日

Citi売り上げ倍増(!?)の理由

昨日、Citigroupの第1四半期の決算のハイライトをエントリーしましたが、CFO Kelly氏がカンファレンスコールで、売り上げが2008年第1四半期と比べてほぼ倍増となったと語っています。Citiのプレスリリースでも"Key Items"の一番最初に売り上げについて以下の記述があります。(ここでは99%アップ)

- Total revenues of $24.8 billion were up 99% compared to the first quarter of 2008, with sequential improvement across all regions.

”売り上げがほぼ倍増”と聞くと、何かもの凄く状況が改善している様に思えなくもありません。この大きな売り上げの差(伸び)はCitiの売り上げを評価損の計上後で比較している事が大きな要因です。この事について説明したスライドが以下のものです。


08年第1四半期に評価損の差し引き計上分で131億ドル($13.1B)あります。この評価差し引き分を除いた場合の売り上げとしては、08年第1四半期は255億ドル、09年第1四半期は269億ドルです。約5.5%の増加です。(添付スライドのRevenue ex-marksの部分参照)この売り上げの比較のスライドを見て気がついた点としては、今回の2009年の第1四半期の評価損の差し引き分が非常に少なくなっている事です。恐らくMark to marketのアカウンティングの変更による(評価損の計上を押さえられる)恩恵がこの部分でも多少なりとも表れています。(この恩恵の具体的な数字を見たのですが、このエントリーを書いている時点ですぐにでてこないので、取りあえず具体的な金額は差し控えます。)

今回の決算では、企業向けの投資銀行業務(Institutional client groupのinvestment banking)が前年同期赤字から、今回は28.3億ドルの黒字で非常に好調だった様です。一方で、消費者クレジットの損失は大幅に増え、今後も損失は増加する事はほぼ確実です。また、業務用不動産(Commercial Real Estate)の損失も今後増加する事は免れないと思います。アカウンティングの変更により保有資産の評価損の計上額は(帳簿上)押さえられますが、市場価格が今後継続して下がって行けば、潜在的な損失は増加します。依然として、Citiの今後についてはかなり厳しい状況である事は変わりがないと思います。

何となく”売り上げ倍増”だったとエントリーに書いておいて、補足がないのは十分ではないかと思い追加でエントリーしました。


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Citi第1四半期決算ハイライト

Citigroupの第1四半期決算の概要をCiti発表の資料、Seeking AlphaのCitiカンファレンスコールのトランスクリプト等を元に簡単にハイライトとして、まとめます。尚、カンファレンスコールには、Citi CEO Pandit氏は参加せず、新CFO Ned Kelly氏が執り行ないました。Pandit氏に何かあったのでしょうか?カンファレンスコールにはCEOは参加するのが通例で、特に今回の様に市場の注目が大きく集まっている中での不参加は何か理由があると考えられます。尚、カンファレンスコールのQ&Aのセクションで、Mike Mayo氏がPandit氏欠席について質問していますが、不参加の理由の明確な答えは得られていません。


売り上げは248億ドル、昨年に比べて2倍近い増加。優先株向けの配当支払い前の純利益として、16億ドルの黒字となりました。

第1四半期黒字はCEO Pandit氏の命題でもあったので、何とか対面を保った様です。一株あたりの収益の計算は次のスライドで簡単に示しています。第1四半期優先株の配当支払いは13億ドルでした。カンファレンスコールで、Citi 新CFO Ned Kelly氏は、既に発表している優先株の普通株への転換が終了するまで、Citiは優先株配当の支払いを続けると語っています。(まあ、当たり前の話ですが、、、)全体としての収益はかなり改善した結果となっていますが、本業の銀行業務の状況は依然として厳しい状況が続いています。特に、クレジット・ロスが大きく増加しているのが目立ちます。

クレジットコストは、44億ドルの大幅な増加(76%増加)となり、総額103億ドルのクレジット・ロス。増加の主な部分は、クレジットカードによるもの。内訳としては、ネット・クレジットロス73億ドル、27億ドルのロスのリザーブへの追加、そして、その他3億3200万ドルでした。


EPSの計算には、昨年第1四半期に発行した転換優先株125億ドルの転換価格のリセットの影響が含まれています。この一時的な要因を除いた場合、EPSは通常、希薄後とも黒字であるとのことです。(Kelly氏)













このスライドは、北米の消費者のクレジット・ロスのトレンドを表しています。ここで記載しているクレジット・ロスは、クレジットカードと第1抵当権設定の住宅ローンのものです。このグラフを見ると、クレジットロスが失業率の上昇と共に大きく増加している事が良くわかります。失業率が今後も高まって行く事はほぼ確実視されており、そのことは、今後、クレジットロスが更に増加する事を示しています。つまり、今後の収益見込みについてはとても楽観視できる様な状況ではないとも言えます。また、このエントリーでは取り上げていませんが、アカウンティング変更(Mark to market)により、バランスシート等にはプラスの影響がありますが、潜在的なロスは今後も増えて行く可能性が高くなっています。






Citiのカンファレンスコールには、Mike Mayo氏、Meredith Whitney女史も参加しています。添付のトランスクリプトのリンクから、Q&Aのセクションでのやり取り等も読む事ができます。ご興味のある方は是非ご覧になってみて下さい。

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2009年4月18日土曜日

4月17日の米国市場



<主要インデックスの終値>

DOW: 8,131.33 +5.90 (+0.07%)
Nasdaq: 1,673.07 +2.63 (+0.16%)
S&P500: 869.60 +4.30 (+0.50%)

今日は、多少上下しましたが、最終的にはDOWとNasdaqはほぼ変わらず、S&Pは0.5%の若干の上昇でした。週を通してみた場合は、今週は各主要インデックスは、2%前後の上昇となり、好調でした。これで、6週続けての上昇となりました。この6週間の上昇幅は、1938年7月以来で、最も高いものだとのことです。Dow ends best 6 weeks since 1938 on econ hopes



<本日の主なニュース>

本日発表されたミシガン大学消費者景況指数(MCSI)の4月の速報値は、3月の57.3から61.9に上昇しました。これは、9月の70.3以降で最も高い値です。
U.S. consumer sentiment highest since September

GEの発表した四半期の結果は、利益が昨年同期に比べ36%減少した27億4000万ドル、EPSで26セントでした。アナリストの収益予想はEPS21セントで、予想を上回りました。GEの株価は本日0.98%の上昇でした。
GE profit drops on finance, NBC but tops forecasts

Citigroupの四半期の結果は、9億6600万ドル、EPS18セントの損失でした。一時的な出費を除いた場合のReutersの見込みは、一株あたり12セントの損失で、アナリスト予想のEPS30セントの損失よりも良いものでした。また、優先株の影響を考慮しない場合、四半期の収益は15億9000万ドルで、同様の条件で見た場合、2007年の第3四半期以来で初めての黒字だとの事です。収益の結果には、アカウンティング・ルール変更による25億ドルの増価が含まれています。

Citigroupは、525億ドルの優先株式を普通株式への転換(交換)の計画を、ストレステストが完了して、その結果後に延期すると発表しました。
Citigroup results top forecasts

GMのCEO Fritz Henderson氏が、Chapter 11のバンクラプシーの申請の可能性が高くなっていると語りました。実際の表現としては、以下のものです。
"Given what we need to accomplish, I certainly felt a couple weeks ago that it was more probable that we would need to go through a bankruptcy process," Henderson told reporters on a conference call. "That continues today."
(我々が達成しなければならないことを考慮すると、バンクラプシーの過程を経て行う必要となる可能性は、数週間前よりも確実に高くなっていると感じている。)
GM readies plans for bankruptcy it hopes to avoid

<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)Citiは8.98%の下落、GSも0.49%の若干の下落となりました。それ以外の主要なところは、MS 4.3%, WFC 4.16%, BAC 2.51%, JPM 0.06%上昇しています。

(小売り)昨日と似た様なパターンで、Wal-Martが下落、一方Targetは上昇となりました。

(住宅関連)今日も順調に上昇しています。

(テクノロジー)  上昇と下落に分かれていますが、主要なところは下落しているところが多い様に思いました。決算発表を行ったGoogleは0.90%の上昇でほぼ変わらず、Apple, Dellが上昇する一方で、IBM, Intel, HPは下落でした。Nokiaの発表の影響かMotorolaが9.02%の大幅な上昇となっています。

<まとめ・コメント>

四半期の決算結果に関しては、GE, Google, Citiともアナリストの予想よりも良い結果でした。ただし、結果が予想よりも良くなるだろうとの見込みは既に株価に織り込み済みだったと言えるかと思います。GEとGoogleに関しては、株価は結果としてほぼ変わらないレベルで、ほぼ予想(アナリストが公開している収益予想ではなく、市場の直前の予想)通りの結果だった様です。Citiに関しては、優先株の配当支払等を除いた場合は、2007年第3四半期以来の黒字だったとのことで、Pandit氏が言っていた黒字の見込みを実現した様な発表です。ただし、アカウンティングの変更等による決算上の好材料も大きく、また、実質的な事業としては、消費者向けのクレジット等の損失の増加や、それが今後高まる事、ストレステストの結果による影響等を考えると、今日発表されたレベルの内容であれば、売られるのは妥当だと思います。

興味深いのは、来週月曜日発表予定のBACは今日も上昇した事です。Citiの結果がそこそこ良かったので、BACはそれ以上に良いのでは、との期待が高まっているのが今日の上昇の理由の様に思います。後、Wells Fargoも今日は上昇となりました。これも、正式な決算発表は来週で、良い結果が発表される事はほぼ確実なものの、実際にその発表が行われる事による期待からなのではと思います。

ここまでの決算結果は、主要企業の発表内容が「予想よりも良い(悪くなかった)」ところが多いものの、アナリストの予想よりは悪くないながら、実質的には大幅な減益となっているところが多く、また、不安材料も少なからずあります。ミシガン大学の消費者景況指数に関しても、最近の「状況は改善している」との期待が込められた認識を裏付ける数値だった事は、市場のセンチメントを維持させることに貢献したと思っています。

