2009年3月31日火曜日
3月30日の米国市場
<主要インデックスの終値>
DOW: 7522.02 -254.16 (-3.27%)
Nasdaq: 1501.80 -43.40 (-2.81%)
S&P500: 787.53 -28.41 (-3.48%)
本日は、発表されたオバマ政権の米自動車メーカー救済策のアップデートが予想されたよりも厳しい姿勢を示しており、また、今回設定した期限以内に満足のいく回答、進展が見られない場合は、バンクラプシー選択をした形での解決策となる事を示唆したため、市場関係社の間で破綻(バンクラプシー)の懸念が再び高まりました。また、スペイン政府が銀行の救済を余儀なくされた事、ドイツとイギリスもファイナンスセクターの不安が高まってきている事、さらに、ガイトナー氏がTARPの残りは1350億ドルとなると発言した事等が、ファイナンスセクターに対する不安が再び高まり、ファイナンスセクターは本日大幅な下落となりました。
関連記事:Wall Street hits the brakes on autos, bank woes
<本日の主なニュース>
今日の一番のニュースは、なんと言ってもオバマ政権の自動車メーカー救済策のアップデートの発表でした。大方の予想を覆す、GMと暗いスルーに予想以上に厳しい姿勢を示した事、さらには、バンクラプシーの可能性を十分に示唆させる内容により、バンクラプシーの可能性に対しての懸念が減少していた先週から一転して、不安が高まり、それが市場全体のセンチメントに大きく影響を与えた様です。GMの株は本日25.41%の大幅な下落となりました。
オバマ政権の自動車メーカー救済策のアップデートに関しては、一つ前のエントリーで取り上げておりますので、是非併せてご覧になってみて下さい。
また、WSJが非常によくまとまった良い記事を掲載していますので、英語が苦にならない方は是非、ご覧になって下さい。
Obama Outlines Plans for GM, Chrysler
また、本日夜に掲載されているAPの記事で、米自動車メーカーの組合、労働者側から、オバマ政権の今回の自動車メーカーに対する厳しい対応とウォールストリートの金融企業やAIG への対応にあまりにも差があるとの不満が高まっているとの報道がありました。当該記事のリンクを以下に添付します。
Workers say Obama treated autos worse than Wall St
<主なセクター・株の動き>
(ファイナンス)大幅に下落しています。主なところでは、BAC 17.85%, WFC 14.24%, C 11.83%, MS 9.12%, GS 7.05%の下落となりました。
(小売り)Best Buyが12.58%の大幅な上昇、Targetも5.12%と大きく上昇しました。他の主要な小売りの企業の株価も今日は順調に上昇しています。一方、支払いのプロセスの事業の売却を発表したFifth Thirdは、ファイナンスセクター全体が大きく下落した中で、5.53%の上昇でした。
(住宅関連)それなりに大きく上昇しています。主要なところでは、Centex 15.97%, Lennar 15.11%の下落が目立ったところです。
(テクノロジー) 全般的にそれなりに大きく下落しています。
<まとめ・コメント>
本日は、先週のエントリーで最近の市場の上昇の主な要因として挙げていた“米自動車メーカーの破綻を回避しようとする政府の動き(破綻の懸念の後退)”に対して、発表された内容が予想以上に厳しい姿勢だったため、破綻の懸念が再び高まった事が市場の下落を招いた大きな要因と思えます。また、今回示した政府の厳しい姿勢は、現在行われているファイナンシャル企業に対するストレステストの結果によっては、一部のファイナンス企業に対しても同様に厳しい姿勢で臨む可能性があり、また、最悪の場合は、自動車メーカーに対して示したのと同様に、政府主導のバンクラプシーの選択肢の可能性も再び浮上してきた事が、本日のファイナンスセクターの大きな下落の要因の一つではないかと想像しています。
個人的には、今回の政府の発表した方針は非常に非常に理にかなっていると思います。正直、自動車メーカーに対して、救済の資金を提供しても、抜本的な改革が行われなければ、この先も救済要求が続く可能性もあったと思います。ある程度の猶予期間を与え、結果が得られなければバンクラプシーを選択せざるを得ない、との方向性を示した事で、GMとクライスラーに対して、確固たる対応を取る、結果を示す、強いプレッシャーを与えたと思います。AIG 救済の様な何度も救済を繰り返し、それでもまだ問題を抱えている様な泥沼の状態になることは、これで避けられそうです。また、一つ前のエントリーに書いた事ですが、クライスラーは30日後、GMは60日後には今後の方向性が明確になる、と言った不透明要因を払拭する結果となっています。
一方で、上に掲載したAPの記事の様に自動車メーカーの組合、労働者側からは、自動車メーカーへのオバマ政権の対応とウォールストリートの企業に対する対応の差に対する不満が高まっている様です。労働者側、自動車メーカー側の気持ちとしては、分からなくもありません。この辺りの公平性についての問題が、今後、特にストレステスト後の銀行に対しても、政府に対して確固たる対応を取るプレッシャーとなってくる気がします。この様な、今回のオバマ政権の自動車メーカー救済に対する姿勢によって暗示するものが、本日のファイナンスセクターの大幅な下落の要因だと想像しています。
水曜日に自動車とトラックの販売結果の発表、金曜日に失業率の発表等、いくつか鍵となる経済指標が発表されます。ここ最近、予想以上に良いデータも発表されていましたが、自動車の販売については恐らくかなり悪い事が予想され、また、失業率に関しても良い材料はないので、これらのネガティブな発表について、どれだけ現在の株価が織り込んでいるのかについて、注目しています。
G20に関しては、大きな進展はないだろう、と市場の方はそれ程期待していない様ですが、こちらに関しても、実際どうなるのか注目しています。
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オバマ政権、GMとクライスラーに対する支援策のアップデートを発表
本日、オバマ政権がGMとChryslerに対する救済についてのアップデートを行いました。
米国財務省のGMとChryslerに貸し付けを行うにあたって、両社が今後継続して行くことができるための具体的な案の提出が条件でした。今回の発表は、両社から提出された計画案に対しての政府の見解と今後に対する道しるべが骨子です。
政府発表のファクトシートからの抜粋を訳し要約し、以下に記します。ファクトシートの冒頭で、キー・ファイディングズ(主要な見解)として、以下の様に述べています。
Viability of Existing Plan:
2月17日提出されたGMとChryslerの計画は、継続性に対して確証を与えるには至っていない。現行の体制では、納税者の資金を使用した巨額の新たな投資を妥当であるとするには、不十分である。両社は夫々、期間を設定し、長期の経済的な継続・持続性(を達成するため)の戦略を策定するために相応しい額の運営資金を得る事になる。
General Motors:
GMの現行の計画は妥当(十分)ではないが、オバマ政権は、更に抜本的なリストラクチャリングを行う事により、GMはこのプロセス(過程・手順)を経て、より強くさらに競争力の高い会社に育成されると確信している。このプロセスは、GMのリーダーシップの変更、米財務省による更なる取り組み(尽力)、そして、外部のアドバイザーのリストラクチャリングの取り組みへの強力等を含む。Rick Wagnerは、会長兼CEOの座から離れることになる。この骨子により、更に意欲的なリストラクチャリング計画と計画を実現するに値する戦略を作成するために、オバマ政権はGMに対して60日分の運営資金を提供する。オバマ政権は、GMのリストラクチャリングの取り組みの後ろ盾となる。
Chrysler:
ファイナンシャルと業界の専門家と十二分に協議・相談した結果、オバマ政権は遺憾ながら、クライスラー社は単独の会社として継続して行く事はできない、との結論に至った。しかし、クライスラーはフィアットと合意しており、それは、継続して行くための基本的な道しるべとなる可能性がある。フィアットは、価値のある技術をクライスラーに移譲する準備があり、オバマ政権と幅広い点について相談した結果、米国の工場で新しい燃費に優れた自動車とエンジンを製造することを約束している。しかしながら、一方で、この案件が現実として成立するために、超えなければならない大きな(複数の)障害が存在している。
そのため、オバマ政権は、フィアットとの正式な(確実な)合意の結論をだすため、そしてサポートのため必要となる保有分を確保するため、30日分の運営資金を提供する。もしも、成功した場合、オバマ政権は、クライスラーが求めているこのパートナーシップ(協力関係、協業)を成功させるために手助けとなるとする追加の最大60億ドルの投資を検討する。もし、合意が得られなかった場合、オバマ政権は、クライスラーに対して、いかなる形でも税金を使用した追加の投資は行わない。
A Fresh Start to Implement Aggressive Restructurings:
クライスラーとGMは異なる会社で今後の取る道も異なるものの、2社の両方とも、立ち行かない程の借金があり、両社は新たな出発が必要である。彼らの成功するための最良の機会は、手早く解体する方法のバンクラプシー・コードを適用することかもしれない。会社を分割し、売却する様な清算・整理(liquidation)、あるいは、会社が清算から抜け出すために数年間かかる通常の倒産、とは異なり、構造化したバンクラプシー手法(a structured bankruptcy process) - もしも必要となった場合の手段 – は、GMとクライスラーが昔からの負債を清算することを容易にする手段となり、そのため、引き続き自動車を生産し、我々の経済において職を提供しながら成功への道を得ることができることになる。
A Commitment to Consumer Warrantees:
オバマ政権は、この期間において、GMまたはクライスラーから購入した新車を革新的な保証確約のプログラム(an innovative warrantee commitment program)を通じて、後ろ盾となり支えることを確約する。
Appointment of a Director of Auto Recovery:
オバマ政権は、前労働省長官で労務のトップ・エコノミストのEdward MontgomeryがDirector of Recovery for Auto Workers and Communitiesの任につく事を発表した。Monntgomery博士は、米自動車業界に依存する労働者、地域社会、地域を支援するため、政府のあらゆる人材・機能を活用して職務を遂行する。
(要約終わり)訳については、一部意訳しています。この後に、それぞれのGMとクライスラーの計画のfindingsについての詳細が書かれています。ご興味のある方は、以下の政府発表の資料のpdfのリンクを参照して下さい。
原文:Fact Sheet of the New Path to Viability for GM & Chrysler(GMとChryslerの継続性についての新たな道しるべのファクトシート)
(コメント)
予想されていたよりも厳しい姿勢を示した上での支援策だと思います。GMに対しては、60日間の猶予期間を与え、更なる大胆なリストラクチャリングを託しています。クライスラーに対しては、単独での存続は無理との結論を示した上で、フィアットと共同する道を進む様、半強制的に託しています。
また、今回与えた猶予期限で、求めている結果を得られない場合に対しては、構造化したバンクラプシー手法(a structured bankruptcy process)が最良の方法である事を示唆しています。もしも、バンクラプシーを適用した場合とその可能性に対する消費者の不安を和らげ、新車販売の障害にならないために、この期間内の新車の保証を政府が行うことを確約した事も注目されます。この政府の新車保証については、逆に言えば、バンクラプシーの選択の可能性を示しています。また、Monttgomery氏の任命は、恐らく、バンクラプシーの選択を主眼に入れた意図でのものと想像しています。
今回の発表で、クライスラーは30日後、GMは60日後には今後の方向性がはっきり決まる事が明確になったと思います。
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米国財務省のGMとChryslerに貸し付けを行うにあたって、両社が今後継続して行くことができるための具体的な案の提出が条件でした。今回の発表は、両社から提出された計画案に対しての政府の見解と今後に対する道しるべが骨子です。
政府発表のファクトシートからの抜粋を訳し要約し、以下に記します。ファクトシートの冒頭で、キー・ファイディングズ(主要な見解)として、以下の様に述べています。
Viability of Existing Plan:
