2009年4月22日水曜日

4月21日の米国市場


<主要インデックスの終値>

DOW: 7,969.56 +127.83 (+1.63%)
Nasdaq: 1,643.85 +35.64 (+2.22%)
S&P500: 850.08 +17.69 (+2.13%)

今日は市場開始直後は、下落して始まりましたが、上院でガイトナー氏がほとんどの銀行は、今後の損失に対して十分な蓄えがあるとの見方を示したことが銀行株に対する政府の新たな加入に対する懸念を払拭し、ファイナンスセクターは全面高となり、市場全体の上昇の原動力となりました。
Wall St gains as banks lifted by Geithner remarks

<本日の主なニュース>

今日の一番のニュースはなんと言っても財務長官のガイトナー氏の以下の発言でした。

"Currently, the vast majority of banks have more capital than they need to be considered well capitalized by their regulators," Geithner said, a comment that gave stocks a lift in morning trading.

「現時点でほとんどの(大多数の)銀行は、行政から見て必要とされる資本よりも多くの資本を持っている。」

と語った事から、ストレステストの結果がでた際に、一部の銀行に対して政府から追加の資金調達を求められる可能性に対する市場の懸念を払拭した様な形になりました。本日市場開始直後は、ほとんどの銀行株はそれなりに大きく下がっていたのですが、この発言の報道をきっかけに逆に大幅な上昇に転じました。また、市場全体のセンチメントも大きく向上させる事になった様です。
Geithner says most banks have adequate capital

建設機器製造大手のCatapillarの第1四半期の決算結果は、一株あたり19セントの赤字でした。Catapillarが赤字になったのは、過去17年間で初めての事です。売り上げは、前四半期に比べて30%減でしたが、グロスマージンは上昇でした。レイオフの費用を除いた場合の EPSはアナリスト予想を上回りました。本決算発表直後は、株価は一旦6%以上の下落でしたが、ガイトナー氏の発言後の市場全体の上昇の流れに乗り、上昇して終了しています。
UPDATE 5-CAT reports first loss since '92, cuts forecast

United Technologiesも28%の減益となる四半期を発表しましたが、Catapillarと同様に順調に上昇しました。
United Technologies' quarterly profit falls 28%

市場終了後にクレジットカード会社のCapital Oneが四半期の決算を発表しました。結果は、1億7610万ドル、一株あたり45セントの赤字でした。回収不可能と思われるチャージオフのレートは、第4四半期の7.8%から8.39%に上昇しました。アナリストの予想を下回りました。株価は、本日12.48%の大幅な上昇でしたが、発表後のアフターアワーズでは、10%程度下落しています。
Capital One posts first-quarter loss, shares fall

Yahooの発表した第1四半期の結果は、1180万ドルの利益、EPS8セントでした。アナリストの予想と合致しています。株価は発表後のアフターアワーズで数%程度上昇しています。
Yahoo to cut 5 percent of jobs

<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)USB 20.89%, WFC 10.65%, C 10.20%, JPM 9.57%, BAC 9.23%, GS 4.65%, MS 4.80%の大幅な上昇となりました。

(小売り)順調に上昇しています。宝飾品製造販売のTiffanyが10%以上上昇しています。理由となるそれらしいニュースは今の時点では(私は)分かりません。

(住宅関連)順調に上昇しています。

(テクノロジー)  全般的に順調に上昇しています。尚、昨日決算発表したTIは本日は1.21%の下落、Emulexの買収提案を発表したBroadcomも5.83%の下落でした。尚、両社の株とも日中はもっと下がっていたのですが、市場の上昇トレンドの影響もあり下げ幅を縮小して終了しています。

<まとめ・コメント>

建築機器製造大手のCatapillarは17年ぶりに赤字となる四半期決算を発表、景気の影響の厳しさを物語る結果でした。上に書いた様に発表直後は、株価は大きく下落していたのですが、最終的には上昇して終了しています。本日のガイトナー長官の発言の市場への影響は非常に大きかったと言えると思います。この発言で、ストレステストに対する結果への不安もかなり和らいできている様です。Roubini氏やその他のエコノミスト達が、ストレステストはもはやストレステストとしての意味をなさない、と既に語っていましたが、今日のガイトナー長官の発言からも、ストレステストに恐らくほとんどの企業が合格し、早急な資金調達の対応を迫られる可能性も少なくなってきていると思われます。

一方で、IMFが本日発表した金融機関の損失予想は、前回の予想から大きく上昇となり、また、ヨーロッパやアジアの損失も今回から加えてきています。このIMFの予想とガイトナー長官の現時点での金融機関の状況の見方には大きな差があります。ガイトナー長官の発言の裏には、金融機関への不安を高めない様にする配慮があるとしか思えません。市場としても、本日はIMFの発表はほとんど材料視せず、ガイトナー長官の発言に焦点を集め、上昇となった様な格好です。実際問題として、ストレステストの懸念が和らげば短期的にはファイナンスは買い、との動きになるのはある程度理解できます。しかし、中長期的な視点で見た場合は、現時点で新規にロングポジションを構築する事は、明らかに避けるべきセクターだと思います。

昨日少し書きましたが、IBMとTIの市場終了後の決算発表とそのアフターアワーズでの反応は相反するものでした。しかし、今日の株価は、逆にIBMが上昇、多くのテクノロジー株が上昇する中でTIは下落となりました。TIの決算結果はアナリストの予想以上ではしたが、第1四半期の結果、第2四半期の収益予想、今後の見込み等を考慮した場合、株価はオーバーバリューであり、同様の条件で見た場合、IBMは逆にアンダーバリュー気味であると思っています。今日の両社の株価の動きに関しては、比較的妥当だと思います。また、Oracleに関しても、今日は上昇となっていますが、こちらも昨日の時点では、Sun買収のリスクをクローズアップする動きがありましたが、今日は逆に好意的に評価する見方がでてきた事を示していると思います。

CitiとBank of Americaの決算結果で注目が集まりつつあるクレジットロスについては、本日市場終了後に発表したCapital One Financialでも、チャージオフの急速な上昇となっている等、市場全体としての方向性を示唆していると思います。明日の朝にWells Fargoが正式に決算を発表します。好決算である事は既に明らかではありますが、細かい内容に市場の注目は集まっていると思います。住宅ローン関連の事業が非常に好調だったことが、収益向上の主な要因とCFO Atkins氏が既に明らかにしていますが、クレジットロスがどの程度なのか、また、それ以外にも不安要因があるのか、等の視点で決算結果に焦点が当てられてくる様に想像しています。

ガイトナー氏の発言で、市場センチメントは再び急速に良くなっていますが、中長期の視点で見た場合はとても楽観視できる様な状況ではないと思います。後は、これからの企業の決算発表の内容も中短期の市場の動向には大きな影響を与えると思います。取りあえずは、明日のWellsの結果に私も注目したいと思います。


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