GMのHenderson氏が破産法申請の可能性が高まっていると記者団に述べた事は、ある意味、その方向性について一般社会に徐々に認識させて行こうと言うコミニュケーションの戦略だと思います。少し前までは、このGM破綻の可能性は市場に大きな影響を与えてきましたが、今日の報道でも市場の影響はほとんどなかったと言えるかと思います。これは、現時点では、GM破綻の可能性を織り込みながらも市場が大きく上昇していることを示しています。

週を通した場合、今週も上昇となり、これで6週間連続の上昇、しかも、上昇幅は過去70年間以上で最大とのことです。ここまでは、思いの外、市場は安定していますが、来週以降どうなるのか、注目しています。


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ちょっと細かい話なのですが、参考までに個人的な意見を以下に書きます。

月曜日は、Bank of America、市場終了後にTIが結果を発表する予定です。TIの結果はほぼ事前予想通り赤字、ただし、Nokiaと同様に「大幅な下落のペースは鈍化しており、市場は安定しつつある」と言ったコメントがあるだろうと、予測しています。この表現はNokiaでは非常に好感されましたが、2匹目のどじょうはいるのか、個人的には注目しています。今日のMotorolaの上昇の理由もこれだと思っていますが、Motorolaの発表は再来週なので、そこまで持つのかな、と思っています。もしかすると、隠されたポジティブサプライズがあり、それが一部リークしている可能性もあります。そうでないととても説明できないくらいのここのところの上昇を見せています。

2009年4月17日金曜日

4月16日の米国市場


<主要インデックスの終値>

DOW: 8,125.43 +95.81 (+1.19%)
Nasdaq: 1,670.44 +43.64 (+2.68%)
S&P500: 865.30 +13.24 (+1.55%)

本日は、朝から昼過ぎにかけては小康状態を保っていましたが、午後2時頃から上昇トレンドに転じ、前日比上昇で終了しました。本日は昨日とは対照的に、Nasdaqが他のインデックスよりも好調でした。テクノロジー関連の株が全般的に好調だった事が主な要因です。テクノロジー企業の決算は予想よりも良いのでは、との期待が高まっている様です。

Wall Street flies on tech bets and JPMorgan

<本日の主なニュース>

商務省が発表した、3月の住宅着工件数は10.8%減少し季節要因を考慮した年間のペースで51万戸となりました。これは、1959年からで史上2番目に悪い数字です。アナリストの予想は年換算54万戸でした。労働省が発表した、先週の失業保険申請件数は、増加の予想に反して53000件減少し、610000件となりました。また、(はっきり言って60万件を超えているのは依然として非常に高いレベルにあると思います。)
U.S. recession drags but recovery hope grows

全米第2位のショッピングモール所有企業のGeneral Growth PropertiesがChapter 11を申請しました。
General Growth files historic real estate bankruptcy

携帯電話世界一位のNokiaが決算を発表しました。結果は、初めての四半期の赤字決算で、税引き前で1200万ユーロ(1580万ドル)の損失でした。(追記:四半期決算赤字は、税引き前のことです。添付のReutersの記事を元に書きました。尚、第1四半期の税金収入は1600万ユーロで税引後は黒字です。Nokia決算発表資料10ページを参照して下さい。親会社の株主に属する収益としては、1億2200万ユーロ(1億6100万ドル)でした。)

決算発表の際に注目を集めたのは、CEO Olli-Pekka Kallasvuo氏の以下の発言でした。(以下に添付のReutersの記事から引用)

"Although the trajectory of end-demand remains unclear, we believe the market is no longer falling in an uncontrolled manner,"

"I am encouraged by the signs of stabilization we saw at the end of the first quarter,"

個人的には、急激な需要の低下、更に先がまったく見えない状態:最悪の状況から、脱したと言う程度の様に思えます。しかし、市場は、需要の状況が安定してきたと言う好意的に解釈している様です。さらに、追加の発言として

"Nevertheless, it is too early to conclude that the end-user demand has touched bottom," Kallasvuo added. "The global economy as a whole remains weak, and we are planning our business accordingly."

エンドユーザーの需要が底を打ったと結論づけるには時期尚早で、世界経済全体は依然として弱く、我々はその状況に則して事業を行う計画である、と付け加えています。

決算発表をうけて、Nokiaの株価は9.4%の大幅に上昇しました。

Nokia shares rally after calming forecast

JPMorganの四半期の結果は、15億2000万ドルの純利益、EPS40セントで、アナリストの予想平均の32セントを上回りました。また、決算発表のカンファレンスコールで、CEO Jamie Dimon氏は、TARPの返済は明日にでもできると、発言しています。JPMの株価は、本日2.09%の上昇でした。

JPMorgan shares up after profit tops view

市場終了後にGoogleが四半期の決算を発表しました。第1四半期の純利益は、14億ドル、EPS$4.49でした。特別な出費を除いた場合、EPS$5.16でアナリストの予想の$4.93を上回りました。発表直後のアフターアワーズでは、株価は5%以上上昇し、$400を軽く超えていたのですが、現時点では、少し上昇のレベルに留まっています。カンファレンスコールで、CFOが先の見通しを明らかにしなかったこと、利益が高い検索ワードを使用した広告の需要の伸びが落ちてきている事、他、今後の事業展開等についての不安も多少ある様です。

Google handily beats first-quarter profit estimates

<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)BAC (-0.96%), WFC (-0.51%)若干下落した他は、上昇しています。決算を明日に控えたCitiは1.01%, JPM 2.09%, MS 2.22%の上昇でした。

(小売り)Wal-Martが0.99%の下落でしたが、他は、Target 3.40%上昇を始め、順調に上昇しているところが多いです。

(住宅関連)今日も順調に上昇しています。

(テクノロジー)  上昇しているところが多いです。Nokiaの影響か、通信系は今日も順調でした。また、Dellが6.67%上昇したのも目を引きました。

<まとめ・コメント>

本日発表された、経済の指標等は予想よりも悪くなく、また、下落のペースが落ちてきている、あるいは、非常に悪い数値から比べ上昇している等、最近発表された他の指標の傾向と似たパターンでした。また、NokiaのCEOもそのパターンに則した様な発言をしたからか、株価は初の四半期赤字(注:税引き前、上の追記を参照して下さい。)の発表にも関わらず大幅な上昇となりました。Fedも上記パターンを市場の状況が安定化、改善している兆候と強調しており、市場もそれに素直に反応している様な状況が続いています。個人的にはとても楽観できる様な状況ではないと思っています。

General Growth PropertyのChapter 11申請は、今後、事業用不動産の破綻が増加する事を端的に示した大きなニュースだと思っています。しかし、市場の反応はそれ程でもありませんでした。ファイナンス・セクターを取り巻く事業環境は今後更に悪化して行く事は必至だと思います。

本日発表されたJPMの結果は、アナリスト予想よりも良い、ほぼ自分の予想通りの結果でした。株価の反応も過剰に上昇しなかったので、ほぼ最新の市場・投資家の予想の範囲だったと思います。Googleの決算に関しては、個人的にはほぼ予想の範囲でしたが、発表後のアフターアワーズで大きく上昇しているのを見て、市場のセンチメントが行き過ぎなのでは、と心配していましたが、その後、過剰な上昇は収まったので、ある意味では妥当、冷静なレベルの反応の様に思います。

個人的にびっくりしている(あきれている)のは、Nokiaの決算結果からか、通信系の株の多くが本日大きく上昇した事です。今日のNokiaの発表はそれほどポジティブなものではないと思います。通信系が大きく売り込まれているのであれば、本日の様な株価の動きは理解できますが、ここ最近既に大きく上昇している上で、本日更に上がっているのはちょっと行き過ぎと思っています。来週、TI等が決算発表を行うので、その結果と株価の動向に注目しています。

明日はいよいよCitiが決算を発表します。市場の注目も大きく集まっているなかで、どの様な内容になるのか注目しています。どんなことをしても黒字に持って行くと思っています。多分市場も黒字自体は既に見込んでいて、決算発表の内容に注目が集まると予想しています。3月の初めからここまで、連続して大きく上昇してきましたが、このモーメンタムを維持して更に上に引き上げるためには、何か新たなサプライズがないと厳しいと思います。例えば、CitiとBACが予想を大幅に上回る黒字発表等です。その様なものがない場合は、そろそろ燃料切れになりそうに思っています。あるいは、ネガティブなサプライズによって、一気に市場の方向性が反転する可能性もでてきていると思います。

ストレステストに関しては、政府としても何としても市場に対してネガティブな影響を与えない様に、必死に策を練っていると思います。ある意味で、非常に皮肉な状況にあるとも言えます。短期的には、やはり明日のCitiと来週月曜日のBACの決算と市場の反応に注目しています。


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2009年4月16日木曜日

4月15日の米国市場


<主要インデックスの終値>

DOW: 8,029.62 +109.44 (+1.38%)
Nasdaq: 1,626.80 +1.08 (+0.07%)
S&P500: 852.06 +10.56 (+1.25%)

本日は、多少なりとも上下に変動はあったものの、終了前1時間で一気に上昇して、DOWとS&P 500は、1.3%前後の上昇、Nasdaqは前日比でほぼ変わらないところまで戻しました。Fedが発表したベージュブックで、経済活動の低下のペースが落ちてきていると述べられていた事、製造のセクターに対して、ボトムが近いと言った表現が入っていた事等が好感された様です。

Fed says economic weakness slowing

<本日の主なニュース>

また、アメリカン・エクスプレスが、将来の破綻の確率のトレンドを示すクレジットカードの支払いが30日以上滞っている率が5.3%から5.1% に減少したことから、12%近い上昇となりました。尚、3月の破綻のレートは、8.6%から8.8%に上昇しています。他のクレジットカードの事業も、ほとんどが3月の破綻レートは上昇しています。
WRAPUP 1-US credit card defaults rise, but outlook improves