2月17日提出されたGMとChryslerの計画は、継続性に対して確証を与えるには至っていない。現行の体制では、納税者の資金を使用した巨額の新たな投資を妥当であるとするには、不十分である。両社は夫々、期間を設定し、長期の経済的な継続・持続性(を達成するため)の戦略を策定するために相応しい額の運営資金を得る事になる。
General Motors:
GMの現行の計画は妥当(十分)ではないが、オバマ政権は、更に抜本的なリストラクチャリングを行う事により、GMはこのプロセス(過程・手順)を経て、より強くさらに競争力の高い会社に育成されると確信している。このプロセスは、GMのリーダーシップの変更、米財務省による更なる取り組み(尽力)、そして、外部のアドバイザーのリストラクチャリングの取り組みへの強力等を含む。Rick Wagnerは、会長兼CEOの座から離れることになる。この骨子により、更に意欲的なリストラクチャリング計画と計画を実現するに値する戦略を作成するために、オバマ政権はGMに対して60日分の運営資金を提供する。オバマ政権は、GMのリストラクチャリングの取り組みの後ろ盾となる。
Chrysler:
ファイナンシャルと業界の専門家と十二分に協議・相談した結果、オバマ政権は遺憾ながら、クライスラー社は単独の会社として継続して行く事はできない、との結論に至った。しかし、クライスラーはフィアットと合意しており、それは、継続して行くための基本的な道しるべとなる可能性がある。フィアットは、価値のある技術をクライスラーに移譲する準備があり、オバマ政権と幅広い点について相談した結果、米国の工場で新しい燃費に優れた自動車とエンジンを製造することを約束している。しかしながら、一方で、この案件が現実として成立するために、超えなければならない大きな(複数の)障害が存在している。
そのため、オバマ政権は、フィアットとの正式な(確実な)合意の結論をだすため、そしてサポートのため必要となる保有分を確保するため、30日分の運営資金を提供する。もしも、成功した場合、オバマ政権は、クライスラーが求めているこのパートナーシップ(協力関係、協業)を成功させるために手助けとなるとする追加の最大60億ドルの投資を検討する。もし、合意が得られなかった場合、オバマ政権は、クライスラーに対して、いかなる形でも税金を使用した追加の投資は行わない。
A Fresh Start to Implement Aggressive Restructurings:
クライスラーとGMは異なる会社で今後の取る道も異なるものの、2社の両方とも、立ち行かない程の借金があり、両社は新たな出発が必要である。彼らの成功するための最良の機会は、手早く解体する方法のバンクラプシー・コードを適用することかもしれない。会社を分割し、売却する様な清算・整理(liquidation)、あるいは、会社が清算から抜け出すために数年間かかる通常の倒産、とは異なり、構造化したバンクラプシー手法(a structured bankruptcy process) - もしも必要となった場合の手段 – は、GMとクライスラーが昔からの負債を清算することを容易にする手段となり、そのため、引き続き自動車を生産し、我々の経済において職を提供しながら成功への道を得ることができることになる。
A Commitment to Consumer Warrantees:
オバマ政権は、この期間において、GMまたはクライスラーから購入した新車を革新的な保証確約のプログラム(an innovative warrantee commitment program)を通じて、後ろ盾となり支えることを確約する。
Appointment of a Director of Auto Recovery:
オバマ政権は、前労働省長官で労務のトップ・エコノミストのEdward MontgomeryがDirector of Recovery for Auto Workers and Communitiesの任につく事を発表した。Monntgomery博士は、米自動車業界に依存する労働者、地域社会、地域を支援するため、政府のあらゆる人材・機能を活用して職務を遂行する。
(要約終わり)訳については、一部意訳しています。この後に、それぞれのGMとクライスラーの計画のfindingsについての詳細が書かれています。ご興味のある方は、以下の政府発表の資料のpdfのリンクを参照して下さい。
原文:Fact Sheet of the New Path to Viability for GM & Chrysler(GMとChryslerの継続性についての新たな道しるべのファクトシート)
(コメント)
予想されていたよりも厳しい姿勢を示した上での支援策だと思います。GMに対しては、60日間の猶予期間を与え、更なる大胆なリストラクチャリングを託しています。クライスラーに対しては、単独での存続は無理との結論を示した上で、フィアットと共同する道を進む様、半強制的に託しています。
また、今回与えた猶予期限で、求めている結果を得られない場合に対しては、構造化したバンクラプシー手法(a structured bankruptcy process)が最良の方法である事を示唆しています。もしも、バンクラプシーを適用した場合とその可能性に対する消費者の不安を和らげ、新車販売の障害にならないために、この期間内の新車の保証を政府が行うことを確約した事も注目されます。この政府の新車保証については、逆に言えば、バンクラプシーの選択の可能性を示しています。また、Monttgomery氏の任命は、恐らく、バンクラプシーの選択を主眼に入れた意図でのものと想像しています。
今回の発表で、クライスラーは30日後、GMは60日後には今後の方向性がはっきり決まる事が明確になったと思います。
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2009年3月28日土曜日
JPMorgan CEO オバマ大統領との銀行首脳ミーティング後のインタビュー
本日、オバマ大統領と銀行のトップがホワイトハウスで会合を行いました。ミーティング後に、CNBCが主要なCEOとのインタビューを行いました。特にJPMorgan Chase CEO Jamie Dimon氏のCNBCインタビューでの発言は他のメディアでも多く取り上げ、また、本日の株価への影響も与えた様です。
CNBCのサイトのインタビューのビデオのリンクとインタビューの内容の概要について以下に記します。
以下、Dimon氏のインタビューでの発言の概要です。
(大統領とのミーティングについて)
ミーティングは1時間以上かかり、大統領からいろいろな質問があった。大統領は様々な点について、皆の意見・考えに興味を持っていた。全員が合意すると言った様な事は何もなかったが、大統領と彼のチームと時間を共にしたのは素晴らしい事だと思う。
(TARP(返済)について)
TARPについて: TARPについては何度も話題になった。これについては、ある企業は必要で、ある企業はそうではない。しかし、部屋にいた全員は、自社ではなく米国のために正しい事をするべきであるとの立場で話し合われた。質問点としては、長期的な視点に立った場合、何か変更すべきなのか、より良い使い方があるのか、と言った事である。TARPの目的は国のために使われるべきであると考えていて、多くの批判はあるが、それはやめて、国のために正しく使おうと言うのが、ほとんどの人の共通の認識だった。
(JPMのTARP返済予定について)
TARPの返済については、自分達の希望はあるが、ガイトナー長官のガイダンスに従う。現在政府はストレステストを実施中で、ストレステストの結果を元にTARP返済について、話し合いを持ち、ガイトナー長官の考えに従うつもりである。いつかは返すことになるが、TARP返済のタイムテーブルは今の時点で持っていない。タイムテーブルとして重要なのは、長期的にどの様なことをするかである。
(業務用不動産についての損失の懸念が高まっていることについて)
我々は、業務用不動産に対して巨大な関わりはない。リセッションではあらゆる分野で支障をきたす。それぞれの分野において、適切に対処しなければ、状況は更に悪いものとなる。業務用不動産だけでなく、不動産、消費者クレジット、住宅ローン、業務用の工業等、全てにおいて共通である。
(エグゼクティブ・コンペンセーションについて)
エグゼクティブ・コンペンセーションは、多くの間違えが行われたことを認める。給与形態は、企業により様々である。我々の場合は、今年はもう全て決まっており、それを変更する予定はない。ボーナスに関しては、株式を中心にする方針である。
(3月のビジネスについて)
トレーディングは2月はうまくいっていたが、3月は少し厳しかった。3月の取引の受注はその前の2月と比べると良くなかった。
(新たな資金調達を行う可能性について)
予定はない。
インタビューの発言の概要は以上です。以下、私のコメントです。
このDimon氏のコメントの中での注目点としては、やはりTARP返済についてと3月のビジネスについてだと思います。TARP返済については、今週、Goldmanがストレステスト終了後の4月末に返済を計画しているとの報道がありました。さらに、Bank of America CEO Lewis氏も4月から返済を開始したい、と述べたこと等からJPMorgan ChaseのDimon氏の発言に注目が集まっていたと思います。
Dimon氏の答えは、ガイトナー長官のガイダンスに従う。と言う非常に優等生的なものでした。一歩間違うと、TARP返済ができる企業とそうでない企業に対して、市場の評価が2分する可能性もあると思うので、Dimon氏の発言は思慮深いものだと思います。オバマ政権からの要望を暗に理解した上と解釈できるかとも思います。
これで、焦点はTARP返済の可否と時期についてのCEOの見解ではなく、ストレステストの結果とその結果を元にした財務省の方針に市場の注目は移って行くのではと予想しています。
3月の収益動向については、明確な回答は避けたものの、1月2月と比べ3月は取引受注が厳しかったと語った事は非常に重要だと思います。JPMorganが厳しかったのであれば、他の銀行も同様な可能性は高いと思います。また、第1四半期の決算に対しても、それ程楽観視できる程の状況でない印象を(私は)受けました。
このDimon氏の発言で、本日のファイナンスセクターは下落したとの見方があるとの報道をいくつか目にしましたが、ある意味、必要以上に楽観的になって市場が大きく上昇すると、その反動も極端になるリスクが高いので、今日の下落は、現状を繁栄していて、ある意味好ましい動きだったのではと思います。
他のCEOの発言のインタビューもあるので、可能であれば後程取り上げようと思っています。
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CNBCのサイトのインタビューのビデオのリンクとインタビューの内容の概要について以下に記します。
以下、Dimon氏のインタビューでの発言の概要です。
(大統領とのミーティングについて)
ミーティングは1時間以上かかり、大統領からいろいろな質問があった。大統領は様々な点について、皆の意見・考えに興味を持っていた。全員が合意すると言った様な事は何もなかったが、大統領と彼のチームと時間を共にしたのは素晴らしい事だと思う。
(TARP(返済)について)
TARPについて: TARPについては何度も話題になった。これについては、ある企業は必要で、ある企業はそうではない。しかし、部屋にいた全員は、自社ではなく米国のために正しい事をするべきであるとの立場で話し合われた。質問点としては、長期的な視点に立った場合、何か変更すべきなのか、より良い使い方があるのか、と言った事である。TARPの目的は国のために使われるべきであると考えていて、多くの批判はあるが、それはやめて、国のために正しく使おうと言うのが、ほとんどの人の共通の認識だった。
(JPMのTARP返済予定について)
TARPの返済については、自分達の希望はあるが、ガイトナー長官のガイダンスに従う。現在政府はストレステストを実施中で、ストレステストの結果を元にTARP返済について、話し合いを持ち、ガイトナー長官の考えに従うつもりである。いつかは返すことになるが、TARP返済のタイムテーブルは今の時点で持っていない。タイムテーブルとして重要なのは、長期的にどの様なことをするかである。
(業務用不動産についての損失の懸念が高まっていることについて)
我々は、業務用不動産に対して巨大な関わりはない。リセッションではあらゆる分野で支障をきたす。それぞれの分野において、適切に対処しなければ、状況は更に悪いものとなる。業務用不動産だけでなく、不動産、消費者クレジット、住宅ローン、業務用の工業等、全てにおいて共通である。
(エグゼクティブ・コンペンセーションについて)
エグゼクティブ・コンペンセーションは、多くの間違えが行われたことを認める。給与形態は、企業により様々である。我々の場合は、今年はもう全て決まっており、それを変更する予定はない。ボーナスに関しては、株式を中心にする方針である。
(3月のビジネスについて)
トレーディングは2月はうまくいっていたが、3月は少し厳しかった。3月の取引の受注はその前の2月と比べると良くなかった。
(新たな資金調達を行う可能性について)
予定はない。
