2009年4月2日木曜日

4月1日の米国市場


<主要インデックスの終値>

DOW: 7,761.60 +152.68 (+2.01%)
Nasdaq: 1,551.60 +23.01 (+1.51%)
S&P500: 811.08 +13.21 (+1.66%)

本日は、昨日終値よりも低い値で始まりましたが、若干の上下動はあるものの上昇トレンドを維持して終了しました。昨日の上昇と合わせると大きく下がった一昨日の下落をほぼ帳消しにしています。

Reutersの記事で、本日の上昇は、製造業と住宅(建設)の数字に景気の回復の兆候が見られる事を挙げています。(私の意見は後のコメントに書きます。)
Wall Street rallies on manufacturing and homes data

<本日の主なニュース>

ISMが発表した3月の製造業のPMI(Purchasing Managers’ Index)は36.3%でした。予想は36%だったので、それより少し良い数字でした。

ISMプレスリリース

ISMのプレスリリースによると、PMIが3ケ月連続で30の半ばの数字に留まった事で製造業における急速な下落は幾分和らいできている様に見られる。また、3月のPMIは少し上昇しながら、New Orders Indexが7ケ月ぶりに40%台に上昇した事は、良い材料だとしています。調査の回答者のコメントとして以下の様なものを挙げています。業界によっては、改善が見られるところと、依然として厳しいところと分かれているのが分かります。

"We remain challenged to align our capacities with demand." (Nonmetallic Mineral Products)
"Most of the international markets have been reducing inventory levels and they are forecasting improvements in the next 4 to 6 months." (Chemical Products)
"Many pockets of improvement." (Electrical Equipment, Appliances & Components)
"Still very slow. No stimulus package for manufacturing. Down 30 percent." (Fabricated Metal Products)
"What we are feeling now is that customers aren't making their final payments on equipment that has already been shipped." (Machinery)

個人的に興味を引いたのは、薬品業界のコメントとして(2番目)、“ほとんどのインターナショナルの市場は、在庫のレベルを削減しており、この先4から6ケ月先のフォーキャストについて改善が見られる。”、です。昨年の第4四半期に急激な在庫調整(削減)を行ったところが多いと聞いていましたが、在庫のレベルが下がったためこの先6ケ月以内の需要に関しては少なからず改善が見られそうです。尚、注意しなければいけないのは、これは在庫の調整によるものであり、中長期のトレンドを計る意味ではほとんど意味をなさないと思います。しかし、四半期程度の株価の動向には、このことによる影響は大なり小なりあると思います。

商務省 国勢調査局が発表した2月の建設の支出額は、季節要因を考慮した年間のレートで、9675億ドルでした。これは、修正後の1月の数字から0.9%下落しています。昨年の2月と比較した場合、10%の下落となっています。今年の最初の二月の間の建設支出額は1355億ドルで昨年の同時期と比べると10.9%下落しています。
国勢調査局ニュースリリース

<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)主要なところは全て上昇しています。上昇で目立ったのは、JPM 5.87%, GS 4.03%, MS 4.22%です。

(小売り)Targetは微減。それ以外の主要なところは上昇しています。

(住宅関連)Lennar以外の主要なところは上昇しています。

(テクノロジー)  全般的に上昇しているところが多いです。特にMicrosoftが5.12%の上昇で順調でした。Yahooは若干下落しています。SunはIBMに買収される期待からか、今日は9.29%の大幅な上昇でした。

<まとめ・コメント>

本日発表されたISMのPMIは予想より少し良かった程度のもので、数値自体は依然として非常に低いものでしたが、市場は好意的に受け止めた様です。ほとんどの景気指標のデータは、それをどの様に解釈するかで、良い様にも悪い様にもできると思います。ここ最近の市場の注目点は、第4四半期から年明けにかけて急速に悪化していた経済指標が改善されている事から、景気が底を打ったことを示しているかどうかになっている様に思えます。

少し注意した方が良いと思われるのは、前月と比べて数字が上がっていると、回復の兆候と解釈されがちなところです。市場のセグメントによっては、明確なシーズナリティがあり、それを十分に考慮した方が良いものもあります。端的な例が住宅市場です。住宅市場は4月から5月(と6月)にかけて非常に活発に取引されます。これは、学校の夏休み前に住む家を決めて、夏休み中に引っ越しを行う傾向が強いためです。夏休み後の9月から年明けにかけては市場の需要はかなり落ち込みます。そして、春に向けて需要は再び上昇します。単純に言うと月ごとに需要が上がって行く傾向があります。そのため、1月から2月、2月から3月といった比較で言えばシーズナリティにより上昇する方が自然です。

本日発表された自動車の販売結果についても、昨年同月と比べた場合、大きく落ち込んでいることを考慮すると楽観視はできる状況ではないと思います。自動車メーカーの場合は、その事以上に、GMとクライスラーがバンクラプシーとなるか否かで大きく株価は変わってしまうので、別に関係ないとも言えますが、、、

この様に自動車や住宅の市場については、最近の傾向として(住宅についてはかなり前から)、前年の同月と比べた場合、大きく落ち込んでいても、前月と比べて上昇していることに比重がおかれ、株価が上昇する場合が多々見受けられます。基本的には、根本的な市場環境の改善が起きなければ、遅かれ早かれ再び調整的な下落となります。この傾向に加え、最近は自動車メーカーの破綻や銀行企業の国有化の懸念の動向によって市場全体が大きく上下するため、非常に不安定な状況が続いていると思います。

昨日と今日の上昇からも、市場センチメントに大きな改善があることが明確で、短期的には上昇トレンドが続きそうな状況にありますが、何かのニュースをきっかけに大きな調整が起きる可能性も十分にあります。本日から4月となり、後2週間程度後からは、企業の第1四半期の決算発表のピークの時期に突入します。何度も書いている事ですが、近々に、市場の注目は企業の第1四半期の決算結果と今後の見通しに移って行くと思います。

今週は、金曜日に失業率の発表が予定されており、結果と市場の反応が注目かと思います。


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