2009年3月14日土曜日

3月13日の米国市場



<主要インデックスの終値>

DOW: 7,223.98 +53.92 (+0.75%)
Nasdaq: 1,431.50 +5.40 (+0.38%)
S&P500: 756.55 +5.81 (+0.77%)

3日続けて大きく上昇した市場は、本日も上昇で始まりましたが、その後昼過ぎにかけては下落トレンドになり、一旦はマイナスになっていたものの再び上昇トレンドに転じ、昨日終値から上昇となって終了しています。週を通してみた場合は、DOWは9%の大幅な上昇となり、11月以降で最も上昇した週となりました。

<本日の主なニュース>

Citigroupの会長Richard Parsons氏がReutersのインタビューで、Citigroupは政府から追加の資本注入が必要となるか、と聞かれ、これ以上の資本投入は必要ない。と答えた事が本日の朝の目立ったニュースでした。Parsons氏の実際の発言は、 Reutersの記事によると、以下のものでした。

"No, I think actually, particularly with the latest conversion ... Citi is actually one of the better capitalized banks in the world."

かなり踏み込んだ強気の発言だと思います。ちなみに、Parson氏は、元Time WarnerのCEOで比較的最近Citiの会長に就任しています。Citiの株は本日6.59%上昇しました。

関連記事:Citi doesn't need more government aid: Parsons

G20が始まりました。その席上で、World bankのPresident Robert Zoellick氏は、銀行の問題を解決しなければ、景気刺激策は一時的なもので、効果は限定的となってしまう。と語りました。

また、各国政府に景気刺激策を積極的に導入する様提案する米国と、クライシス再発を防止するための金融システムの再構築と規制強化を優先させるべきとのヨーロッパ主要国(フランス、ドイツ等)と意見が食い違っている様です。(日本は米国サイドの様です。)

イギリスの提案(と米国の主張)は、主要各国がそれぞれのGDPの最低2%を使って自国の需要を引き上げ、世界経済の停滞からの脱出を計る様、主張している様です。行うべきことは次の3点です。需要を引き上げる。ファイナンシャルのレギュレーションのリフォーム。IMFの資金を増やす事。

この内、IMFの追加資金に関しては合意がもたれており、既に行っている日本に続きEUも新たに追加として1000億ドルの資金提供を行うことを今週発表する予定とのことです。

関連記事:G20 rift deepens ahead of crisis response talks

オバマ大統領の米国自動車メーカー救済のタスクフォース(チーム)は、バンクラプシーのロイヤー(法律の専門家)を雇ったとのことが、関係者からの話で明らかになりました。

関連記事:U.S. autos task force hires bankruptcy lawyer

GMがギアの不具合のリコールを発表しました。対象となる車は27万6千台に達するとの事です。
関連記事:GM recalls more than 276,000 vehicles for gear fix

ちょっと興味を引いたニュースとしては、Fedの一部でクレジットの問題に対するFedの対応に対して、対立意見が出てきているとのことです。基本的な方針は変わる事はないだろうとの見方ですが、一部のRegional Fedからは批判が出だしている様です。

関連記事:Internal dissent over Fed action won't halt policy

<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)上昇しているところが多いですが、若干下落しているところもあります。上昇で目立ったのは、 Citi 6.59%, Goldman 5.17%, Fifth Third Bancorp 4.17%等です。一方下落しているのは、BofA 1.54%, US Bancorp 1.38%, Wells Fargo 0.07%です。

(住宅)  上昇と下落に分かれていますが、変動幅は大きくありません。

(小売り)上昇しているところが多いです。目立ったのは、Target 5.19%の上昇でした。

(テクノロジー)  上昇と下落に分かれていますが、主要企業で大きく変動したところはあまり目につきませんでした。

<まとめ・コメント>

3日続けての上昇で、本日はどうなるのかと思いましたが、結果的には若干の上昇で終了し、週を通した場合は、大幅な上昇となりました。S&Pは、第2次世界大戦後で3番目に高い週の上昇幅だったとの事です。再び、一部では市場は底を打った、絶好の買い時、といった声が多く聞かれ、一部ではS&Pは950位まで一気に戻すのでは、等といった見方もある様です。先週は、市場心理が非常に悲観的だったのに、たった一週間での豹変ぶりはとても印象的です。

週を通してみて、市場心理好転の材料となるニュースは、やはりCitiの黒字観測の報道、そして大手銀行のトップが揃って1月2月は黒字だと語ったことになるかと思います。一方で、私自身を含め、一部では懐疑的、慎重な見方も残っています。Citiに関しては、本日会長のParson氏がこれ以上の政府の資本投入の必要性を否定した事、国有化せずに十分やって行けるだろう、と述べた事がニュースとなり、Citiの株は今日も上昇となりました。確かに、これ以上政府の援助なしでやっていけて、黒字にもなるのであれば、Citiの株は上昇の余地は十分にあると思います。

数週間以内に、Tim Geithner氏が新たなファイナンシャルのレギュレーション等を含むリフォームプランを発表する予定で、その中で、ファイナンス企業に対する”Mark to market”(市場価格での算出)に対するガイドラインを緩めることになるとの観測があり、これもファイナンス企業の決算に多少なりとも好影響を与える事が期待されています。

更に、空売りを抑制するためにuptickルールを導入するのでは、との観測もあり、これも市場上昇に貢献している様です。

一方で、G20でWorld bankのZoellick氏が銀行の問題を解決することが優先事項であると語っている訳で、銀行トップの話とのギャップを感じます。昨年も四半期の決算時にこれで最悪期は脱した、と言う発言やもう追加での資金調達は必要ない、と言った後で、翌四半期に再び大幅な赤字決算の発表や資金調達の発表等があったりしました。どの程度、銀行トップの発言をどの程度信頼していいのか、微妙なところです。

尚、今回に関しては、これらの発言の一ケ月後に万が一、大幅な損失発表等、大きく異なる結果となった場合は、さすがに責任が大きく問われることが予想されます。そのあたりの事も十分に理解した上での発言とも思えるので、信じても良いのかな、と言う気持ちも(少し)あります。

昨日、GMが政府に対して要請していた追加の援助なしに3月まで持ちこたえられると発表しましたが、本日、大規模なリコールの発表を行っています。このリコールのコストはかなりかかると思われるので、それも考慮した上で、昨日の発表なのか、あるいは、リコールのコストに関して4月以降の話なので昨日の発表とは別なのか、と言った様な疑問があります。恐らく後者なのでは、と想像しています。

本日市場終了後に、米自動車業界救済タスクフォース・チームがバンクラプシーの法律専門家を雇ったとの報道があり、このことからも、昨日のGM発表はあったものの、GMバンクラプシー申請の可能性は依然としてかなりあるのでは、と思っています。

今週は大幅な上昇となりましたが、これで、少なくとも短期的には上昇トレンドとなるのか、それとも、来週以降、今週の上昇分の調整的な動きとなるのか、注目されます。どうなるかは、市場センチメントの要因が大きいのでどちらも十分に考えられると思います。

それでは、皆さん、良い週末をお過ごし下さい。

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