インタビューの発言の概要は以上です。以下、私のコメントです。
このDimon氏のコメントの中での注目点としては、やはりTARP返済についてと3月のビジネスについてだと思います。TARP返済については、今週、Goldmanがストレステスト終了後の4月末に返済を計画しているとの報道がありました。さらに、Bank of America CEO Lewis氏も4月から返済を開始したい、と述べたこと等からJPMorgan ChaseのDimon氏の発言に注目が集まっていたと思います。
Dimon氏の答えは、ガイトナー長官のガイダンスに従う。と言う非常に優等生的なものでした。一歩間違うと、TARP返済ができる企業とそうでない企業に対して、市場の評価が2分する可能性もあると思うので、Dimon氏の発言は思慮深いものだと思います。オバマ政権からの要望を暗に理解した上と解釈できるかとも思います。
これで、焦点はTARP返済の可否と時期についてのCEOの見解ではなく、ストレステストの結果とその結果を元にした財務省の方針に市場の注目は移って行くのではと予想しています。
3月の収益動向については、明確な回答は避けたものの、1月2月と比べ3月は取引受注が厳しかったと語った事は非常に重要だと思います。JPMorganが厳しかったのであれば、他の銀行も同様な可能性は高いと思います。また、第1四半期の決算に対しても、それ程楽観視できる程の状況でない印象を(私は)受けました。
このDimon氏の発言で、本日のファイナンスセクターは下落したとの見方があるとの報道をいくつか目にしましたが、ある意味、必要以上に楽観的になって市場が大きく上昇すると、その反動も極端になるリスクが高いので、今日の下落は、現状を繁栄していて、ある意味好ましい動きだったのではと思います。
他のCEOの発言のインタビューもあるので、可能であれば後程取り上げようと思っています。
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2009年3月27日金曜日
3月26日の米国市場
<主要インデックスの終値>
DOW: 7924.56 +174.75 (+2.25%)
Nasdaq: 1587.00 +58.05 (+3.80%)
S&P500: 832.85 +18,97 (+2.33%)
本日は、発表された第4四半期のGDPと週の失業申請件数がほぼ予想通りであった事(あるいは予想よりも良かった/悪くなかったこと)が市場に安心感を与えた様です。家電小売り最大手のBest Buyが予想を上回る四半期の収益を発表、年間の見通しも強気の見通しを示した事が、非常に大きなインパクトを与えた様に思います。Best Buyの発表は、景気の先行き、特に消費者の動向が予想以上に堅調である、と解釈された様です。
Wall St. surges on economy, Best Buy optimism
<本日の主なニュース>
昨年第4四半期のGDPの最終値は、6.3%の下落となりました。これは、1982年の第1四半期以降で最も大幅な下げ幅となりました。以下に添付の関連記事の中でも、市場関係者(Moody’s)の見方として、最悪期は既に過ぎた、とのコメントを引用しています。ある意味、今日の上昇、市場の見方を端的に物語っている気がします。
関連記事:U.S. economy shrinks, profits plunge in Q4
GMが工場労働者の約12%に当たる7500人の従業員がパッケージを受け取り離職することを発表しました。(7500人の人員削減の発表)
関連記事:GM says 12 percent of UAW workers take buyouts
オバマ大統領が、自動車メーカー救済タスクフォース・チームが数日以内に次の救済策について発表を行うと語りました。GMとChryslerが求めている追加の救済融資を政府が行うだろう、と予想されています。
関連記事:Obama says to help U.S. automakers
関連記事:Obama says U.S. automakers to get "some" aid
Best Buyが決算上2月末締めの第4四半期の決算を発表しました。収益は5700万ドル、EPS$1.35でした。昨年の同期と比べた場合、23%の減益でした。リストラクチャリングと一時的な損失の計上を除いた場合、EPSは$1.61で、アナリストの予想の$1.40を上回りました。
2009年の収益予想は、一株あたり$2.50から$2.90と見ており、アナリスト予想平均の$2.45を上回っています。
関連記事:Best Buy shares jump on Q4 results
<主なセクター・株の動き>
(ファイナンス)下落しているところが多いです。Citi 4.75%, WFC 2.86%, BAC 1.56%, GS 0.85%, MS 1.00%下落しています。一方で、JPMは1.89%の上昇でした。
(小売り)Best Buyが12.58%の大幅な上昇、Targetも5.12%と大きく上昇しました。他の主要な小売りの企業の株価も今日は順調に上昇しています。
(住宅関連)大きく上昇しています。
(テクノロジー) 順調に上昇しています。主なところで上昇が目立ったのは、Intel 5.89%, Sun 4.46%, Motorola 8.33%, Ti 5.66%, Sprint 5.68%, Clearwire 13.18%上昇でした。通信系が好調なのが印象的です。尚、Nokiaは下落となっています。一方、Yahooは下落しているのですが、これは、Thomas WeiselのアナリストChrista QuariesがYahoo CEOのCarol Bartzと話した際、会社は、Microsoftと何かするのではなく、独自の道で製品(サーチを意味すると思います)を向上させて行く方に興味があると語った事が、短期的な株価の先行きの失望を買った様です。
<まとめ・コメント>
今日もかなり順調に上昇となりました。最近の市場の上昇の主な要因としては、以下の4点だと思います。
- 予想程悪くない、第1四半期の米国国内消費
- 低迷している住宅市場が底を打ったと思われるデータ発表
- 銀行国有化の懸念の後退
- 米自動車メーカーの破綻を回避しようとする政府の動き
特に数週間前に市場の下落を招いた際の要因の銀行国有化と米自動車メーカー破綻の二つの懸念材料が回避されそうな方向にあり、不安要因を払拭、更には、一部経済指標で1月から2月にかけて改善が見られる様な数値、そして、米国経済の大きな原動力である消費者支出が思いの外底堅い様に見受けられる事から、既に景気は最悪期を脱した、との見方から積極的に株を買う動きが再発してきている様です。
これらに加え、今週の月曜日に発表された銀行救済策に対する期待ももちろんあるかと思います。
ただ、何となく、この市場の展開・動きは昨年の末から1月にかけての株式市場の戻しと似た傾向がある様に思います。
今日もNasdaq が非常に好調でした。以前も書きましたが、これは、今年の初め頃に、「景気の回復が始まった場合、テクノロジー株は市場をリードし、大きく上昇するだろう」との見方から、テクノロジー株が買われた動きと傾向が似ています。後は、恐らく、上昇のアップサイドの期待と下落リスクに対して、他のセクターと比較した場合、相対的には低いことが買われる理由なのではないかと思います。
市場全体が順調に上昇する中、ファイナンスセクターの多くの企業は下落となりました。市場のセンチメントはかなり良くなってきている様ですが、ファイナンス・セクターに対してはまだ多少なりとも懸念があることを示しています。短期的にはまだ上昇する可能性もあると思いますが、中長期的な視点でのマーケットのトレンドを予想した場合、私は、クレジットの問題等が解決して、ファイナンスセクターが大きく上昇しない限り、市場全体が継続して上昇トレンドを維持する事はできないと思います。
後数週間で、多くの企業が第1四半期の決算を発表します。個人的には、企業の第1四半期の決算動向と今後の見通しが短中期の市場の方向性を決める上で非常に重要だと考え、注目しています。
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2009年3月26日木曜日
3月25日の米国市場
<主要インデックスの終値>
DOW: 7749.81 +89.84 (+1.17%)
Nasdaq: 1528.95 +12.43 (+0.82%)
S&P500: 813.88 +7.63 (+0.95%)
本日は、朝発表された経済指標が、予想以上に良かった事、また、1月に比べて2月の数値が良くなっている事が、景気の回復基調を示すものと好意的に解釈された様で、午前中、各インデックスは昨日の下落分をさらに上回る2%以上の上昇となっていましたが、午後から下落に転じ、一旦は逆に2%近い下落となったものの、そこから終了に向けて急速に回復し、上昇して終了しています。
関連記事:US stocks manage moderate gain
<本日の主なニュース>
商務省が発表した、2月の耐久財の注文は、1656億ドルで前月に比べ3.4%上昇しました。上昇となったのは、7ケ月ぶりで、2007年12月以来で最も上昇したこととなります。ただし、前月の数字は4.5%の下落から7.3%の下落に修正されています。
関連記事:Durable goods orders rebound in February
新築住宅の販売は、年換算の販売ベースで33万7千戸となり、前月から比べ4.7%上昇しました。尚、前月1月は32万2千戸でそれは1963年からで最低のペースでした。
関連記事:U.S. home sales climb at fastest pace in 10 months
Bank of America CEO Ken Lewis氏が、TARPの返済を、政府のストレステスト終了後の来月から始めたいと語ったとの事です。TARPの返済に関しては、昨日、Goldman Sachsが4月に返済を計画しているとの報道がありましたが、今回のLewis氏の発言はそれを追随する様なものです。何となく、この前のファイナンス企業トップの1月2月黒字発言と似た様な展開になってきました。
関連記事:Bank of America CEO eyes TARP repay in April: report
<主なセクター・株の動き>
(ファイナンス)午前中は大幅に上昇しているところが多かったのですが、そこから大きく下落し、再び上昇する等変動が激しかったです。JPM 8.18%, BAC 6.65%, WFC 5.94%, GS 2.12%, MS 3.14%上昇しています。Citiは1.99%の下落でした。
(小売り)上昇しているところが多いです。
(住宅関連)午前中は大幅に上昇していましたが、最終的には数パーセントの上昇のところが多いです。CentexとLennarは日中は15%を超える大幅な上昇でしたが、最終的には若干下落しています。
(テクノロジー) 上昇しているところも多いですが、主要企業で下落しているところも多く目につきました。但し、下げ幅は大きくはありません。(1%未満が多い) 該当するのが、Intel, IBM, Apple, Google, Microsoft, Yahooです。Dellは2%少しの下落でした。
<まとめ・コメント>
本日発表された指標は、予想よりも良かったとの事ですが、数字自体は文句なしに良い、と言ったデータではなく、むしろ逆に警戒すべきだと個人的には思います。それでも、確かに予想よりは良かったので、上昇するのは分かりますが、市場の動向関連の記事で、景気は底を打ったことを裏付けるものだ、との業界関係者のコメントを多く目にしました。良くこれらのデータでそう思えるな、と半分あきれながらも感心していました。
今日の発表された二つの主な指標の内、耐久財の注文に関しては、上昇となりましたが、比較している前月の数字を以前に発表した数値から引き下げら修正値が元になっています。実際のところ、今回発表された2月の数値自体も後で修正になる可能性があります。修正に関しては、当然の事ながら上昇と下落とどちらの可能性もありますが、ここ最近の修正は下落がほとんどです。また、ちょっとトリッキーなのですが、今回の様に予想よりも良かったと発表しておいて、後で実は修正され、実際には予想よりも悪かったケースも過去にあります。ですから、この程度のニュースで大きく上がるのにはちょっと危うさを感じていました。
もう一つの住宅の販売数値に関しても、前月に比べて上昇ですが、比べている前月はデータを取り出した1963年からで最低の数字で、今回の数字も上昇ですが、2番目に悪い数字です。また、住宅の販売は1月よりも2月の方が良いのは通例です。前年の同月と比較した場合は、41.1%の大幅な下落となっており、この数字を見て良い結果だったと思えるのは、本当に楽観的だと思います。実は日中にホームビルダー株が軒並み10%を超える大幅上昇だったので、ショートをかけようとしたのですが、タイミングを逃してしまいました。
明日は、第4四半期のGDPの最終値が発表される予定です。既に発表されている数値は、6.2%の下落で、6.6%に下方修正されると予想されていますが、実際どうなのか注目しています。