ホワイトハウスのスポークスマンRobert Gibbs氏が、銀行に対して行われているストレステストの結果は5月の初めに好評する予定である事を明らかにしました。
U.S. to release bank stress data in May

FiatのCEO Sergio Marchionne氏は、Chrislerとの業務提携に関して組合が譲歩しない限り、交渉の場から離れる事も辞さないとのコメントを行いました。政府から与えられている期限は4月末なので、交渉は山場を迎えつつある様です。
Chrysler-Fiat talks intensify, Saturn deal eyed

American Airlineの親会社AMRが四半期の決算を発表しました。結果は、3億7500万ドルの赤字、一株あたり$1.35の損失でした。しかし、結果はアナリストの予想よりは良かったため、株価は本日18.72%の大幅な上昇となりました。
AMR reports loss on economy; stock up

<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)CitiとMorgan Stanleyが下落した他は、主要なところは上昇しています。FITB 12.22%, USB 8.10% WFC 7.01%, JPM 6.06%, GS 5.28%, BAC 3.47%上昇しています。

(小売り)上昇と下落に分かれていますが、変動の幅はそれ程大きくありません。

(住宅関連)大幅に上昇している(10%前後)ところが多いです。

(テクノロジー)  下落しているところが多いですが、通信系のところは上昇しているところも多く目にしました。但し、TIとBroadcomは下落です。 決算発表が明日のGoogleは2.87%の上昇でした。

<まとめ・コメント>

本日の上昇の要因として、Fedのベージュブックで、経済活動の下落のペースが落ちてきているとの表現が好感されたとの記事を多く目にしました。回復した(上昇した)わけではないのに、好意的に解釈されるところに、市場のセンチメント、景気の先行きに対しての期待が依然として強い事を暗示している様に思います。

Fedのベージュブックはざっと冒頭の部分を読んだだけですが、個人的にはこれが市場に好材料となることに非常に興味を覚えました。クレジットカードの会社毎の破綻率が発表されました。これに関しても破綻率が上昇しており、高まる失業率とその影響を考えた場合、悪材料になるのであれば分かりますが、アメックスの30日以上の支払い遅延率が前月に比べ減っただけで、大きな好材料となっていることも、同様の印象を受けました。

昨日市場終了後に決算を発表したIntelは市場予想を上回る結果でした。株価は、午前中は4%を超えるそれなりに大幅な下落していましたが、それなりに戻して終了しています。コンピューター関連は今日は下落しているところが多かったです。一方で、テクノロジー関連では、通信系の株では上昇しているところも多く目にしました。但し、通信系の半導体の主要ベンダーのTIとBroadcomは下落しています。

いろいろ最近取沙汰されているストレステストに関しては、政府が5月初め頃に公開する予定を明らかにしました。New York Times等の記事で、結果は(意図的に)全ての銀行が合格、との話が既にリークされています。当初掲げていた大義名分は、実質的にはかなり意味を失いつつある様です。しかし、多少は個別の企業の結果も公開する様なので、多少なりとも市場への影響もありそうです。

明日は、JP Morgan、Google等が決算を発表する予定です。この2社に関しては、結果自体はそれなりに良い安定した結果を発表すると思っています。ただし、銀行系に対しては、好決算の期待が高まっているので、その期待に対してどうなのか?Googleについては、今後の収益の見通し、特に今後の事業の伸びについて注目が集まっていると思います。

今日までの時点では、市場のセンチメントは相変わらず強気を維持していますが、それが、このまま続くのか、どうかに注目しています。


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2009年4月15日水曜日

4月14日の米国市場


<主要インデックスの終値>

DOW: 7,920.18 -137.63 (-1.71%)
Nasdaq: 1,625.72 -27.59 (-1.67%)
S&P500: 841.51 -17.22 (-2.01%)

今日は、朝発表された小売店の販売結果が予想よりも低かった事、昨晩のGoldmanの四半期決算発表のカンファレンスコールでCFOが市場環境は依然として厳しいと慎重な見方を示した事等から、下落して始まり、一旦はかなり戻したものの、そこから再び下がって終了しました。

<本日の主なニュース>

政府(商務省 国勢調査局:U.S Census Bureau)が発表した米国の3月の小売店の売り上げは、前月に比べ1.1%の下落となりました。市場予測は前月に比べて上昇だったにも関わらず、予想以上に悪い結果でした。尚、小売店の販売は過去2ヶ月連続で上昇しており、米国の景気後退は底を打ったのではないかとの期待の元となっているデータの一つでしたが、今回下落となった事で、その様な期待に水を差す状況となった様です。
U.S Census Bureauプレスリリース

Retail sales show recession far from bottom

Johnson & Johnsonの四半期の結果は、35億1000万ドルの利益、EPS$1.26でした。アナリストの予想平均のEPS$1.22を上回りました。また、2009年の利益予想は、$4.45から$4.55の間の見込みを堅持しています。売り上げは7.2%減少し150億ドルでしたが、コスト削減を進めた結果、EPS同レベルを維持しています。株価は本日0.43%の上昇でした。
J&J profit beats forecast, cost cuts deliver

市場終了後、Intelが四半期の決算を発表しました。結果は、売り上げが71億ドル、EPS11centsで売り上げ、利益ともアナリストの市場予想を上回りました。Intelの株価は、本日0.19%の微増でしたが、アフターアワーズでは、現在4.5%の下落となっています。
UPDATE 1-Intel results top Street forecast

Intelの結果から、S&PとNasdaqのfutureは下落しています。
S&P, Nasdaq futures fall after Intel results

<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)E-Trade 7.47%, Citi 5.53%の上昇でした。一方、他の主要銀行は下落しています。FITB 17.05%, GS 11.56%, MS 11.97%, JPM 8.9%, BAC 8.44%, WFC 7.12%と大きく下落しています。

(小売り)下落しています。目についたところでは、Best Buyが6.87%の下落でした。

(住宅関連)Toll Brothersが2.02%下落している以外は、ほとんど上昇しています。

(テクノロジー)  下落しているところが多いですが、コンピュータと通信系のところは上昇しているところも多く目にしました。

<まとめ・コメント>

決算発表を一日早めて発表したGoldmanは、市場の予測よりも良い好決算だったにもかかわらず、本日は10%以上の下落となりました。Goldmanの株は、ここ数週間で非常に大きく上昇しており、市場予測よりも良いことは株価に織り込み済みだった事等から、発表後利益確定の売りが集中した事が一つの大きな要因と思われます。また、TARP返済のため新株発行による50億ドルの資金調達も、既存株主に取っては株の希薄化につながる事なので、売りの要因となったのではと考えています。尚、今回発行の公募価格は123ドルだったので、いきなり株価は発行価格を下回る結果となっています。

GoldmanのCFOがカンファレンスコールで、ファイナンシャル・セクターの市場状況について依然として慎重な姿勢を見せている事もGoldmanの株価、ファイナンスセクターの株価に影響を与えた様で、主な企業はCitiを除いて大きく下落しています。正直、Wells FargoやGoldmanは、元々それなりに良い結果となる可能性が高いと思っていたので、個人的には想定の範囲内でした。尚、市場はここからが正念場だと思います。木曜日にJP Morganが決算発表予定ですが、恐らくある程度良い結果を発表すると思います。今日の市場のGoldmanの結果に対する反応を見ると、驚く程良くない限り、下落のリスクが高くなってきている様に思います。その様な見方が今日のJPMの下落に反映されている気がしています。(ただし、相対的に言えば、JPM(とGS, WFC)は他のファイナンス株よりも下落リスクは低いと考えています。)

尚、注目はやはりCitiとBank of Americaの決算結果です。Citiは今週の金曜日、BACは来週です。上に書いた様にJPMはそれなりの好決算(あるいは現時点で既に公開されているアナリストの市場予想より良い結果)を発表すると思っています。しかし、Citiが黒字となるのか否か、市場の注目と期待は集まっている様です。CitiとBACの株価は連日大幅に上昇を続けてきていましたが、BACに関しては、今日は一休みの下落となったものの、Citiは今日も上昇しました。これは、Citiが黒字を発表するとの期待からだと想像しています。(アナリスト予想は赤字)

この様に個人的には、CitiとBACの決算結果が異様に高い期待に対して応えられるのか、注目しています。

本日市場終了後にIntelが四半期の決算を発表しましたが、アナリストの予想よりも良い結果だったにもかかわらず、アフターアワーズで4%以上の下落となっています。これは、ほぼ自分の予想していたシナリオに近い展開でした。(アナリスト予想を上回る結果で株価下落)

上にも書きましたが、本日発表された3月の小売店の販売結果は、最近の大幅な上昇を支える“景気は底を打った”との楽観的な見方、あるいは市場の希望的観測に水を差す結果だったと思います。その割には、今日の市場はそれ程下落しなかった、と思っています。このニュースに加え、今後、企業決算の結果が市場の期待程ではない場合、失望から再び下落のトレンドへの変わる可能性は高まってきている様に思います。


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2009年4月14日火曜日

4月13日の米国市場



<主要インデックスの終値>

DOW: 8,057.81 -25.57 (-0.32%)
Nasdaq: 1,653.31 +0.77 (+0.05%)
S&P500: 858.73 +2.17 (+0.25%)

5週連続での上昇から明けた週の初日の本日は、下落して始まりましたが、昼過ぎから上昇トレンドに転じて、DOWは若干の下落、NasdaqとS&Pは若干の上昇で終了しました。特にCitigroupとBank of Americaの株は、決算が良いのではとの期待から大幅な上昇となりました。Wells Fargo以外のファイナンス企業の株も順調で、S&Pの上昇に貢献しました。
Stocks rein in losses ahead of flurry of earnings

Citigroup, B of A rise on earnings hope

<本日の主なニュース>

12日の日曜日にNew York Timesの財務省がGMに対してバンクラプシーのファイリング(破産法申請)の準備をする様に指示を出した、との報道が他のメディアでも大きく取り上げられました。この報道を受けてGMの株価は16.18%の大幅な下落となりました。
‘Surgical’ Bankruptcy Possible for G.M.

