2009年3月31日火曜日

3月30日の米国市場



<主要インデックスの終値>

DOW: 7522.02 -254.16 (-3.27%)
Nasdaq: 1501.80 -43.40 (-2.81%)
S&P500: 787.53 -28.41 (-3.48%)

本日は、発表されたオバマ政権の米自動車メーカー救済策のアップデートが予想されたよりも厳しい姿勢を示しており、また、今回設定した期限以内に満足のいく回答、進展が見られない場合は、バンクラプシー選択をした形での解決策となる事を示唆したため、市場関係社の間で破綻(バンクラプシー)の懸念が再び高まりました。また、スペイン政府が銀行の救済を余儀なくされた事、ドイツとイギリスもファイナンスセクターの不安が高まってきている事、さらに、ガイトナー氏がTARPの残りは1350億ドルとなると発言した事等が、ファイナンスセクターに対する不安が再び高まり、ファイナンスセクターは本日大幅な下落となりました。

関連記事:Wall Street hits the brakes on autos, bank woes

<本日の主なニュース>

今日の一番のニュースは、なんと言ってもオバマ政権の自動車メーカー救済策のアップデートの発表でした。大方の予想を覆す、GMと暗いスルーに予想以上に厳しい姿勢を示した事、さらには、バンクラプシーの可能性を十分に示唆させる内容により、バンクラプシーの可能性に対しての懸念が減少していた先週から一転して、不安が高まり、それが市場全体のセンチメントに大きく影響を与えた様です。GMの株は本日25.41%の大幅な下落となりました。

オバマ政権の自動車メーカー救済策のアップデートに関しては、一つ前のエントリーで取り上げておりますので、是非併せてご覧になってみて下さい。

また、WSJが非常によくまとまった良い記事を掲載していますので、英語が苦にならない方は是非、ご覧になって下さい。

Obama Outlines Plans for GM, Chrysler


また、本日夜に掲載されているAPの記事で、米自動車メーカーの組合、労働者側から、オバマ政権の今回の自動車メーカーに対する厳しい対応とウォールストリートの金融企業やAIG への対応にあまりにも差があるとの不満が高まっているとの報道がありました。当該記事のリンクを以下に添付します。

Workers say Obama treated autos worse than Wall St


<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)大幅に下落しています。主なところでは、BAC 17.85%, WFC 14.24%, C 11.83%, MS 9.12%, GS 7.05%の下落となりました。

(小売り)Best Buyが12.58%の大幅な上昇、Targetも5.12%と大きく上昇しました。他の主要な小売りの企業の株価も今日は順調に上昇しています。一方、支払いのプロセスの事業の売却を発表したFifth Thirdは、ファイナンスセクター全体が大きく下落した中で、5.53%の上昇でした。

(住宅関連)それなりに大きく上昇しています。主要なところでは、Centex 15.97%, Lennar 15.11%の下落が目立ったところです。

(テクノロジー)  全般的にそれなりに大きく下落しています。

<まとめ・コメント>

本日は、先週のエントリーで最近の市場の上昇の主な要因として挙げていた“米自動車メーカーの破綻を回避しようとする政府の動き(破綻の懸念の後退)”に対して、発表された内容が予想以上に厳しい姿勢だったため、破綻の懸念が再び高まった事が市場の下落を招いた大きな要因と思えます。また、今回示した政府の厳しい姿勢は、現在行われているファイナンシャル企業に対するストレステストの結果によっては、一部のファイナンス企業に対しても同様に厳しい姿勢で臨む可能性があり、また、最悪の場合は、自動車メーカーに対して示したのと同様に、政府主導のバンクラプシーの選択肢の可能性も再び浮上してきた事が、本日のファイナンスセクターの大きな下落の要因の一つではないかと想像しています。

個人的には、今回の政府の発表した方針は非常に非常に理にかなっていると思います。正直、自動車メーカーに対して、救済の資金を提供しても、抜本的な改革が行われなければ、この先も救済要求が続く可能性もあったと思います。ある程度の猶予期間を与え、結果が得られなければバンクラプシーを選択せざるを得ない、との方向性を示した事で、GMとクライスラーに対して、確固たる対応を取る、結果を示す、強いプレッシャーを与えたと思います。AIG 救済の様な何度も救済を繰り返し、それでもまだ問題を抱えている様な泥沼の状態になることは、これで避けられそうです。また、一つ前のエントリーに書いた事ですが、クライスラーは30日後、GMは60日後には今後の方向性が明確になる、と言った不透明要因を払拭する結果となっています。

一方で、上に掲載したAPの記事の様に自動車メーカーの組合、労働者側からは、自動車メーカーへのオバマ政権の対応とウォールストリートの企業に対する対応の差に対する不満が高まっている様です。労働者側、自動車メーカー側の気持ちとしては、分からなくもありません。この辺りの公平性についての問題が、今後、特にストレステスト後の銀行に対しても、政府に対して確固たる対応を取るプレッシャーとなってくる気がします。この様な、今回のオバマ政権の自動車メーカー救済に対する姿勢によって暗示するものが、本日のファイナンスセクターの大幅な下落の要因だと想像しています。

水曜日に自動車とトラックの販売結果の発表、金曜日に失業率の発表等、いくつか鍵となる経済指標が発表されます。ここ最近、予想以上に良いデータも発表されていましたが、自動車の販売については恐らくかなり悪い事が予想され、また、失業率に関しても良い材料はないので、これらのネガティブな発表について、どれだけ現在の株価が織り込んでいるのかについて、注目しています。

G20に関しては、大きな進展はないだろう、と市場の方はそれ程期待していない様ですが、こちらに関しても、実際どうなるのか注目しています。

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