経済指標のデータは後で修正になる場合があるので、注意が必要と書きましたが、GDPに関しても同じで、以前にも暫定値の発表の際、予想よりも良く市場はその時上昇しましたが、後で、最終値は大きく下方修正された場合がありました。個人的には、中長期的なトレンドがどうなっているのかを見極めることが重要だと思っています。
Bank of America のLewis氏が来月からTARPの返済をしたいと語ったとの報道は、ちょっと興味を持っています。上にも書きましたが、この前のファイナンス大手トップの一連の黒字見込み発言に続いて、TARP返済についてに市場の注目が集まりそうです。特に、JPMorganに関しては、恐らく返済する事ができると思われ、Dimon氏にも同様の質問が行くと思います。Wells Fargoについても、同様に注目が集まると思います。個人的には、BofAができるのであれば、Wellsは楽勝でできると思っていますが、実際、BofAができるのか懐疑的です。
また、オバマ大統領が今週金曜日に銀行トップと会う予定なので、その時にも、TARP返済についても話題の一つになるかもしれません。
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急速に減速する議会のAIGボーナス課税の動き
AIGのボーナス支給が明らかになった後から、国民や議員の間で本件に対して、非常に強い怒りがわき起こりました。そして、先週、上院は、支給したボーナスを取り返す、また、政府から巨額の救済を得ている企業が今後似た様な形でボーナスを支給しない様にするため、ボーナスに対する課税案を賛成多数で可決しました。
(関連エントリー:3月19日の米国市場からの抜粋)
政府から巨額の救済資金を得ているAIGが1億6500万ドルのボーナスを先週末に支払った事について、大きな話題となっていましたが、米下院が、政府の救済措置を得ている企業において、巨額のボーナスを得た社員に対して、制裁的な課税措置を取る提案を賛成多数で可決しました。この提案は、50億ドル以上の政府から救済資金を得ている企業において、収入が25万ドル以上の社員(一般的に幹部社員)に対して支給されるボーナスに対して90%の税率を適用するものです。この案に対しては、共和党は反対の姿勢を取っていますが、一部の共和党社員も賛成に動き、賛成多数となっています。尚、上院では別の案が検討されているので、まだ、多少紆余曲折がある可能性も残っています。
関連記事:House votes to recoup bonuses from bailed-out firms
(引用終わり)
また、下院でも同様の主旨で手法は若干異なるものの、結果的には支払った税金を取り返す課税案が検討されていました。本日のWSJの一面に”Drive to Tax AIG Bonuses Slows”と言うタイトルの記事が掲載されています。この記事は、先日から大きな話題となっているAIGの巨額のボーナス支給に対して、高額の税率を適用して支払われたボーナスを回収する議会の動きが急速に衰えてきている事を、報道しています。
以下、WSJの記事の概要を要約したものを記します。
先週、上院で可決された政府から巨額の救済援助を受けている企業においてボーナスに対して90%の課税を行う案を、法制化するために下院で審議するのは、4月2日から始まる2週間の休みの前には行われないことは確かであると見られている。また、大統領側が今後その様な支払いを行わない様に監督すると確約した場合、両院とも法制化に向けた動きを引下げることもあり得る。
急速に動きが収まってきている背景としては、上院の予算案に対してオバマ大統領が冷ややかな姿勢を示した事、下院の共和党のリーダーが懸念を示した事、多くのAIGの経営陣がボーナスを返還した事などである。また、それ以外にも、オバマ政権がファイナンス企業経営陣への給与条件を含む金融市場に対する監督の強化の動きがあり、それによって本件をカバーできる可能性があるためである。
中略
上院の多数陣営民主党のリーダーのSteny Hoyerは、先週の上院の過激な動きから一歩下がり、ボーナス課税の法定化はAIGのボーナスが返済されてきている今は「必要ないかもしれない」と提言した。(中略:この後、Hoyer氏は上記の様に語ったものの、上院で可決した案を取り巻く動きに対しては弁護しており、立場を反転しているわけではない。と言った様な話が続きます。)
上院の民主党議員リーダーのHarry Reid氏は、「問題は解決した訳ではない」と昨日語ったものの、緊急度を要するものではなく、数日間待ったとしても問題はなく、時間がある時に行えば良いと考えている、と述べた。また、Reid氏のスポークスマンのJim Manley氏が、オバマ大統領と上院の共和党から懸念が示されているため、一歩離れて、次のステップの可能性について議論する事を決めたと語った。
(話はまだ、続きますが、ここで引用は終了します。)
Drive to Tax AIG Bonuses Slows
Wall Street Journal, A1
March 25, 2009
昨日CBS 60 minutes のオバマ大統領のインタビューを見ました。
(CBS 60 Minutes: President Barack Obama, Part One)
このインタビューでの一番最初の質問は、「AIGのボーナス支給に対する反応、怒りの高まりについて驚きましたか?」だったのですが、これについてのオバマ大統領の答えは、「私も、チームも驚きませんでした。先週、一点強調しようとしていた事、そして、この先数ヶ月も同様に努めようとしている事、重要なことは経済で起きている問題の解決する事です。我々は怒りで政治を行うべきではない。人々が(職を得て)仕事に戻り、クレジットが元通りに機能するために必要な事、状況を把握して、我々は適切な判断をする様に努めなければなりません。私は、日々起こる出来事で自滅する訳にはいきません。私はこの国の経済が正常に機能する様に努める事に注力します。」(多少、意訳している部分があります。)
このくだりを聞いて、多分、オバマ大統領はボーナス課税案に対して、反対の姿勢をだなと思いました。仮に、両院を通過したとしても、拒否権を発動する可能性もある、と思っていましたが、今日のWSJの記事を見て、議会の方もかなり冷静になってきている様な印象を受けました。別の観点で言えば、オバマ大統領がうまく議会に対しても影響力を与えているとも言えるかと思います。
当然の事ですが、まだ、これでこの件は収まった訳ではありませんが、方向性は見えてきた気がします。
オバマ大統領は、今週の金曜日にファイナンス企業の経営者と会って話をする予定との事です。これもかなり重要なイベントと思われます。これらの件については、引き続き見て行きたいと思います。何か、注目すべきニュース等があれば、エントリーする予定です。
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(関連エントリー:3月19日の米国市場からの抜粋)
政府から巨額の救済資金を得ているAIGが1億6500万ドルのボーナスを先週末に支払った事について、大きな話題となっていましたが、米下院が、政府の救済措置を得ている企業において、巨額のボーナスを得た社員に対して、制裁的な課税措置を取る提案を賛成多数で可決しました。この提案は、50億ドル以上の政府から救済資金を得ている企業において、収入が25万ドル以上の社員(一般的に幹部社員)に対して支給されるボーナスに対して90%の税率を適用するものです。この案に対しては、共和党は反対の姿勢を取っていますが、一部の共和党社員も賛成に動き、賛成多数となっています。尚、上院では別の案が検討されているので、まだ、多少紆余曲折がある可能性も残っています。
関連記事:House votes to recoup bonuses from bailed-out firms
(引用終わり)
また、下院でも同様の主旨で手法は若干異なるものの、結果的には支払った税金を取り返す課税案が検討されていました。本日のWSJの一面に”Drive to Tax AIG Bonuses Slows”と言うタイトルの記事が掲載されています。この記事は、先日から大きな話題となっているAIGの巨額のボーナス支給に対して、高額の税率を適用して支払われたボーナスを回収する議会の動きが急速に衰えてきている事を、報道しています。
以下、WSJの記事の概要を要約したものを記します。
先週、上院で可決された政府から巨額の救済援助を受けている企業においてボーナスに対して90%の課税を行う案を、法制化するために下院で審議するのは、4月2日から始まる2週間の休みの前には行われないことは確かであると見られている。また、大統領側が今後その様な支払いを行わない様に監督すると確約した場合、両院とも法制化に向けた動きを引下げることもあり得る。
急速に動きが収まってきている背景としては、上院の予算案に対してオバマ大統領が冷ややかな姿勢を示した事、下院の共和党のリーダーが懸念を示した事、多くのAIGの経営陣がボーナスを返還した事などである。また、それ以外にも、オバマ政権がファイナンス企業経営陣への給与条件を含む金融市場に対する監督の強化の動きがあり、それによって本件をカバーできる可能性があるためである。
中略
上院の多数陣営民主党のリーダーのSteny Hoyerは、先週の上院の過激な動きから一歩下がり、ボーナス課税の法定化はAIGのボーナスが返済されてきている今は「必要ないかもしれない」と提言した。(中略:この後、Hoyer氏は上記の様に語ったものの、上院で可決した案を取り巻く動きに対しては弁護しており、立場を反転しているわけではない。と言った様な話が続きます。)
上院の民主党議員リーダーのHarry Reid氏は、「問題は解決した訳ではない」と昨日語ったものの、緊急度を要するものではなく、数日間待ったとしても問題はなく、時間がある時に行えば良いと考えている、と述べた。また、Reid氏のスポークスマンのJim Manley氏が、オバマ大統領と上院の共和党から懸念が示されているため、一歩離れて、次のステップの可能性について議論する事を決めたと語った。
(話はまだ、続きますが、ここで引用は終了します。)
Drive to Tax AIG Bonuses Slows
Wall Street Journal, A1
March 25, 2009
昨日CBS 60 minutes のオバマ大統領のインタビューを見ました。
(CBS 60 Minutes: President Barack Obama, Part One)
このインタビューでの一番最初の質問は、「AIGのボーナス支給に対する反応、怒りの高まりについて驚きましたか?」だったのですが、これについてのオバマ大統領の答えは、「私も、チームも驚きませんでした。先週、一点強調しようとしていた事、そして、この先数ヶ月も同様に努めようとしている事、重要なことは経済で起きている問題の解決する事です。我々は怒りで政治を行うべきではない。人々が(職を得て)仕事に戻り、クレジットが元通りに機能するために必要な事、状況を把握して、我々は適切な判断をする様に努めなければなりません。私は、日々起こる出来事で自滅する訳にはいきません。私はこの国の経済が正常に機能する様に努める事に注力します。」(多少、意訳している部分があります。)
このくだりを聞いて、多分、オバマ大統領はボーナス課税案に対して、反対の姿勢をだなと思いました。仮に、両院を通過したとしても、拒否権を発動する可能性もある、と思っていましたが、今日のWSJの記事を見て、議会の方もかなり冷静になってきている様な印象を受けました。別の観点で言えば、オバマ大統領がうまく議会に対しても影響力を与えているとも言えるかと思います。
当然の事ですが、まだ、これでこの件は収まった訳ではありませんが、方向性は見えてきた気がします。
オバマ大統領は、今週の金曜日にファイナンス企業の経営者と会って話をする予定との事です。これもかなり重要なイベントと思われます。これらの件については、引き続き見て行きたいと思います。何か、注目すべきニュース等があれば、エントリーする予定です。
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2009年3月25日水曜日
3月24日の米国市場
<主要インデックスの終値>
DOW: 7660.21 -115.65 (-1.49%)
Nasdaq: 1516.52 -39.25 (-2.52%)
S&P500: 806.25 -16.67 (-2.03%)
非常に大きく上昇した昨日から明けた本日は、それ程インパクトのあるニュースもなく、利益確定売りの動き等から若干(?)下落して終了しています。Nasdaqが他のインデックスよりも下がっていますが、ここ最近は他のインデックスよりもパフォーマンスが良かったので、やはり調整的なものと考える事ができるかと思います。
今日の下落の原因としては、政府の銀行救済策について再評価をした結果と言った見方を挙げている記事もあります。
参考記事:Wall St. slides as investors reassess government bank plan
<本日の主なニュース>
本日は、ガイトナー長官とバーナンキ議長が揃って上院の委員会に出席し、AIGの政府の監督に関してそれぞれが声明を行い、議員と質疑応答を行いました。