Boeingが生産計画の削減を発表しました。出荷の減少により収益も影響を受けるとの見方から、本日株価は、5.11%下落しています。

Boeing shares drop as cuts seen hitting earnings

市場終了後にGoldman Sachsが第1四半期の決算を発表しました。収益は、16億6000万ドルの黒字で、EPS$3.39でした。Goldmanは決算発表と同時に新株を発行し50億ドルを調達する予定を併せて発表しました。この調達した資金は、TARPの返済に充てる事を意図しています。
Goldman posts $1.7 billion profit, plans $5 billion offer

アパレル・メーカーのTalbotsが四半期の決算を発表、こちらは予想よりも悪い赤字決算で、発表後のアフターアワーズで12%を超える下落となっています。ただし、本日Talbotsは16.88%の大幅な上昇でした。
UPDATE 1-Talbots' Q4 loss worse than expected, shares fall

<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)C 25%, BAC 15.39%の大幅な上昇でした。MS 6.07%, GS 4.68%, JPM 2.90%, WFC 0.31%の上昇です。

(小売り)WMT 1.72%, TGT 0.83%上昇しています。ただし、下落しているところも多く目にしました。

(住宅関連)Toll Brothersが2.02%下落している以外は、ほとんど上昇しています。

(テクノロジー)  下落しているところが多い様に思います。Yahooは7.05%の上昇、Googleも1.51%上昇しています。

<まとめ・コメント>

今日の市場の動きでの大きな着目点としては、GMのバンクラプシーの可能性が更に高まってきている中で、市場は堅調だった事です。今までのパターンだとGMの破綻の可能性が高まるたびに市場はそれなりに大きく下落していたのですが、本日はGMは16%を上回る大幅な下落となったものの市場全体への影響はほとんど感じられませんでした。今日のパターンの方が自然な動きとも言えますが、市場のセンチメントが大きく向上しており、GMバンクラプシー申請の可能性が高まっても投資家が動じなくなってきていることを示していると思います。

先週金曜日のWells Fargoの大幅黒字の見込みの発表から、CitiとBank of Americaも好決算を発表するのではとの期待から両社の株価は大幅な上昇となっています。WFCが好決算だからと言って、CitiとBofAも好決算になると決まった訳ではありませんが、予想以上に良いのではとの期待からの上昇に、空売り解消の踏み上げが加わっているための大幅な上昇となっている様に思えます。

市場終了後にGoldmanが好決算を発表しましたが、これは予想の範囲だったと思います。決算発表と同時にTARP返済の資金調達のための新株発行も発表しました。この資金調達の話は先週から報道されていました。決算が良くなければ、新株発行による資金調達も難しいので、今回の決算が良いことを暗示していたとの思います。決算発表後のGoldmanのアフターアワーズでの株価は若干下落していますが、これは決算内容がほぼ予想通り(アナリストの収益予想を今回は大幅に上回るという予想)だったことを示していると思います。

明日は、大手ではJohnson&Johnsonと市場終了後にIntelが決算を発表します。個人的には、特にIntelの決算発表に注目しています。自分としては、結果はアナリストの予想よりも良くなるだろうと思っていますが、ここ最近株価はかなり上昇しているので、アナリストの予想を上回ったとしても、下落の可能性もあります。一方で、予想以上に良い結果や今後の収益見込みが良かった場合、今の市場センチメントから更に大幅に上昇する可能性もあります。

全般的には、第1四半期決算発表ピークを前に、市場は大きく上昇してきました。明日以降が本番なので、今日は様子見の様な感じでした。市場センチメントがかなり良くなってきているので、予想以上に悪い決算発表が続かなければ、それなりに上がって行く事も考えられます。一方で、中長期的に見た場合は、アップサイドは非常に限られておりダウンサイドのリスクが高まっている様に思います。


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2009年4月13日月曜日

Paul Krugman MSNBCインタビュー

4月7日に放映されたMSNBCのThe Rachel Maddow ShowでのPaul Krugman氏とのインタビューのビデオを添付します。 



Calculated Riskの11日のエントリーでも本インタビューのYouTubeのリンクを添付していますが、ここで添付しているものは、番組のその前のくだりも入ったMSNBCのものです。番組の話題の前後関係も含まれているので、ちょっと長くなってしまいますが(それでも、添付のビデオ全部で10分弱です。)、その時の番組の雰囲気等も分かり楽しめるのではと思い、本ブログでも取り上げます。

ビデオの概要

- オバマ大統領イラク電撃訪問
- オバマ大統領のスピーチ・ハイライト
- 失業率について
- 第1四半期の企業決算について (Alcoa大幅赤字を発表)
- CEOの意識調査とレイオフの見通しについて

- New York Times/CBSが行ったアンケート結果から1月と最近の政策等の支持率の変化についての話

* 国が正しい方向に向かっているか?
1月15日:15%
4月5日:39%

オバマ氏が大統領就任前の1月の中旬の時点では、15%しかなかったが、現在は2倍以上の39%がYesと答えている。

* 経済は悪化していると考えているか?
1月15日:54%
4月5日:34%

* 銀行救済は全ての米国民の助けとなるか?
2月22日:29%
4月5日:47%

国民の考えはこの様に好転し大きく改善してきていますが、ここでKrugman氏を招いて、彼の話を聞いてみましょう。

- Paul Krugmanの発言の要旨 -

「我々は、大変な問題をいくつか抱えている。それらは、楽天的な見方によって(国民、消費者コンフィデンスが回復したとしても)なくなるものではありません。」

「今までの時点で報告された小さな(ちょっとした)出来事の一つは、IMF, International Monetary Fundがバッド・ローンの損失の予測を4兆ドルに引き上げた事です。(コメント:わざと“小さな“と言っていると思います。元の表現は、”one of the little things that’s been reported now is …”)

ご存知の通り、ついこの間まで、1兆ドル(の損失)は極端な予想だと考えられていました。」

「我々は、バブルからバブルへとよろめきながら過去20年を過ごしてきました。それが基本的な説明です(基本的にそれが物語っています。)。もしも、我々がそれを解決しないと、また再び、ふりだしに戻ります。ですから、我々は本当に規制を強化しなければなりません。」

「もしもストレス・テストの結果が、全て大丈夫だったとしたら、恐らく彼らは公開するのを延期する事に熱心ではなかったことでしょう。

一つのバージョン(案)として我々が聞いているのは、彼ら(政府)は、一般的な情報は公開するが、特定の銀行についての情報はしない、と言うものです。もしそうだとしたら、それは問題です。それは精神安定剤の様なものになってしまいます。それは、皆が懸念している事、90年代の日本の状況、ゾンビ・バンクがよろめきながら進んで行くのを保持する、ことです。

そして、アメリカのゾンビ・バンクが今行進している事を、感じる事柄が多々あります。このニュースは良いものではありません。それは、シナリオがまた少し起こりうる様にさせています。」

上記はKrugman氏の発言の一部を抜粋して、簡単に訳したものです。是非、ビデオの方をご覧になってみて下さい。特に注目のポイントは、ストレステストについて、問題がなければ政府は発表を延期はしなかっただろう。また、発表内容が一般的なもので、細かい銀行毎のテスト結果を公開しない場合は、問題だとしています。まったくその通りだと思います。

ストレステストの結果と、政府の動きに注目したいと思います。


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Wells Fargo四半期黒字決算 前倒し発表の意図

Wells Fargo CFOのAtkins氏のCNBCのインタビューを一つ前のエントリーで取りあげました。今回の決算見込みの前倒し発表の理由について、Atkins氏は、「Wachovia買収後、初めての四半期決算となり、市場に対する重要さからも、できるだけ早く発表すべきと考えたため。」との主旨の発言をしています。実際、それが理由としてはあるとは思いますが、Wells Fargoの前倒し発表の意図について、個人的な考察と見解を以下に書きます。

Wells Fargo会長のRichard Kovacevich氏は、昨年10月に行われた政府の主要銀行に対するTARPの半強制的な融資に対して、非常に批判的な態度、発言をしています。特に、3月13日のスタンフォード大学において、Kovacevich氏の意見を明確にした発言はメディアでも大きく取り上げられました。ここでは、参考としてBloombergの記事を取り上げ、その中からのKovacevich氏の発言を引用します。(添付のKovacevich氏の写真もBloombergの記事から引用しています。)

“If we were not forced to take the TARP money, we would have been able to raise private capital at that time” and not needed to cut the dividend to preserve cash, he said.

「もし我々がTARPのお金を受け取る事を強制されなければ、我々は、その時点で、プライベート・キャピタルから資金を調達する事ができていただろう」、現金を確保するために、配当を削減する必要もなかったであろう、と語りました。(コメント:TARPよりも良い条件で融資を得られる事ができた、と言う意味が含まれます。)

<ストレステストに関して>

The “stress test,” designed to determine which of the 19 largest U.S. banks need more capital, provides opportunities for short-sellers to drive down bank stocks and can hurt confidence in the system even more, he said.

上記の様な、ストレステストについて株価とコンフィデンスに対して悪影響を与えるだけだ、と否定的な発言をしています。さらには、

“We do stress tests all the time on all of our portfolios,” Kovacevich said. “We share those stress tests with our regulators. It is absolutely asinine that somebody would announce we’re going to do stress tests for banks and we’ll give you the answer in 12 weeks.”

