2009年3月7日土曜日

今日のWSJ - GMがバンクラプシー(破産)に対して柔軟な姿勢

不定期で、当日朝のWall Street Journalで目についた記事を取り上げて行きます。

今朝のWSJの一面に載っていた記事の要約と私のコメントを以下に記します。

GMが破産(バンクラプシー)に対して柔軟な姿勢 
(原題:GM more open to bankruptcy)

事情に詳しい人によると、GMの経営者は、破産(宣告)により速やかなリオーガナイゼーション(企業形態・事業・組織の再構築)を行う事に対してよりオープンになってきている。その様な動きは多くの顧客が離れる事になり、会社が生き残る事ができなくなる、との今まで示してきた懸念を後退させてきている。会社は、依然として破産を回避する事を望んでいるものの、従来示してきた考え方から、かなり変化がおきてきている。この考え方の変化は、木曜日に明らかになったGMの監査企業が当該自動車メーカーが継続して事業を行って行く事ができる可能性に対して、非常に大きな疑念があると示した事が、GMの考え方・今後の動きに変化をもたらした様である。

中略

GMのCEOのRick Wagonerは、昨年11月と12月に、議会とホワイトハウスに対して、Chapter 11の企業再構築は、売り上げの急激な低下を招き、会社は回復する事ができなくなるであろうと語った。しかし、数ヶ月に及ぶ一流のバンクラプシー・アドバイザーの分析を含む調査の結果、会社はちまたで言われている”プリパッケージのバンクラプシー(Prepackaged bankruptcy: 日本語的には、政府がお膳立て、面倒を見る形で会社更生法を適用し再生する様なもの)"によって会社を立ち直らす事ができるのでは、と思う様になってきている。

プリパッケージのバンクラプシーにより、組合、部品供給社、債権者等の様々な構成組織・部門が、事前に譲歩し合意することが見込まれる。プリパッケージのバンクラプシーは通常ほんの数ヶ月で終わる。

プリパッケージのバンクラプシーであれば、”60日位大混乱となるだろうが、もし政府がそれを支持し、債権者を含む関連部門が支持するのであれば、VEBA[retiree health-care trust]の折衝ができ、組合も賛同し、そして、、、我々はどうにかうまくやって行くことができるだろう”、と関係筋は語っている。

バンクラプシーの様な形態は、GMが現在行おうとしている法廷外での企業再構築の様なものに比べ、圧倒的に効率的である。

中略

GMの考え方の変化は、その経済的な問題が非常に深刻な状況にある事を、あらためて確認されたことが背景にある。

(この後で、再び、アニュアルレポートに書かれている、昨日明らかになった監査企業のコメントの話が続き、話は続きます。よろしければ、以下のリンクで記事全文を読んでみて下さい。尚、上記要約は、できるだけ原文に即す様に訳す様にしていますが一部意訳している部分もあります。)

GM More Open to Bankruptcy
Wall Street Journal, Friday, March 6, 2009, A1

<コメント>

かたくなにバンクラプシーを拒む強硬な姿勢をとっていたGMでしたが、どうも、考え方・姿勢に大きな変化が出てきた様です。上にも書いてありますが、当初、ワグナー氏は、「バンクラプシーはオプションにはない!」「バンクラプシーした自動車メーカーの車を買う人等いない」と強く主張していました。政府からの救済の資金援助がなければ、倒産は必至の状態にも関わらず、オプションにない、と語るのは勘違いもいいところの気がしていましたが、、、それに近い雰囲気の事が監査人のコメントにもありますが、恐らく、政府から資金援助を受け続けたとしても、遅かれ早かれ立ち行かなくなることが明確になってきていることが背景にありそうです。

尚、私の愛読するブログ"The Big Picture"のBarry Ritholtz氏は、自動車メーカーだけでなく、政府はファイナンス企業に対してもprepackaged bankruptcyで救済すべきだと強く主張しています。このprepackaged bankruptcyは、オバマ政権になってから、自動車メーカーに対して検討する様迫ってきているのですが、ファイナンス企業の救済に対してはこのオプションを示しておらず、Ritholtz氏を始め一部の業界人はなぜファイナンス企業に対しては、相変わらず甘い対応を取ろうとしているのだとの批判が出てきています。

個人的には、Prepackaged BankruptcyはGMが現時点で選択できる道として、非常に妥当な案だと思います。その可能性が出てきた事は、好ましいと思いますが、昨日の大幅な下落は、この話が起因しているところに皮肉さを感じざるをえません。

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