House Financial Services Committeeのサイトでこの声明と質疑応答の全てを収録したビデオを見る事ができます。関連の記事だけでなくビデオを見ると、実際のやり取りの様子や発言の主旨等良くわかります。ただし、かなり長いです。(2時間以上、前半の1時間で二人の声明は終わります。)時間のある方にはお勧めします。(私も、このエントリーを書きながら、ビデオを見ているところです。)時間に限りがあるが、この件に関することに興味がある方は、以下に添付しておりますGeithner氏とBernanke氏の声明の文書を読まれる事をお勧めします。
Oversight of the Federal Government’s Intervention at American International Group
Tuesday, March 24, 2009, 10:00 a.m., 2128 Rayburn House Office Building
やはりAIG絡みの話は、かなり白熱した様で、メディアの方でも多く取り上げられていました。記事の中でもWSJのものが良くまとまっているので、以下に添付します。(添付の写真もWSJのOnlineの記事のものを使用しています。)
Bernanke, Geithner Call for Broader Government Power
The Wall Street Journal, March 24, 2009
バーナンキ氏の声明文
ガイトナー氏の声明文
関連記事を添付します。
Obama admin. seeks powers to shut firms like AIG
<主なセクター・株の動き>
(ファイナンス)昨日の大幅な反動か、今日はそれなりに下がっています。但し、下落の幅には差があります。特にMorgan Stanleyは2.82%の上昇で非常に目立っていました。なぜなのか、今の時点で明確な理由についての記事は見ていません。Goldmanも1.19%の小幅な下落でした。下落で目立ったのは、WFC 10.56%, JPM 8.52%, BAC 7.44%の下落でした。
(小売り)下落しているところが多いですが、それ程大きくは下がっていないです。
(住宅関連)昨日は、ファイナンス・セクター同様非常に大きく上昇しましたが、本日は、下落しているところが多いです。ただし、下落の幅は
(テクノロジー) 下落しているところが多いですが、主要企業の下落の幅はそれ程大きくありません。Microsoft 2.18%, Yahoo 3.41%下落で目立った感じです。
<まとめ・コメント>
昨日の大幅な上昇に対して、本日はどうなるのかと思いましたが、調整的な下落で終わった様に思います。大幅な上昇の大きな要因だった政府の銀行救済案に関しては、一日経って、これで全てが解決する訳ではない事、解決には時間がかかる事、弊害や抱える諸問題・懸念等もあることから、ある程度冷静に見直された様で、ファイナンスセクターの株は全般的にはそれなりに下がりました。昨日の上昇が極端な位だったので、ある程度大きく下がっても、調整とも解釈できるかと思います。但し、上にも書いた様に下落の幅には差があった事、投資銀行系はMSについては上昇、GSは小幅の下落に留まっていた事も注目に値するかと思います。
上にも書いていますが、AIGの件について、上院の委員会でガイトナー長官とバーナンキ議長の声明と質疑応答が行われました。また、これも上に書きましたが、AIGのボーナスの件については、大きな問題として扱われています。それにより、Goldmanに関しては、政府の救済融資を早期に返還する動きを加速させている等、一部ファイナンス企業の今後の動きに影響を与えたり、また、その動きによって市場にも影響を与える事が予想されます。今日のニュースで、AIGの(高額の)ボーナスを受け取った社員(経営者)の一部はボーナスを返還する動き等も取り上げられています。当分はこの件は、様々な形で市場に影響を与えると思います。
House Financial Services Committeeのガイトナー長官とバーナンキ議長の声明と質疑応答のビデオを見ているのですが、結構、興味深いです。ただ、上に書いた様に非常に長いので、今は、両社の声明が終わって、議員側のコメントの声明等の方に移っています。WSJの記事が簡潔に良くまとまっているので、ご興味のある方は一読をお勧めします。可能であれば、この記事については、別のエントリーで取り上げたいと思っています。
市場の動きに関しては、全体としては調整的な下落、しかも、それ程大幅ではないので、市場の動きとしては落ち着きを取り戻している様に思います。ちょっと注目は、住宅関連のセクターは、昨日の大幅な上昇にも関わらず、今日の下落は限定的だった事です。これは、それなりに大きく下落したファイナンシャルとは、対照的でした。何となく、印象としては、住宅市場については改善が見られ、年内中にも回復するのではと言った見方が強くなってきている様に思います。私はその様にはとても思えませんが、、、
政府の銀行救済策についても、本日のWSJに良い記事があります。これについても本エントリーで取り上げたいと思っているのですが、他にも取り上げたい事が多くあるため、整理して取り組みたいと思います。
(尚、利き腕に痛みがあり、タイプしたり、物を持ったりする事が苦痛なので、どれだけ取り上げられるかは、体の調子とその他にも依存しますので、あしからずご了承下さい。)
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オバマ大統領 CBS 60 Minutes インタビューから
米国時間22日に放送されたオバマ大統領のCBSインタビューにおいて、Geithner財務長官についての話を土曜日にエントリーしましたが、該当の発言の部分のビデオのリンクを以下に添付します。
Watch CBS Videos Online
関連エントリー:オバマ大統領、Geithner財務長官辞任は認めない、と語る(ロイターの記事から)
エントリーの記事でも書きましたが、これを取り上げたロイター記事のタイトルは少なからず過激(?)でしたが、実際のビデオを見るとどの様な経緯・話の流れで、オバマ大統領が発言したのか分かります。ビデオを見ましたが、オバマ大統領は非常に高くGeithner氏を評価していると思いました。記事のタイトルとなった該当の発言に関しては、微笑みながら穏やかに発言しているのが非常に印象的でした。
このCBSのインタビューのビデオはAIGのボーナス件やその他興味深い話題が多いので、できれば、後で本ブログでも取り上げたいと思っています。
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Watch CBS Videos Online
関連エントリー:オバマ大統領、Geithner財務長官辞任は認めない、と語る(ロイターの記事から)
エントリーの記事でも書きましたが、これを取り上げたロイター記事のタイトルは少なからず過激(?)でしたが、実際のビデオを見るとどの様な経緯・話の流れで、オバマ大統領が発言したのか分かります。ビデオを見ましたが、オバマ大統領は非常に高くGeithner氏を評価していると思いました。記事のタイトルとなった該当の発言に関しては、微笑みながら穏やかに発言しているのが非常に印象的でした。
このCBSのインタビューのビデオはAIGのボーナス件やその他興味深い話題が多いので、できれば、後で本ブログでも取り上げたいと思っています。
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Goldman Sachs来月にも政府にTARPの融資返済か?
Goldman Sachsが、政府のTroubled Asset Relief Program(TARP)から受けている100億ドルの融資を来月にも返済する様に動いている、と米国時間24日火曜日(日本時間25日深夜)にNew York Timesが報道し、それを他のメディアでも盛んに取り上げています。
Goldman Sachsや他の主要ファイナンス企業のトップは、今年に入ってからTARPの返済をできるだけ早くしたいと、口を揃えて語っています。これは、政府から援助を受けている企業に対して、経営者に対する給料の上限の設定他、政府や議会がいろいろ介入してくる恐れがある事等が背景にあり、TARPを返済する事により、他から介入される事なく自由に運営したいことが主な理由です。さらには、ここにきてAIGのボーナス支給の問題から、政府の援助を受けている企業に対して、高額ボーナス支給に対する懲罰的な税率の適用の法制化の動き等が、GoldmanのTARPの返済の動きに加速を与えている様です。
以下、元となったNew York Timesの記事を中心に、本件についての概要を記します。
Goldman Sachは、TARPの返済を早ければ来月にも行いたいと計画している。これは、CEO Lloyd Blankfein氏が以前に設定した年末までの返済のゴールのタイム・テーブルよりもはるかに早いスケジュールである。
Goldmanの突然の急を要する返済は、先週のAIGのボーナス支給に対する批判の噴出等が部分的に起因している。さらに、Goldmanは、政府のAIG救済のカウンターパーティーとして、最も恩恵を受けていた事についての批判が高まっている事も理由としてある。
関係者によると、Goldmanの経営陣は、先週、何度も打ち合わせを行い、元々の予定よりもかなり早くお金を返済する事を暫定的に決めた。Goldmanの公式窓口(の社員)は、本件に関して、内々にHouse Financial committee(上院金融委員会)の議長である民主党のBarney Frank氏と話を持った。
If Goldman Returns Aid, Will Others?
The New York Times, March 23, 2009
(以下、記事は続きますが、直接的な引用はここまでにします。)
上記記事の続きでも書かれているのですが、Goldmanが他に先駆けて早々に返済するとなると、他社もそれに追随しようとすることが予想されます。しかし、返済を実際にできるだけの与力のある会社は非常に限られており、引用の記事では、Goldman以外にそれができるのは、JPMorgan Chase位だろう、としています。
Wells Fargo CEOは元々、前財務省長官のPaulson氏が、全主要ファイナンス企業に対して、半強制的にTARPの融資を行う際に反対しており、TARPは必要なく、自社はより有利な条件で資金を自前で調達できた、と強調しています。ただ、Wachoviaの不良資産の処分等でバランスシートが弱っているので、Wells Fargoも早急に返済できるかは、私も分かりません。
Goldmanの場合は、事情としては、経営陣の非常に高額な給料でも知られており、政府に干渉されたくない、と言う気持ちが強いと思われます。また、上記引用記事でも述べていますが、仮に全てTARPを返済して、給料等に上限なく高額の支給ができる様になった場合に、制限のある他社から有能な人物を引き抜く事も容易になると言った理由も指摘しています。
来月は、各主要金融企業も決算を発表します。その決算結果の内容に加え、例えばGoldmanがTARPの返済を行う事を発表した場合は、Goldmanの株価ももちろんですが、セクター全体、あるいは株式市場全体への影響も少なからずあるかと思います。
2週間程前まで、ファイナンス企業の勝ち組と負け組で随分明確なパフォーマンスの差が出てきていましたが、この2週間をとって見た場合は、CitiやBank of Americaと言った負け組と見られる企業のパフォーマンスの方が他の主要企業よりも大きく上回っています。
しかし、第1四半期の決算結果やTARPの返済の可能性等で、再び勝ち組と負け組のパフォーマンスの差が大きくなる可能性もでてきました。
来月の見所にこの件も加わってきたと思います。
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以下、元となったNew York Timesの記事を中心に、本件についての概要を記します。
Goldman Sachは、TARPの返済を早ければ来月にも行いたいと計画している。これは、CEO Lloyd Blankfein氏が以前に設定した年末までの返済のゴールのタイム・テーブルよりもはるかに早いスケジュールである。
Goldmanの突然の急を要する返済は、先週のAIGのボーナス支給に対する批判の噴出等が部分的に起因している。さらに、Goldmanは、政府のAIG救済のカウンターパーティーとして、最も恩恵を受けていた事についての批判が高まっている事も理由としてある。
関係者によると、Goldmanの経営陣は、先週、何度も打ち合わせを行い、元々の予定よりもかなり早くお金を返済する事を暫定的に決めた。Goldmanの公式窓口(の社員)は、本件に関して、内々にHouse Financial committee(上院金融委員会)の議長である民主党のBarney Frank氏と話を持った。
If Goldman Returns Aid, Will Others?