特に、"It is absolutely asinine, ...."のくだりですが、asinineは日本語では一般的に”浅はかな”, “愚かな”です。英語での意味は、"extremely stupid or foolish"で非常に強い否定的な言葉です。それにabsolutelyまで加えて発言しているので、本当に強い否定的な姿勢を示しています。かなり強烈な発言、言葉を使用したため、この"asinine"はBloomberg他、他のメディアでも多く取り上げられました。尚、このKovacevich氏の発言をWells Fargoは謝罪、撤回する意思を示していません。

関連記事:Wells Fargo Assails TARP, Calls Stress Test ‘Asinine’ (Bloomberg)

政府は、ストレステストの結果の発表を延期しています。現在の予定では、4月末までに発表される予定です。最近の政府の姿勢を見ると、ストレステストの公開内容について、政府の姿勢に変化が見られてきています。先週の金曜日にオバマ大統領はガイトナー氏、バーナンキ氏、他、この件に関する主要な人物と打ち合わせを行っています。恐らく、発表内容をどの様にするか、結果に対して政府が行うアクションについて等が、議題となったことと思います。発表の予定を延期したり、公開内容について明言しない等を考慮すると、ストレステストの結果が良くない、少なくとも一部の企業に対してはかなりまずいものになっている様に思います。

Wells Fargoの四半期決算の正式な予定は4月の22日です。22日だとストレステストの結果発表と日にあまり差がない事が考えられるため、少しでも早く非常に良い決算結果を発表して、ストレステストとその結果、または、政府のストレステストの方針に対して、牽制する意図がある様に思います。

また、Goldmanに関しても、14日の四半期決算の際にも、TARP返済のため新規株を発行して資金を調達する予定がある、との報道がWSJを始めとしてされています。

政府は、ストレステストについての内容やコメントを控える様に各企業に要請している様です。そのため直接的には、発言を控えているものの、事業内容、ファイナンスの状況が比較的良い会社による駆け引きが活発化してきている様に思います。Wellsの今回の前倒し発表もその様な駆け引き的な意図もある様に考えています。

尚、これは私の個人的な意見です。


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2009年4月11日土曜日

Wells Fargo CFO Atkins氏とのCNBCインタビュー

(4月12日に後半の部分を書き足しています。)

Wells Fargo CFO Howard Atkins氏とCNBCがインタビューを行なっていました。現在、そのビデオを見る事ができます。インタビューのビデオを見ましたが、昨日、Wells Fargoの第1四半期の黒字見込みについてReutersの記事を引用しましたが、Atikins氏の発言の引用部分がこのインタビューと内容がかなりだぶっています。恐らく、Reutersの記事はこのインタビューでのAtkins氏の発言を元にしたものなのでは、と思います。昨日のエントリーのフォローアップとして、ビデオのリンクを添付し、インタビューのやり取りの概要を以下に書きます。尚、訳に関しては大まかなところをまとめ、要約しています。是非、ご覧になられることをお勧めします。














CNBC キャスター: なぜ四半期の収益見込みを事前に明らかにしたですか?

Howard Atkins: Wells FargoはWachoviaを昨年12月に買収しました。Wachoviaの買収は、米国の歴史の中でも最大の規模の銀行買収でした。今回が買収後の初めての四半期決算で、2社が一緒になって事業を行い、ファイナンシャルとしても合わせたものです。この取引の市場への重要性も考慮して、我々として少しでも早く市場に伝えるべきと考えました。

CNBC: この件で、何人かのアナリストと話をしました。これは、あまりにも良すぎるのではないか?と言う疑問を投げかけました。何人かのアナリストは、すこし懐疑的な反応をしていますが、多くのアナリストは、これはシンプルな話だ。一歩下がって見た場合、彼ら(Wells)は巨額の貯金額の増加を得て、住宅ローンはブームとなっている。それで大きな利益を得ている。率直に言って、考えられないくらい良い4.1%のネット(純)金利マージンをとなっている。これが基本的な理由ですか?

Atkins: この四半期に多くの良いことが起きています。ビジネス・フロー、テポジット(貯金)・フローとも良い状況です。我々は、クレジットを拡大しました。そして、おっしゃった様に、今四半期、住宅ローンは非常に良く、金額、利益率も高いです。それに加えて、我々のオペレーティング・マージンは、あなたがおっしゃった様に金利マージンは4%以上で我々が予想していたよりも良いものでした。

CNBC: 金利マージンが予想よりも高かったのはなぜですか?

Atkins: Wellsは伝統的に金利マージンは他の主要銀行と比べても最も高いあるいはそれに近いレベルにあります。Wachoviaと合わさって見た場合、我々はWachoviaのより高いコストの(高いコストがかかる)貯金が期限を迎えてきており、それは金利マージンに良いニュースとなっています。スプレッドや一般銀行業務も徐々に良くなっています。また、市場は論理的な動きを取り戻してきており、以前存在した非論理的な値付けをしていた競合が市場から撤退しているため、残った我々でその分を得られてきています。我々はクレジットを拡大しており、経済にクレジットを注ぐ様にしています。それらのことが、利益率の向上に貢献しています。

(日本時間の12日深夜に以下の部分を追加しました。)

CNBC: 人々が抱いているキー•クエスチョンとして、損失計上があります。33億ドルの損失計上は、その前の四半期と比べると大幅に減少しています。あなたは、クレジット・クオリティが向上しているため、それとも、会社を合併した時に、まとめて多くの損失計上を行ったため、もうそれ程する必要がなくなった、ということでしょうか?

Atkins: 後者の要因がより大きいです。12月に買収を完了した時、我々はその時点で既に損失計上を行いました。 Wachoviaのローン・ポートフォーリオ、特にリスクの高いローン・ポートフォーリオに関しての損失は既にピークを過ぎています。現時点では、それらに関しての損失は少なくなっています。Wachoviaの買収による損失の方のピークは既に過ぎており、それが意味する事は、我々は今、統合による効率化、売り上げのレバレッジ等、合併の利点を享受できる様になっています。

CNBC (David): 今日の株価の大幅な上昇によって、なんらかの形のエクイティ・オファーを検討されているのかどうなのか非常に興味があります。WellsのTCE(コメント:恐らくTangible common equity ratioの事を言っていると思います。)は良くなってきているものの、現時点では他社と比べると低いレベルにあります。本日の株価のパフォーマンスの上昇によって、エクイティ・オファーを検討されているでしょうか?

Atkins: 我々の注力分野は、引き続き収益を向上させる事です。収益が本当に鍵です。収益(の向上)が資本(Capital)を上昇させるための最善の方法です。それが第1四半期に起きています。ご存知の様に、数週間前に我々は配当の削減を発表しました。数週間前に発表したにもかかわらず、それは、第2四半期から全面的に直資本の向上への影響が始まります。(配当の引き下げは)四半期に10ベース・ポイント資本を引き上げることになります。収益を引き続き伸ばす事が、資本の引き上げの最善の方法だと思います。

CNBC: 住宅ローンのポートフォーリオについてですが、あなたはWachoviaのポートフォーリオで多額の損失を既に計上した、とおっしゃいました。特にカリフォルニアの動向について破綻申告の件数が再び増えており、フォークロジャーズ(抵当権執行)がこれから増えてくると予想されています。ホームエクイティ・ポートフォーリオは1290億ドルあります。あなたのそれについてのお考え(予想)はいかがでしょうか?また、現在の住宅市場全般について、また、そこでどの様なアドバンテージがあるとお考えですか?

Atkins: 恐らく我々はまだ、住宅市場全体の問題から抜け出した訳ではないと思いますが、カリフォルニアで良い兆候も実際に見られます。特にローエンド(低価格帯)の方で活発な動きがあります。多くの人が家を買っています。特に事例として、第1四半期に我々は1900億ドル相当の住宅ローン申請を得ています。その内の一定の部分は新築住宅で、リファイナンス(借り換え)だけの動きではありません。(コメント:一般に米国では、金利が下がると既存の住宅ローンを金利の低いローンに借り換える動きが活発になります。)我々は、全米で80万人以上の顧客のお手伝いをしました。多くはカリフォルニアの顧客です。この四半期に家を買う、あるいは、ローンを借り換える動きが(活発に)ありました。住宅市場の低迷の底に近づいていると望んでいます。

CNBC: 失業率が上昇している中で、Wellsは保証のない1290億ドルのホームエクイティとクレジット・ラインを抱えています。あなたは、それらの損失の急上昇とそれを損失計上しなければならないと予想されていますか?

Atkins: 失業率は高い状態が続いています。か(その状況の中で)クレジットサイクルのトップとボトムを予想する事は時期尚早だと思います。しかし、高い失業率ではありますが、ほとんどの人は依然として(職があり)働いています。実際に、ほとんどの住宅所有者は住宅ローンを期日までに支払っています。そして、住宅ローン、ホームエクイティ・ローンとも、金利はここ数ヶ月で非常に低くなっています。それも(破綻件数を抑制することに)大きな手助けとなっていくと思います。

CNBC: 先(四半期)の見通しを本日明らかにしたことは、TARPの返済をできるだけ早く行う事を意図しているのですか? その様な動きを既に行っているのですか? もし、既に行っているのでしたら、政府はなんと言っているのですか?

Atkins: 我々は、政府(から言われている事)についてコメントはしません。我々は、配当の引き下げを数週間前に発表した時、実行可能になった場合、できるだけ早くTARPの返済をしたいとの意思を示しました。我々は、TARPの高い配当(金利)を支払っています。(コメント:同じレベルの融資と比べた場合、一般に高いと決して言えないと思いますが、、、)我々はちょうど3億7200万ドルを前四半期分の配当金利を納税者のお金に対して支払いました。ですから、我々としてはできるだけ早く返済したいと考えています。しかし、我々のメインのフォーカス(主要な注力分野)は、クレジットの拡大、再びクレジットを経済・市場へのフローを起こす事、利益を上げ続ける事、会社を成長させる事、です。我々はこれら全てのことを実現する事により、経済、消費者の手助けとなるだけでなく、我々のバランスシート、資本を向上させることとなります。


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2009年4月10日金曜日

4月9日の米国市場


<主要インデックスの終値>

DOW: 8,083.38 +246.27 (+3.14%)
Nasdaq: 1,652.54 +61.88 (+3.89%)
S&P500: 856.56 +31.40 (+3.81%)

今日はWells Fargoの予想を大幅に超える第1四半期の黒字見込みの報道が市場に大きな衝撃を与え、市場全体が大幅に上昇となりました。

Wells Fargo shocks market with record profit
Wall Street sets 5th weekly gain on banks, Boeing off late

<本日の主なニュース>

日中は、市場は大幅な上昇となりましたが、決算動向で注意が必要なプロフィット・ウォーニングの発表もされています。

Boeing は、第1四半期の収益が予想よりも低くなるとプロフィット・ウォーニングを発表しました。株価は、アフターアワーズで
Boeing warns on Q1 profit, to cut plane output

Chevronは、第1四半期の収益が昨年第4四半期に比べて大幅に低くなると警告しました。
Chevron sees sharply lower Q1 profit

昨日発表になったFOMCの議事録ではインフレ懸念は示していませんでしたが、Fedはインフレに対しての対策の準備を始めるとしています。この記事もLawrence Summers氏のコメント等も引用されていて、日所に結構興味深い内容です。お勧めです。
Fed says plan now to avert inflation

Summers氏の発言としては、景気のフリーフォールは、じきに(数ヶ月程度)で終わると語ったと報道されています。
Summers says economic "free-fall" to end soon

3月の小売業の結果が発表されました。予想されていた程の落ち込みがなかったことから、消費者のコンフィデンスが回復しつつあるかもしれないとの見方もあります。
Retailers' sales offer glimmer of hope

ストレステストに関して、注目の記事があります。オバマ大統領がガイトナー長官とFDICの会長Cheila Bair女史と、ストレステストの状況と次のステップについて話し合いを金曜日に行うと報道しています。
Obama plans meeting on bank stress tests

一方で、ストレステストに対して、どの様に公開するか等についてはまだ確定していない部分も多くある様です。
No U.S. banks will close due to stress tests: source

<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)軒並み大幅な上昇となっています。BAC 35.27%, WFC 31.70%, USB 22.84%, MS 11.72%, C 12.59%上昇しました。

(小売り)Wal-Martが3月の既存店の売り上げが上昇となったと発表しましたが、市場予想を下回ったため、WMTは3.71%の下落となりました。他の小売りは、順調でした。特に目立ったのは、WSM 19.44%, TGTは今日も6.09%上昇しました。

(住宅関連)順調に上昇しています。

(テクノロジー)  全般的に順調でした。主要企業の株は他のセクターの様に突出した上昇は見られませんでした。

<まとめ・コメント>

今日は、なんと言ってもWells Fargoの四半期の大幅黒字見込みの発表に限ると思います。一つ前のエントリーで取り上げていますが、内容的にも銀行業、住宅ローン事業が順調である、とWells CFOが語った事は、大きなインパクトがあると思います。住宅販売はこれからピーク機を迎えるので、第2四半期の決算に対しても非常に期待が持てると思います。今後の収益見込みについては、22日の四半期決算発表の時点である程度は明らかになると予想されるので、注目したいと思います。

しかし、懸念材料もあります。ファイナンシャルの分野では、やはり、ストレステストの結果がどうなるか?は大きな注目です。上に添付しましたが、結果をどの程度公表するのか等、まだ決まっていない部分もある様です。これらの件も含め、明日オバマ大統領とガイトナー氏、Bair女史がミーティングを行う予定との事で、それも非常に注目だと思います。

また、決算発表前に大手石油会社のChevronやBoeingがプロフィット・ウォーニングを行った事も注意が必要だと思います。また、Wal-Martが発表した3月の販売結果も期待程上昇していなかった事も気になります。Wal-Martは低価格を売りにしているので、現在の様な景気動向の中では小売業の中でも良いポジションにあると見られています。それだけに、今回の結果は失望を呼んだ様です。

来週からいよいよ、企業決算の発表が本格化します。今日の大幅な上昇は、景気回復の期待がかなりこもっていると思われますが、他の主要企業の四半期の決算結果がその期待を裏付けるものとなるか否かが大きな分かれ目になる様に思います。

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2009年4月9日木曜日

Wells Fargo 第1四半期は30億ドルの黒字見込み

Wells Fargoが第一四半期は30億ドルの利益となる見込みである事を明らかにしました。この結果は、昨年末買収したWachoviaを含めた結果との事です。優先株の配当支払い分を除くと、四半期の利益は、23億ドルから24億ドルになる見込みで、これは、一株あたり55セントの就役の予定です。アナリストの収益予想は、一株あたり平均で25セントの黒字で、予想を大幅に上回りました。

以下にリンクを記載するReutersの記事から、Wells Fargo CFOのHoward Atkins氏のコメントを引用します。

参考記事:Wells Fargo shocks market with record profit

"The main story is that traditional banking businesses, and the mortgage banking businesses, were very solid,"

「メインの話は、伝統的な銀行業と住宅ローン業は、非常に安定して順調だった事です。」と語り、Wells Fargoは米国の住宅ローンのシェアを伸ばしていると述べました。

また、なぜ4月22日の四半期決算発表予定の前に収益の見通しを発表した事について、Wachoviaを買収した事が重視されており、「できるだけ早く情報を市場に知らせる事が重要と考えて」「純粋にWells Fargoの判断で行った」としています。

また、新しいアカウンティング・ルールの変更(先日FASBがMark to Marketの基準を緩めることを発表した事に関連して)の影響は「非常に小さいインパクト」と述べています。これは、非常に注目すべき事だと思います。もしも、Akins氏の発言通り、厳しい市場環境にも関わらず、本業は順調に利益を上げており、アカウンティング・ルールの変更はそれほど、決算結果に関係ないのであれば、今後の収益動向に関してもかなり期待できる可能性があります。

尚、Atkins氏は、ストレステストに対するコメントは控えています。

Wellsによると、第1四半期に1000億ドル以上の住宅ローンの貸し出しを行い、1900億ドルの住宅ローン申請を受けたとしています。この数字は、第4四半期より64%上昇しています。

純損失計上は33億ドルを予定しており、第4四半期の61億ドルから大きく減少しました。

今の時点で、明らかになっている情報は以上です。しかし、予想以上に良い結果で、市場に対しても良い意味で強い衝撃を与えた様です。住宅ローンが非常に順調との事ですが、そうであれば、住宅販売のピーク期の第2四半期は非常に良くなる可能性があります。また、Fedの超低金利政策の恩恵を強く得られる可能性が高いです。

懸念材料としては、住宅ローン破綻件数が今後も増えそれによる損失が高まる事、Wellsはホーム・エクイティ・ローン(住宅を担保にした貸し付け)も多いので、それの損失が今後増える可能性があること、等です。更に、現時点でWachoviaの不良債務の処理がどの程度まで進んでいるのか、良く解らないことなどが、懸念材料かと思います。他の懸念材料としては、tangible common equity ratioが約3.1%と低い事です。

正式な四半期の決算発表は4月22日の予定です。注目したいと思います。また、他の銀行がどうなのかにも更に注目は高まると思います。ファイナンス・セクター全般が収益を大きく改善させた場合、株式市場・景気に対して非常に好材料となると思います。ただ、それ程簡単に回復するとはとても思えないと、個人的には考えています。

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4月8日の米国市場


<主要インデックスの終値>

DOW: 7,837.11 +47.55 (+0.61%)
Nasdaq: 1,590.66 +29.05 (+1.86%)
S&P500: 825.16 +9.61 (+1.18%)

二日連続で下落後の本日は、上昇で終了しました。昨日、他のインデックスよりも下がったNasdaqは本日は逆に他のインデックスよりも上昇となりました。本日の朝に発表された、住宅メーカーPulte HomesによるCentexの買収、政府によるTARPの生命保険会社に対する救済融資の報道等が上昇要因となる一方で、午後に発表となったFOMCの議事録が景気の状況に対しての警戒を示すものであった事から、上昇を抑えました。

Housing deal, hope for insurers lift stocks

<本日の主なニュース>

本日の日中の主なニュースは基本的に以下の3つです。

- 財務省が生命保険会社もTARPの対象とする事を認め、近日中に発表予定である事を確認した事
- 住宅建設販売のPulte Homesが同業のCentexを13億ドルで買収する事を発表した事
- FOMCの議事録の公開、特にFedの経済・景気の動向に対して非常に慎重な見方をしている事が明確になった事

この内の、二つに関しては、既に本ブログの別エントリーで取り上げています。(関連エントリーをハイパーリンクしています。)PulteのCentex 買収発表で、Centexの株は本日18.90%上昇、一方、買収する側のPulte Homesは10.49%の下落と対照的でした。尚、本買収は株式の交換によって行われます。

参考記事:Pulte Homes agrees to buy Centex in $1.3B deal

明日小売業の3月の販売結果が発表される予定ですが、投資筋では小売り業界は既に底を打ったとの見方が強まっている様です。
March to hint at whether retail's worst days are behind

<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)下落したところが多いです。FITB 7.37%, C 2.17%, BAC 4.08%, MS 2.70%, GS 1.15%下落しています。一方、JPM 0.66%, WFC 0.27%上昇しています。

(小売り)全体としては非常に順調でした。特にTargetは7.34%の大幅な上昇でした。

(住宅関連)PulteのCentex 買収の発表があった朝は全面的に大幅な上昇となりましたが、その後収まりました。主要なところでは、CTX 18.90%, LEN 5.05%, MTH 2.23%, KBH 0.07%の上昇、DHI 4.02%, TOL 3.22%の下落でした。