The New York Times, March 23, 2009
(以下、記事は続きますが、直接的な引用はここまでにします。)
上記記事の続きでも書かれているのですが、Goldmanが他に先駆けて早々に返済するとなると、他社もそれに追随しようとすることが予想されます。しかし、返済を実際にできるだけの与力のある会社は非常に限られており、引用の記事では、Goldman以外にそれができるのは、JPMorgan Chase位だろう、としています。
Wells Fargo CEOは元々、前財務省長官のPaulson氏が、全主要ファイナンス企業に対して、半強制的にTARPの融資を行う際に反対しており、TARPは必要なく、自社はより有利な条件で資金を自前で調達できた、と強調しています。ただ、Wachoviaの不良資産の処分等でバランスシートが弱っているので、Wells Fargoも早急に返済できるかは、私も分かりません。
Goldmanの場合は、事情としては、経営陣の非常に高額な給料でも知られており、政府に干渉されたくない、と言う気持ちが強いと思われます。また、上記引用記事でも述べていますが、仮に全てTARPを返済して、給料等に上限なく高額の支給ができる様になった場合に、制限のある他社から有能な人物を引き抜く事も容易になると言った理由も指摘しています。
来月は、各主要金融企業も決算を発表します。その決算結果の内容に加え、例えばGoldmanがTARPの返済を行う事を発表した場合は、Goldmanの株価ももちろんですが、セクター全体、あるいは株式市場全体への影響も少なからずあるかと思います。
2週間程前まで、ファイナンス企業の勝ち組と負け組で随分明確なパフォーマンスの差が出てきていましたが、この2週間をとって見た場合は、CitiやBank of Americaと言った負け組と見られる企業のパフォーマンスの方が他の主要企業よりも大きく上回っています。
しかし、第1四半期の決算結果やTARPの返済の可能性等で、再び勝ち組と負け組のパフォーマンスの差が大きくなる可能性もでてきました。
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2009年3月24日火曜日
3月23日の米国市場
<主要インデックスの終値>
DOW: 7775.86 +497.48 (+6.84%)
Nasdaq: 1555.77 +98.50 (+6.76%)
S&P500: 822.92 +54.38 (+7.08%)
本日の市場は、待望の銀行救済策の詳細が発表された事、また、いくつかの大手のプライベート・インベスター(年金ファンドや保険会社等が参加を表明している様です。)が救済策に参加する事を明らかにした事が市場に非常に好感された様です。さらに、中古住宅の2月の販売が5.1%上昇した事が発表され、現在の経済の問題の中でも特に懸念材料が多い、銀行と住宅のセクターの両方に良いニュースがあったことが、市場のセンチメントを大きく引き上げたと思われます。
関連記事:Bank plan details fire up Wall Street
関連記事:Stocks surge on bank plan, rise in home sales
<本日の主なニュース>
Tim Geithner氏のプレス・ブリーフィング(ホワイト・ハウス・プレスリリース)
National Association of Realtors (NAR)が2月の既存(中古住宅の販売は5.1%上昇して、年間の販売ペースに換算して472万戸の販売となった事を発表しました。2003年7月以来で最大の上昇幅との事です。しかし、販売の内、45%はフォークロジャー等の破綻がらみのものです。また、昨年の同月と比べた場合は、4.6%の減少です。また、販売価格の中央値は、昨年2月と比べ15.5%下落しています。
関連記事:U.S. existing home sales rose in February
Suncor Energyがペトロ-カナダを150億ドルで買収すると発表しました。
関連記事:Suncor to buy Petro-Canada for $15 billion
<主なセクター・株の動き>
(ファイナンス)非常に大きく上昇しています。BAC 26.01%, JPM 24.67%, WFC 23.87%, MS 20.70%, C 19.47%, GS 15.01%上昇です。
(小売り)順調に上昇しています。目立ったのは、Targetが9%と大きく上昇しました。また、Tiffanyが第4四半期の結果を発表、減益となったもののアナリストの予想を上回った事等から、本日は15.52%の大幅な上昇でした。また、2009年の収益見込みに関しては、アナリストの予想を下回っています。
参考記事:Tiffany 4Q profit sinks, still beats view
(住宅関連)ファイナンス・セクター同様非常に大きく上昇しています。上がっているところは20%を超えており、上昇幅が低いところで10%以上の増加です。
(テクノロジー) 主要なところは、順調に上昇しています。
<まとめ・コメント>
週を通してみた場合、2週連続で大きく上昇していた米株式市場、待望の銀行救済策の発表が週明けにあるとの見込みが週末から盛んに報道されていました。週明け早々、本日の朝9時半にGeithner氏が期待通り銀行救済策を発表し、内容もほぼ予想通り、また、プライベート・セクターも投資に参加する予定との発表で、市場としては聞きたかったニュースが期待通り発表されたと非常に好感された様です。
これに加えて、2月の中古住宅販売件数が前月に比べて大きく上昇とのニュースは、市場心理を大きく後押しする様になった様です。ここ最近のオバマ政権の声明でも、先行きに対してポジティブな印象を与える様なトーンが強めていたところで、具体的な施策の発表、そして、景気が持ち直しつつある様な市場データによって、投資家としても一気に買い進められた様です。
一つ前のエントリーにも取り上げていましたが、先週からの今週の末にかけては、Geithner氏への批判が高まってきていているとの報道を多く目にしていたのですが、今日のニュースでとりあえず、Geithner氏への批判・不満は一掃されてしまった観があります。面白いくらいに、市場心理や報道が大きく変化している様に思えます。
また、Suncorのペトロ・カナダ買収の発表は、業界再編の動きが活発になり、大型の買収や合併の案件が今後も起きてくるだろうと予測され、それも株式市場に対しては、非常に好材料となっている様に思います。
一方で、今日の市場を引き上げる大きな要因と見られている、中古住宅の販売結果ですが、全面的に良い内容ではありません。販売数の内の半分弱はフォークロジャーによるものです。また、住宅販売価格は下がっています。
ちょっと注目すべきは、市場がこれだけ大幅に上昇したにもかかわらず、金の価格の下落はそれ程大きくなかったことです。これは、一部投資家はヘッジのために金を買う動きがあったためなのでは、と思います。おもしろいのは、つい2週間前頃までは、CNBC等で今が買いだと思うと言う業界関係者でも、ファイナンス・セクターは除いて等と言う論量が支配的だった事です。この様な見方は、今日の時点で完全に反転し、今は逆にファイナンスが買いになってきている様に思えます。
市場の見方としては、このまま上昇のトレンドでいくとの見方が支配的になってきている様です。ただし、市場上昇の勢いが中期的にも続くかどうかは、4月中旬から本格化する主要企業の第1四半期の決算動向と今後の見通しについてだと思います。これらの結果によって、どちらの方向にも大きく動く可能性があると思います。楽観的な見方が再び強くなってきている気がするので、これ以上短期的に上昇した場合は、第1四半期の企業決算でさらに予想外に良い結果が多くないと、反動のリスク、ダウンサイドのリスクが高まってきている様に思います。
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2009年3月22日日曜日
オバマ大統領、Geithner財務長官辞任は認めない、と語る(ロイターの記事から)
米国時間の21日土曜日の時点で(日本は既に日曜の朝です)、メディアは来週早々、月曜日にも大きく注目を集めている財務省の銀行救済策の詳細が発表される見込み、との報道を活発に行っています。以下、WSJとNew York Times, Reutersの記事のリンクです。特に、WJSとNYTimesの記事は非常に良いので、お勧めです。
U.S. Sets Plan for Toxic Assets (Wall Street Journal)
Toxic Asset Plan Foresees Big Subsidies for Investors (New York Times)
Treasury to unveil bank rescue bid soon
(Reuters)
この様なニュースの中で、私の目に飛び込んできた記事のタイトルが、表題のタイトルです。Reutersの記事で、原題のタイトルは、”Obama says would not accept Geithner resignation”です。注目の銀行救済策発表直前にGeithner氏が辞任する等とはとても考えられません。発表後に内容等で槍玉に挙げられて、辞任表明するのならまだ分からなくもありませんが、、、
記事を読んで頂ければ、すぐに分かるのですが、要は、明日日曜日に放送予定のCBSの"60 Minutes"と言う番組でオバマ大統領とのインタビューが行われ、そのインタビューの中で、「もしも、Geithner氏が辞めようとしたら?」と聞かれ、「そんなことは認めない」と答えたそうです。(注:実際の発言はもっと米口語的な表現です。実際の発言は"Sorry buddy, you've still got the job."だそうです。「悪いけど、それでも君にはその仕事をしてもらうよ」的な意味です)
さらに、オバマ大統領は、Geithner氏と彼の辞任の可能性についての話等、一切した事がない。と強調していたとの事です。まったく人騒がせなタイトルの記事で、少しあきれてしまいましたが、事の背景としては、先週から急速に盛り上がりをみせているAIGのボーナス支給に関して、Geithner氏が全面的に自分に責任がある(直前まで知らなかった。知っていたら止めていた、と断った上での発言)と語ったこと、さらにこのボーナス支給を見過ごした責任を追及する動きがある様です。
恐らく、このロイターの記事はすぐに忘れられ、本筋の銀行救済案やAIGのボーナス支給を巡るやり取りの方に注目はさらに集まって行くと思います。
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U.S. Sets Plan for Toxic Assets (Wall Street Journal)
Toxic Asset Plan Foresees Big Subsidies for Investors (New York Times)
Treasury to unveil bank rescue bid soon
(Reuters)
この様なニュースの中で、私の目に飛び込んできた記事のタイトルが、表題のタイトルです。Reutersの記事で、原題のタイトルは、”Obama says would not accept Geithner resignation”です。注目の銀行救済策発表直前にGeithner氏が辞任する等とはとても考えられません。発表後に内容等で槍玉に挙げられて、辞任表明するのならまだ分からなくもありませんが、、、
記事を読んで頂ければ、すぐに分かるのですが、要は、明日日曜日に放送予定のCBSの"60 Minutes"と言う番組でオバマ大統領とのインタビューが行われ、そのインタビューの中で、「もしも、Geithner氏が辞めようとしたら?」と聞かれ、「そんなことは認めない」と答えたそうです。(注:実際の発言はもっと米口語的な表現です。実際の発言は"Sorry buddy, you've still got the job."だそうです。「悪いけど、それでも君にはその仕事をしてもらうよ」的な意味です)
さらに、オバマ大統領は、Geithner氏と彼の辞任の可能性についての話等、一切した事がない。と強調していたとの事です。まったく人騒がせなタイトルの記事で、少しあきれてしまいましたが、事の背景としては、先週から急速に盛り上がりをみせているAIGのボーナス支給に関して、Geithner氏が全面的に自分に責任がある(直前まで知らなかった。知っていたら止めていた、と断った上での発言)と語ったこと、さらにこのボーナス支給を見過ごした責任を追及する動きがある様です。
恐らく、このロイターの記事はすぐに忘れられ、本筋の銀行救済案やAIGのボーナス支給を巡るやり取りの方に注目はさらに集まって行くと思います。
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3月20日の米国市場
<主要インデックスの終値>
DOW: 7278.38 -122.42 (-1.65%)
Nasdaq: 1457.27 -26.21 (-1.77%)
S&P500: 768.54 -15.50 (-1.98%)
今日は、バーナンキ議長のスピーチがフェニックスで行われる予定で、何か期待できる声明があるのではとの見方から、市場は若干上昇していましたが、声明が発表された後は、下落基調となり前日比マイナスで終了しています。特にTALFがFedが確約している2000億ドルの内、まだ2.5%しか貸し出されていない事が大きな失望を買った様です。以下、関連記事を参照して下さい。
Wall St. hurt by banks as TALF falls short
Wall St. hurt by banks as TALF falls short
<本日の主なニュース>
市場が注目していたバーナンキ議長の声明でしたが、それ程、注目すべき発言はなかった様に思います。関連記事を添付しますが、タイトルになっている”exist strategy(出口戦略)”についても、あまりにも当たり前のことを言っているだけです。添付記事の中でちょっと興味を持ったのは、今回のTreasury Bond購入策は、日本が90年代に取った量的緩和の政策と同じものである、との部分でした。
Bernanke says Fed has exit strategy from credit policy
Citigroupが、経営陣の人事移動の発表をしました。CFOのGary Crittenden氏は、不良資産を処分する事業ユニット、Citi Holdingsの会長に就任し、暫定CEOのMichael Corbat氏とともに不良資産の処分に当たるとの事です。また、Edward Kelly氏が後任としてCFOに任命されました。この人事は、市場から好意的に評価された様で、他のファイナンスの主要企業が大きく下落する中で、Citiの株は0.77%の上昇となりました。
UPDATE 3-Citigroup CFO to run troubled bank unit
<主なセクター・株の動き>
(ファイナンス)昨日に引き続き下落しています。下落で目立ったのは、BAC 10.68%, WFC 9.27%, JPM 7.21%下落です。
(小売り)下落しているところが多いです。
(住宅関連)それなりに下落しています。
(テクノロジー) 下落しているところが多いですが、その中でGoogleは、0.07%の微増、Microsoftもそれ程下がりませんでした。
<まとめ・コメント>
昨日に続き、本日も下落となりましたが、週を通した場合は上昇となっており、これで2週続けて市場は上昇となりました。先週から大幅な上昇を続けていたファイナンス・セクターの主要企業は、昨日と今日でそれなりに下がってはいますが、約2週間前の水準と比べると、それでも、大きく上昇(回復?)しています。特に、Goldmanに関しては、大きく上昇しています。続々と発表される政府とFedの救済措置の中で、かなりの恩恵を受け、しかも、相対的な下落のリスクが他社よりも少ないので、Goldmanが好んで買われているのだと思います。もちろん、リスクは高いものの、大きく上昇する可能性もそれなりにあるCitiやBACも、多少なりとも投機的な視点では好まれて、活発に取引されています。
市場全体の取引数量もかなり高い水準にあり、取引自体はかなり活発に行われている様です。週明け早々にも、財務省が銀行救済策の詳細を発表する見込みとの事です。財務省の発表前に、一旦、ポジションをクローズしておく、短期取引の利益を確定しておく、といった様な動きがあったので、この2日は下落したのではと考えています。
財務省の救済策の具体的な内容について、また、市場の反応がどうなるのか注目しています。
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2009年3月20日金曜日
3月19日の米国市場
(旅行中のため、簡単にしています。)
<主要インデックスの終値>
DOW: 7400.80 -85.78 (-1.15%)
Nasdaq: 1483.48 -7.74 (-0.52%)
S&P500: 784.04 -10.31 (-1.30%)
本日は、前日終値より高く始まりましたが、すぐに下落基調となり、多少上下したものの前日比でマイナスのまま終了しました。昨日の上昇の大きな要因となったFedの長期Treasury Bond購入とさらなるクレジット市場に対する施策の発表は、一日経って、Fedのこれらの刺激策が長期的なインフレを引き起こす懸念等が高まり、ファイナンスセクターは本日は一転して大幅安となり、市場全体としてもマイナスとなりました。主要インデックスの動きとしては、ファイナンスセクターの割合が高いS&P 500が他のインデックスよりも下落、Nasdaqは下落の幅は他の主要インデックスよりも小さかったです。これは、昨日市場終了後に市場予想よりも良い四半期決算を発表したOracleが10%近い上昇となった他、他の主要ソフトウェア関連の企業の株も堅調な動きをしたことが、Nasdaq全体のパフォーマンスの下落に歯止めをかけた様です。
<本日の主なニュース>
昨日の上昇の大きな要因となったFedの長期Treasury Bond購入とさらなるクレジット市場に対する施策の発表は、今日は逆にそれが意味するクレジット市場の問題、長期インフレ懸念等、マイナス材料の方に市場の注目が移り、ファイナンスセクターは本日は一転して大幅安となりました。
関連記事:Wall Street falters on financials
関連記事:Stock rally fades as investors assess Fed moves
原油価格は本日7%を上回る上昇となりました。これは、昨日Fedの昨日の発表に起因して、ドル安を招き、それに対して原油が買われたとの見方が支配的です。
関連記事:Oil surges 7 percent past $51 on Fed plan, weak dollar
政府から巨額の救済資金を得ているAIGが1億6500万ドルのボーナスを先週末に支払った事について、大きな話題となっていましたが、米下院が、政府の救済措置を得ている企業において、巨額のボーナスを得た社員に対して、制裁的な課税措置を取る提案を賛成多数で可決しました。この提案は、50億ドル以上の政府から救済資金を得ている企業において、収入が25万ドル以上の社員(一般的に幹部社員)に対して支給されるボーナスに対して90%の税率を適用するものです。この案に対しては、共和党は反対の姿勢を取っていますが、一部の共和党社員も賛成に動き、賛成多数となっています。尚、上院では別の案が検討されているので、まだ、多少紆余曲折がある可能性も残っています。
関連記事:House votes to recoup bonuses from bailed-out firms
オバマ政権は、倒産の危機に直面している自動車部品メーカーに対して、50億ドルの救済融資を行うことを発表しました。
関連記事:U.S. throws lifeline to distressed auto suppliers
<主なセクター・株の動き>
(ファイナンス)昨日の大幅上昇とは逆に、本日は大幅下落となりました。目立ったところは、Citi 15.58%, Morgan Stanley 13.02%, Wells Fargo 15.58%, Bank of America 9.65%の下落となっています。
(小売り)上昇と下落に分かれていますが、主要企業で下落しているところの下落幅はそれ程大きくありません。
(住宅関連)MTH 11.43%, LEN 8.99%は割と目立って下落しているところです。それ以外は5%以下の下落で、あまり下がっていないところもあります。
(テクノロジー) Oracle 9.73%上昇が際立っています。加えて、Yahoo, Microsoft, Citirix 等のソフト系の会社も上昇。IBM, Apple, Dell, HPも上昇しています。
<まとめ・コメント>
昨日のFed の発表の影響で本日は、ドル安となり、それによって原油価格が大幅に上昇したことにより、Fedの施策の負の側面が逆に市場の注目を集めることとなり、ファイナンス・セクターは大幅な下落となりました。インフレ懸念が高まっている事を挙げる記事を多く目にしましたが、セクター的に見ると、ファイナンス・セクターの下落が顕著である一方で、小売りはそれ程でもないこと等を考えると、ここ最近大幅に上昇していたファイナンスセクターの株を中心に利益確定、調整的な動きで下落したと私は解釈しています。
昨日市場終了後に予想以上に良い四半期決算を発表したOracleは本日は10%近い上昇となり、ソフト系の企業や、ハイテク大手の株は上昇したところも多く、投資家の売買の志向に影響を与えてきていると思います。この傾向は、昨年末頃から今年の1月にかけてのテクノロジー株を積極的に買う動きと似ています。気をつけなければいけないのは、1月後半から下落になった際には、テクノロジーもやはり大きく売られ、下落したので、今後市場全体が再び下落基調になるようであれば、結局、テクノロジー株も下がる事になることが予想されます。
一日で、昨日発表されたFedの 施策に対する見方が180度反転するのは、あきれる様な気持ちにもなりますが、どちらか一方に極端に振れるよりも、1日経って相殺されるのであれば、市場全体としてみた場合、ある意味で好ましい気もします。ファイナンスセクターの株の取引数量はここ最近以上に多く、例えば、Citiの株の一日の取引数量は連日10億株を超えています。これだけ激しく上下に短期で動けば、取引数量も尋常でなくなるのも分かりますが、それにしても行き過ぎの観があります。
もう少しすると、第1四半期の決算結果がどうなのかに、市場の注目は移って行くと予想していますが、それまでに、市場がある程度沈静化するのか、再び、上昇か下落のどちらかに極端に動いて行くのか、興味深いところです。
2009年3月19日木曜日
3月18日の米国市場
<主要インデックスの終値>
DOW: 7487.37 +91.67 (+1.24%)
Nasdaq: 1491.22 +29.11 (+1.99%)
S&P500: 794.40 +16.28 (+2.09%)
本日は、前日終値より低く始まり、午後2時頃までその水準を維持していましたが、Fedが長期のTreasury Bondsを購入すると声明を発表し、それを市場は好感し、上昇に転じて今日も上昇で終了しました。FedがTreasury Bondを購入するのは、過去40年で初めての事とのことです。このニュースで、銀行株、ホームビルダー株は大幅な上昇となりました。
Wall St. jumps as Fed spurs optimism
<本日の主なニュース>
今日の一番のニュースは、上にも書きましたが、Fedが40年以上ぶりにTreasury Bondsを購入すると発表した事だと思います。 Fedのプレスリリースのリンクを添付します。
Fed プレスリリース
発表の概要は、住宅ローン担保の証券を追加で最大7500億ドル購入する。これにより今年の購入総額は1兆2500億ドルに達することになる。さらに、プライベート・クレジット市場の状況を改善するため、長期のTreasury bondsをこの先6ケ月の間に最大で3000億ドル購入することを決めた。その他、クレジットの貸し出しを促進するため、Term Asset-Backed Securities Loan Facilityを一般家庭と小規模事業者に対しても対象を広げ、また担保の種類に関しても範囲を広げる。
この発表によって、30年の返済期限の住宅ローンの金利は、過去最低を記録することになりました。史上最低の金利により、住宅市場が改善される事の期待が高まっている様です。
IBMがSun Microsystemsを買収する話し合いをしていると、WSJが本日報道し、Sun Microの株は本日78.87%と8割近い大幅な上昇となりました。
関連記事:IBM in Talks to Buy Sun in Bid to Add to Web Heft