(テクノロジー)  上昇しているところが多いです。目立ったのは、NVDA 4.11%, JAVA 6.05%, BRCM 4.90%, MRVL 6.12%, RIMM 3.27%, CTXS 7.80%の上昇でした。

<まとめ・コメント>

二日連続で上昇した後の本日は、生命保険会社がTARPの対象になることを財務省が認めたとの報道から、生命保険会社の株は大幅高で始まりました。また、本日の朝に発表されたPulteのCentex買収のニュースから、ホームビルダー株も軒並み10%を超える大幅高で始まりました。しかしながら、生命保険会社と住宅建設販売株の両方とも、その後はかなり調整が進み、上昇はそれ程でもない範囲で終了しています。

別途既にエントリーしておりますが、生命保険会社TARP適用は確かに良いニュースではありますが、これで全て問題が解決した訳ではないので、全面的に大幅高となるのはちょっと行き過ぎと思っていましたが、市場も同様の認識をしていた様です。ホームビルダー株についても、PulteとCentexの株価には大きな影響のあるニュースではありますが、非常に低迷している住宅セクターの現状の中で、買収のニュースでセクターの株全体が大きく買われるのはあまりにも飛躍し過ぎ、と思いましたが、こちらの方も、本日最終的には割と収まって終了しています。

FOMCの議事録が公開され、その中でFedが景気・市場環境に対して非常に厳しい見方をしているのが明らかになりました。これは、一つ前のエントリーで取り上げていますが、このFOMCの議事録を読んだ後で、株を買おうと思うのはかなり勇気がいると思いました。

今日のセクターでは、テクノロジーが全般的には順調でした。また、小売りに関しても非常に順調に上昇し、一部の銘柄については大幅な上昇となりました。個別の銘柄では、上昇を裏付ける様なニュースも多少なりともありましたが、本日セクター全般が非常に順調だったのは、明日発表予定の3月の販売結果が思いの外良いのではとの期待とそれにより、小売りのセクターは底を打ったとの見方が強まっており、その考えから買いが進んだ様に思います。

全体的には、ここ二日で多少下落した分を若干調整する様な上昇だった様に思います。多少なりとも事前の動きはあるものの、やはり来週以降の企業の四半期決算動向を待つ様な状況にあると思います。

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Fed 3月のFOMC議事録を公開

本日、米国東時間午後2時にFedが3月17日と18日に行われたFOMCの議事録を公開しました。

Minutes of the Federal Open Market Committee
March 17-18, 2009

議事録から気になった部分を抜粋し、コメントします。

(クレジットマーケットについての見解)

”Most meeting participants interpreted the evidence as indicating that credit markets still were not working well”,

ほとんどのミーティング参加者がクレジットマーケットは未だに十分に機能していないことを示す兆候があると解釈している。との見解を示しています。

"(前略)...some participants saw a risk that private firms might be reluctant to borrow from the TALF out of concern about potential future changes in government policies that could affect TALF borrowers. However, other participants anticipated that TALF loans would increase over time as financial market institutions became more familiar with the program. "

TALFの(今後の)効果については、FOMCメンバーの間で意見が分かれていることを述べています。原文ではこの後に、多数はTALF貸付枠と対象分野の拡大を財務省からの追加の資本を受ける事を条件としながら支持している。しかし、一部のメンバーはTALFの拡大に対すして懸念を示してた。と言った記述が続きます。

この後で、今年に入ってから新たな施策として行われている長期の国債をFedが購入する件についても、一部のメンバーから懸念が示されているものの、その(副作用的な)リスクはマネージできる範囲だと認識している。と言った話が続きます。

上記の様な話の後で、Fedのメンバーの経済とファイナンシャルの状況についての見解のセクションとなります。("Staff Review of the Economic and Financial Situation")

以下最初のパラグラフです。

"The information reviewed at the March 17-18 meeting indicated that economic activity had fallen sharply in recent months. The contraction was reflected in widespread declines in payroll employment and industrial production. Consumer spending appeared to remain at a low level after changing little, on balance, in recent months. The housing market weakened further, and nonresidential construction fell. Business spending on equipment and software continued to fall across a broad range of categories. Despite the cutbacks in production, inventory overhangs appeared to worsen in a number of areas. Both headline and core consumer prices edged up in January and February."

概要としては、”FOMCで使用(検証)した情報から、ここ数ヶ月の間、経済活動は急速に落ち込んでいる事を示している。(経済活動の)減速は、雇用、工業製品の製造の低下が様々な分野に広がっている事を反映している。消費者支出は、ここ数ヶ月で若干変わったものの引き続き低レベルで推移している。住宅市場は更に低迷しており、非居住用(注:つまり事業用を意味する)の建設は落ち込んでいる。業務用の(製造)機器やソフトウェアへの投資(支出)は幅広い分野において、引き続き下落した。生産の削減にも関わらず、滞留在庫は、多くの分野で悪化している様に思われる。1月と2月の消費者価格は若干上昇した。

概略としては状況の様な表現なのですが、状況が悪くなっていることを示し、明るい材料等はこのパラグラフでは全く見当たりません。次のパラグラフでは、労働市場について記述しています。こちらもパラグラフの全文を引用します。

"Labor market conditions continued to deteriorate. Private payroll employment dropped considerably over the three months ending in February. Employment losses remained widespread across industries, with the notable exception of health care. Meanwhile, the average workweek of production and nonsupervisory workers on private payrolls continued to be low in February, and the number of aggregate hours worked for this group was markedly below the fourth-quarter average. The civilian unemployment rate climbed 1/2 percentage point in February, to 8.1 percent. The labor force participation rate declined in January and February, on balance, likely in response to weakened labor demand. The four-week moving average of initial claims for unemployment insurance continued to move up through early March, and the level of insured unemployed rose further."

労働市場の状況は悪化を続けている。私企業の雇用数は、2月末までの3ケ月間で大幅に減少した。失業数は、ヘルスケアを例外として、幅広いの産業分野に渡っている。その様な状況の中、2月の私企業の実稼働週の平均と非管理職(一般社員)の雇用数は低い状態が続いている。このグループの総労働時間数は、第4四半期よりも突出して低かった。2月の失業率は、0.5%上昇し8.1%となった。労働者の就労率は、1月と2月に下落した。これは、労働需要の低下の影響と思われる。失業保険申請件数の4週のムービング・アベレージ(4週間単位の平均)は3月の初めを通して上昇を続けた。この失業保険のレベルは更に上昇した。

と、労働市場に関しても一切明るい話題はありません。ご存知の通り3月の失業数は2月からさらに上がって8.5%になっています。この後も話は続きますが、簡単にまとめると以下の様な話です。

"Industrial production fell in January and February, with cutbacks again widespread, and capacity utilization in manufacturing declined to a very low level. Although production of light motor vehicles turned up in February, it remained well below the pace of the fourth quarter as manufacturers responded to the significant deterioration in demand over the past few months. The output of high-tech products declined as production of computers and semiconductors extended the sharp declines that began in the fourth quarter of 2008. The production of other consumer durables and business equipment weakened further, and broad indicators of near-term manufacturing activity suggested that factory output would continue to contract over the next few months."

工業生産は、1月と2月に減少し、減産するところは広がっている。向上の稼働率は、非常に低いレベルに下がってきている。小型の自動車の生産は、2月に上昇したものの、過去数ヶ月に渡たる需要の急速な低下に製造業が対応した第4四半期のペースを依然として大きく下回った状態のままである。第4四半期に始まったコンピューターと半導体の生産の低下は拡大しており、ハイテク製品の生産は低下した。その他の消費者向け耐久財の生産と業務用機器の生産はさらに弱くなっており、短期の製造活動での幅広い兆候は、工場出荷はこの先数ヶ月低下を続けることを示している。

"The available data suggested that real consumer spending held steady, on balance, in the first two months of this year after having fallen sharply over the second half of last year. Real spending on goods excluding motor vehicles was estimated to have edged up, on balance, in January and February. In contrast, real outlays on motor vehicles contracted further in February after a decline in January. The financial strain on households intensified over the previous several months; by the end of the fourth quarter, household net worth for the first time since 1995 had fallen to less than five times disposable income, and substantial declines in equity and house prices continued early this year. Consumer sentiment declined further in February as households voiced greater concerns about income and job prospects. The Reuters/University of Michigan index in early March stood only slightly above its 29-year low reached in November, and the Conference Board index, which includes questions about employment conditions, fell in February to a new low."

既に発表され入手可能なデータは、消費者の実支出は昨年の後半期に急激に下落した後、今年の最初の二月は安定を保っている。(下がった状態のまま小康状態)自動車を除いた消費材の実支出は、1月2月を総合してみた場合、若干上昇したと予想されている。対照的に、実際の自動車の購入は、1月の下落から、2月はさらに低下した。家計の厳しさは、直近の数ヶ月の間に更に悪化した。第4四半期末の時点までで、家庭の総資産は1995年以降で初めて低下し、可処分所得の5倍以下となった。証券と住宅価格の大幅な低下は、今年の初めまで続いた。所得と雇用の先行きに対する大きな懸念(の声が)が高まっており、消費者のセンチメントは、2月に更に低下した。3月初めのミシガン大学景況指数、11月に記録した29年間で最低の数字を若干上回っている状態である。そして、雇用状況の質問を含むカンファレンス・ボードの指数は、2月に最低を更新している。

この後に住宅のアクティビティの話、ビジネススペンディングの話がそれぞれ続きますが、どちらの話も状況は依然と厳しく、悪化の傾向は続いているとしています。この後も話は分野毎にパラグラフで構成して記述されています。申し訳ありませんが、経済とファイナンシャルの状況分析・認識のセクションの以降の部分は、本エントリーでは割愛させて頂きます。

状況分析・認識のセクションの後に、Staff Economic Outlookのセクションがあり、Fedの今後の経済の見通しについて書かれています。このセクションの後半部分の原文を添付します。

The staff's projections for real GDP in the second half of 2009 and in 2010 were revised down, with real GDP expected to flatten out gradually over the second half of this year and then to expand slowly next year as the stresses in financial markets ease, the effects of fiscal stimulus take hold, inventory adjustments are worked through, and the correction in housing activity comes to an end. The weaker trajectory of real output resulted in the projected path of the unemployment rate rising more steeply into early next year before flattening out at a high level over the rest of the year. The staff forecast for overall and core personal consumption expenditures (PCE) inflation over the next two years was revised down slightly. Both core and overall PCE price inflation were expected to be damped by low rates of resource utilization, falling import prices, and easing cost pressures as a result of the sharp net declines in oil and other raw materials prices since last summer.

(訳はせずに概要だけを以下にまとめて書きます。)

GDPの見込みに関しては、2009年後半と2010年の予想を引下げています。依然として、ファイナンシャル・マーケットのストレスは軽減され、景気刺激策の効果が現れ出し、在庫調整は進み、住宅市場の調整は終了となる、として状況の改善は進むと見込んでいる様です。一方で失業率は来年の頭まで上昇を続け、来年いっぱいは、高い水準のままとどまる見込みとしています。(コメント:高い失業率が経済活動に与える影響を考えると、引下げたとは言えGDPが来年少し上昇する予想は、楽観的な気がしています。実際どうなるのか、非常に興味深いところです。インフレに対しては、今の時点では懸念していない(上昇を予想していない)様です。


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米財務省は、生命保険会社をTARPの対象に加える事を認める

本日、事情に詳しい筋からの話として、財務省はTARPの対象を広げ生命保険会社を含める事を決断し、数日以内に発表する予定である、とWSJが報道しました。

U.S. to Offer Aid to Life Insurers

さらにReutersが、このWSJの記事に対する財務省の返答として、スポークスマンのAndrew Williams氏が、多くの生命保険会社はCapital Purchase Programの基準を満たしているとして、生命保険会社もTARPの(融資の審査)対象となる事を認めた、と報道しました。

Treasury says some insurers qualify for TARP

この件に関しては、先月にやはりWSJが記事として取り上げており、このブログでもその記事を元にエントリーしています。当エントリーの冒頭部分を引用します。

“本日のWSJに”The Next Big Bailout Decision: Insurers”と言う記事が一面に載っています。多くの生命保険会社が政府のTARPの(救済の貸し付け)申請を行っており、業界は数週間以内に政府から本要請に対する返答をもらう見込みであるとの事です。”

米生命保険会社が政府に救済を要請

(引用終わり)

本件を財務省が認めた事で、生命保険会社の株は本日大幅な上昇で始まりました。(その後、多少なりとも上げ幅は縮小しています。)これで、政府の救済は、新たに生命保険会社にまで広がりました。これで、生命保険会社のライフラインは伸びる事となり、また、債券の大保有者である生命保険会社を助ける事で債券市場の不安定化の懸念が後退することになります。しかし、生命保険会社が抱える問題が全てが解決したわけではありません。また、TARPには限りがあり、救済融資の要請は様々なところからあり、全てを救済する事は無理の様に思われます。

本件に関して、ご興味のある方は是非、上に添付した関連のエントリーもご覧になってみて下さい。

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2009年4月8日水曜日

4月7日の米国市場


<主要インデックスの終値>

DOW: 7,789.56 -186.29 (-2.34%)
Nasdaq: 1,561.61 -45.10 (-2.81%)
S&P500: 815.55 -19.93 (-2.39%)

今日はそれなりに下落しました。ただし、取引数量は通常と比べるとそれ程多くありません。以下に添付するReutersの記事では、下落の原因としては、来週から本格化する企業の第1四半期の収益動向に対する懸念とGMのバンクラプシーの可能性の高まりを挙げています。
Wall Street slumps on earnings, GM anxiety

<本日の主なニュース>

不良債務の総計は、4兆ドルに達するとIMFが発表すると、TImesOnlineが報道しました。IMFは、1月に来年の末までに不良資産の額は2兆2000億ドルに達するとの見込みを発表しましたが、4月21日に発表予定の次回の世界経済・景気の評価として、3兆1千億ドルに引き上げる事を検討していると思われていましたが、ヨーロッパとアジアでの不良資産の総額として9千億ドルを加える見込みとしています。

現時点までで1兆2千9百億ドルの不良資産を抱えている銀行と保険会社は、リセッションの深刻化から損失の拡大に対峙しています。IMFの新しいフォーキャストは、今月の末までに更に変更になるかもしれません。としています。詳しくは、以下のリンクから原文の記事を参照にして下さい。上記の邦訳は多少簡略して書いています。簡潔にまとまった良い記事なので、ご覧になられる事をお勧めします。

Toxic debts could reach $4 trillion, IMF to warn


市場終了後にアルミニウム製造大手のAlcoaが第1四半期の決算を発表しました。結果は、4億9700万ドルのEPS61セントの赤字でした。操業を止めた事業を除いた場合、損失は一株あたり59セントとなるとのことです。アナリストの予想は、51セントの損失で、予想よりも悪い結果でした。
Alcoa swings to loss as aluminum prices plunge

Alcoaの株は本日1.52%の下落でした。発表後のアフターアワーズでは、若干下がっています。

<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)日中は上昇していたところも多かったのですが、最終的には下落したところがほとんどです。FITB 7.17%, USB 5.38%, JPM 3.37%, WFC 2.62%, BAC 1.60%, GS 0.49%の下落でした。一方、Citigroupは1.47%, MS 0.04%の上昇でした。

(小売り)下落しているところが多いです。

(住宅関連)それなりに大きく下落(5%ちょっと)しているところが多いです。

(テクノロジー)  下落しているところが多いです。主要なところで下落が目立ったのは、DELL 4.84%, JAVA 4.27%, RIMM 6.29%下落しています。

<まとめ・コメント>

今日は、下落で始まり、一旦はかなり戻したものの、それなりに下がって終了しました。主要インデックスで見た場合、特にNasdaqの下落が突出しています。これは、RIMM等が大幅に下がった事が影響していると思われます。RIMMは本日大きく下がりましたが、連日大幅に上昇しており、今日の下落は昨日の上昇分よりも少ないです。ここ最近、テクノロジー株はかなり上昇していたので、今日は調整的な下落と言えるかと思います。

今日の下落について、上でも取り上げていますが、企業の第1四半期の収益動向に対する懸念との見方があります。悪くなる事は分かっていて、株価にも十分織り込み済みの上での、ここ最近の上昇があった、と私は解釈していましたが、やはり、決算発表を控えて、利益確定、ポジションをクローズする動きも多くある様です。

個人的には、IMFのファイナンシャル企業の損失予想の大幅な積み増しの方がインパクトのあるニュースの様に思います。しかし、セクターの株価へのインパクトはそれ程大きくはありませんでした。昨日エントリーで添付したWhitney女史のインタビューで、「ファイナンス企業の第1四半期の決算は、FASBのMTM(Mark to Market)の基準を緩めた事による帳簿上の効果、back door financing等により資本の増加が見込まれ、一時的に決算結果を良いものに見せる事になるだろう。」、「空売りをする場合には十分注意が必要」と語っています。主要なファイナンス企業の何社かは来週決算を発表しますが、恐らく予想以上に良い決算を発表するであろうとの期待や空売りの解消等が、ここ最近の株価の底堅さを形成している要因となっていると想像しています。


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GMがバンクラプシーの準備を計画中

本日の日中に、ReutersがGMの計画に詳しい筋からの情報として、GMがバンクラプシーの準備を真剣に始めている、と報道しました。特に驚く様な話ではない、と個人的には思うのですが、GMのChapter 11申請の可能性が更に高まった事は、市場のセンチメントに再び影響を与えている様です。以下、Reutersの記事から、冒頭の部分を抜粋し邦訳したものです。

GM in "intense" bankruptcy prep: source

GMの計画に精通している筋からの情報として、GMがバンクラプシーの準備を真剣に始めている。計画は、会社を分割し、最も成功している(うまくいっている)事業ユニットで“新しい会社”を構成し、利益率が低い事業を“古い会社”に残す案で、(選択肢として)優勢になってきており、最も賢明な構成と見られている、と別の情報筋が語っている。

情報筋は、状況を話す事を認められていないため匿名を要求している。(コメント:いつものことですが、口の軽い人が多い様です。意図的にリークさせている可能性も十分にあります。)

(ここで記事の引用は終わります。)

記事の話は続いて、一部のバンクラプシーの専門家は、Chapter 11のファイリングはリストラクチャリングを行う上で手助けとなるが、様々な問題もある、と語って、いくつかの例を挙げたりしています。

個人的には、なぜGMのバンクラプシー選択か否かが市場に大きく影響を与えるのか、理解に苦しむ部分があります。一方で、現実としてこの話が市場にインパクトを大きく与えていることは認識してはいます。

新CEOのHenderson氏の先日のインタビューでの発言を聞いても、バンクラプシーの選択の余地は十分にある、との印象を与えるものだったと思っています。無責任に、あるいは、楽観的にバンクラプシーは避けられそうだとの印象を与えておいて、期限前後に突然、バンクラプシーの可能性が浮上するのであれば、市場を動揺させ、市場が大きく下落したりするシナリオは理解できます。しかし、現在までで一般に得られる情報からも、バンクラプシーの可能性は少なからずある、と考えるのが通常の様に思いますが、どうなのでしょうか?

ご存知の通り、バンクラプシー(bankruptcy)は直訳すると、“破産”、“破綻”、“倒産”になります。言葉としては、非常にインパクトがありますが、米国ではバンクラプシーは一般的で、Chapter 11を申請した後、立ち直る会社も多くあります。9/11のテロの後、多くの航空機会社が経済的に厳しい状況に陥り、Chapter 11を申請しましたが、それなりにうまく立ち直ってきていると思います。(今は再び、業界は厳しい状況にありますが)


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