市場終了後にOracleが四半期の決算を発表しました。結果は、アナリストが予想していた程、ソフトウェアの売り上げの下落が大きくありませんでした。(予想12%減に対して、実際は6%減)全体の売り上げとしては、2%の上昇で55億ドルでアナリスト予想の54億ドルを上回りました。EPSはスペシャルアイテム(一時的な特別損失・利益)を除いて、EPS35セントでした。また、初めて配当を行うことを発表しています。尚、ソフトウェアの売り上げフォ=キャストに関しては、為替の影響等もあり、昨年同期に比べ17%から27%の下落となる見込みであるとしています。尚、為替による影響として12%減を予想しています。
関連記事:Oracle results beat forecasts, plans dividend
<主なセクター・株の動き>
(ファイナンス)BAC 22.33%, C 22.71%, WFC 17.46%と大幅に上昇しています。尚、E*Tradeは、40.66%の上昇でした。
(小売り)今日も全般的には非常に順調でした。その中で、WalMartは0.88%とそれ程上がらなかった事、Kraftが4.38%の下落, JNJは0.12%の微減で目につきました。
(住宅関連)順調に大きく上昇しました。
(テクノロジー) なんと言ってもSunの8割近い上昇が目立ちます。それ以外ではRIMM, Google, HP, IBM等の大手が軒並み少し下がった事、Yahooは4.07%の下落だったのが目を引きました。尚、Chapter 11を既に発表しているCharter Communicationsが119.59%, Spansionが42.86%と大幅に上昇しているのも目につきました。
<まとめ・コメント>
今日は、下落していましたが、Fedの発表はかなりインパクトがあった様で、市場を一気にさらなる“いけいけ”ムードに引き上げた様です。ここ10日程で大幅な上昇をしている銀行株は今日も大幅な上昇となりました。特にCitiとBofAに関しては、20%を超える上昇で、勢いは留まるところをしりません。Citiに関しては、とうとう3ドルを超えてしまいました。2週間程度前に1ドルを切っていた事が嘘のようです。このことは、10日程度で株価が3倍になってしまう、とても普通の状況では考えられない市場の状況を表していると思います。
Fedが40年以上ぶりにTreasury Bondを購入する事を決定したのは、景気・市場の状況が尋常ではない事を示していると思うのですが、その様な側面の見方に関しては、メディアが取り上げているのをまだ見ていません。何となくですが、ここ最近のメディアの報道に関しては、意図的なものを感じます。私の単なる妄想だと思って、聞き流して下さい。尚、Fedのプレスリリースの冒頭のパラグラフを読むと、Fedが市場の状況が厳しく、予断をゆるさないと考えている事が良く伝わります。
今日の市場終了後のOracleの発表はかなり重要だと思います。予想よりも悪くない売り上げ、厳しい状況の中でも利益を出し続けている事、初めて配当を開始する事、これらの事は、ここにきてハイテク株を買う動きを更に後押しする可能性があります。昨日も書きましたが、相対的なリスクとリワードを考えると、“テクノロジー株は買い“と考えるプロは多いと思います。更に、今日のIBMのSun買収の可能性の報道等、今後、さらに業界再編的な買収案件が出てくる事が予想され、それも、買いを誘うこととなると思います。
危うさを感じずにはいられないのですが、雰囲気的には4月の中頃までは、この上昇トレンドが続く可能性もでてきました。どうなるのか、ある程度一歩引いて見て行きたいと思います。
2009年3月18日水曜日
3月17日の米国市場
<主要インデックスの終値>
DOW: 7,395.70 +178.73 (+2.48%)
Nasdaq: 1,462.11 +58.09 (+4.14%)
S&P500: 778.12 +24.23 (+3.21%)
本日は、発表された住宅建設着工の件数が予想とは異なり上昇となった事、それにより、ホーム・デポや他の小売り企業の株価を引き上げ、また、GoldmanがCiscoの株を買い推奨とした事等から、市場は大きく上昇して終了しました。特にNasdaqに関しては、4%を超える大幅な上昇となっています。
<本日の主なニュース>
今日の一番のニュースは、やはり住宅建設着工件数のニュースだと思います。関連記事の内容をここで簡単に紹介します。
2月の米国の住宅建設着工と承認の件数は、過去最低の状況から、10ケ月ぶりに上昇となった。
アナリストは、住宅市場の低迷のトレンドについては変わりはない、としたものの、市場が落ち着きつつあり、景気の先行きに対してのプレッシャーを軽減したとしている。
商務省は、住宅着工件数は、1月の年換算のペースで47万7千件から、58万3千件、22.2%の上昇となった、と発表した。これは、1990年1月からで最大の上昇幅で、昨年4月からで初めての上昇となった。
U.S. housing offers hope for economy
<主なセクター・株の動き>
(ファイナンス)ほとんどの主要企業の株は5%を超える大幅(?)な上昇となりました。その中で、Bank of Americaは1.46%の上昇に留まりました。
(小売り)こちらも、ほとんどの主要企業は5%を超える大幅な上昇で順調でした。
(住宅関連)順調に大きく上昇しました。
(テクノロジー) 主要企業は5%前後順調に上昇したところが多かったです。
<まとめ・コメント>
今日は、発表された住宅着工件数が予想に反し、大幅な上昇になったことが、景気の先行きの見通しや市場心理に大きく貢献した様です。先週の大幅な上昇に続き、本日も株式市場は非常に順調でした。また、主要インデックスで見た場合、Nasdaq が非常に好調でした。これは、今年の初め頃に、「景気の回復が始まった場合、テクノロジー株は市場をリードし、大きく上昇するだろう」との見方から、テクノロジー株が買われた動きと傾向が似ています。後は、恐らく、下落リスクに対して、相対的には低いことが買われる理由なのではないかと思います。例えば、ファイナンスや一部の株に関しては、ここ10日間程度で非常に大きく上昇しており、市場心理に影響するネガティブなニュース等があった場合に、調整的な反動で大きく売られるリスクが高いと思われ、相対的にそう言った反動下落に対するリスクを考慮すると、テクノロジー株は上昇の可能性、下落のリスクのバランスの点で買いやすい気がします。
この一つ前のエントリーに取り上げている政府は自動車メーカーの破綻を回避する事を望むとのWSJの報道も、市場センチメントの向上に大きく貢献したのではと思います。数週間前にGMの破綻観測が高まった時に市場が大きく下落したのは記憶に新しいところですが、今回はその逆の様な気がします。
市場はここ10日位の間に大きく上昇しています。市場心理に関しても、数週間前とは大きく異なります。本当におもしろいものです。先週末のエントリーに書きましたが、ここ数週間でのメインのイベントとしては、オバマ政権がファイナンス企業に対する会計基準の変更(’Mark to market policy ‘に関連するもの)、空売りを抑制するuptick rule導入の観測、等です。これらに加え、自動車メーカーに対する今後の見込みと方針の発表等、市場に対しても大きな影響を与えるイベントを控えています。
これらのオバマ政権の発表前にここまで上がってくるとは、ちょっとびっくりしています。この市場上昇の勢いが中期的にも続くかどうかは、4月中旬から本格化する主要企業の第1四半期の決算動向と今後の見通しについてだと思います。この結果によって、どちらの方向にも大きく動く可能性があると思います。ここにきて楽観的な見方が再び強くなってきている気がするので、これ以上短期的に上昇した場合は、第1四半期の企業決算でさらに予想外に良い結果が多くないと、反動のリスクが少なからずあるのではと思います。
オバマ政権、米自動車企業破綻を回避する様動く
先日、Obama政権のタスクフォースが、バンクラプシーの法律家を雇ったとの報道がありましたが、17日のWSJで、タスクフォースのリーダー達は、Chapter 11を申請するバンクラプシーでなく、リストラクチャリングに注力しているとの報道がありました。
この記事は、Steven Rattner, タスクフォースの中心人物のインタビューからの引用なので、信憑性は高いと思います。
Obama Seeks to Avoid Auto Bankruptcies
Wall Street Journal, March 17, 2009
以下、記事の概要です。
Steve Rattnerはインタビューで、「時として、(バクラプシーは)いくつかの企業にとって必要な場所となるが、確実に望ましい場所ではなく、そして、我々のゴールがこれらの会社がバンクラプシー(破綻申請)となることを見る事ではないことも明らかである。彼らのビジネスは消費者に直面している性格であることを考慮した場合、特にそうである。」
オバマ政権は、同様に、タスクフォース・チームは、GMとクライスラーに対して貸し出した174億ドルの融資の条件として、会社が3月31日までに、長期的にやっていけることを証明することを求めていたが、これについて再度厳守する様にすることを行わない、としている。
政府筋は、二つの自動車会社は既に現金を使っており、(貸し出した)ファンドを返す様に要求する事は、彼らが直ちに崩壊する事を招く、と語っている。
バンクラプシーは、望ましい選択肢ではないと強調する事で、貸付金の条件による自動車メーカーの破綻の危険性を取り除き、Rattner氏のチームはGMに対するプレッシャーをある程度軽減し、クライスラーと関連の組織・会社に対して直ちに譲歩を託す様にさせている。しかしながら、チームは、バンクラプシーの選択肢の可能性がないとしている訳ではない。
(中略)
今月の末までに、政府はこれらの企業の存続についての見方と、数年後に業界がどうなっているかについての見方を、公開する計画でいる。しかし、Rattner氏は、それらの計画は、二つの会社の包括的な問題解決については含まれない、と述べている。それについては、株主、組合、経営陣と投資家に大きく依存するだろう、と語った。
(引用終わり)
数週間前にWSJが、GMの経営陣がバンクラプシーに対して柔軟な姿勢に変わってきている、との記事を掲載、また、タスクフォース・チームがバンクラプシーの法律家を雇う等の報道があり、方向性としては、オバマ政権のサポートのもと、Chapter 11を申請して(バンクラプシー)、再建に取り組む可能性が高まっていると思っていましたが、Rattner氏が明確にその選択肢を望まないとしたことは、非常に注目するに値する話だと思います。
確かに、GMが破綻申請となれば、消費者に与えるイメージは大きいものがあるかと思います。失業率が高まり、景気の悪化、等米国経済に対して非常に重要な影響を与える米消費者の心理や消費動向に対して、オバマ政権がより配慮する様になってきている様に思います。
ここにきて、米消費者の新たな不安要因を可能な限り取り除く、消費者に希望を与える様にする、と言った方向に政策やコミニュケーションがシフトしてきている様に感じます。
ただし、実際の米自動車メーカーのおかれている状況はかなり厳しいものなので、実際にバンクらプシーを回避でき、無事再生できるのかに関しては依然として難しい様に思っています。
以前、当ブログで取り上げたWSJの記事のリンクを参考までに添付します。本記事とこの記事を両方読んで比べてみるのもおもしろいかと思います。
今日のWSJ - GMがバンクラプシー(破産)に対して柔軟な姿勢
この記事は、Steven Rattner, タスクフォースの中心人物のインタビューからの引用なので、信憑性は高いと思います。
Obama Seeks to Avoid Auto Bankruptcies
Wall Street Journal, March 17, 2009
以下、記事の概要です。
Steve Rattnerはインタビューで、「時として、(バクラプシーは)いくつかの企業にとって必要な場所となるが、確実に望ましい場所ではなく、そして、我々のゴールがこれらの会社がバンクラプシー(破綻申請)となることを見る事ではないことも明らかである。彼らのビジネスは消費者に直面している性格であることを考慮した場合、特にそうである。」
オバマ政権は、同様に、タスクフォース・チームは、GMとクライスラーに対して貸し出した174億ドルの融資の条件として、会社が3月31日までに、長期的にやっていけることを証明することを求めていたが、これについて再度厳守する様にすることを行わない、としている。
政府筋は、二つの自動車会社は既に現金を使っており、(貸し出した)ファンドを返す様に要求する事は、彼らが直ちに崩壊する事を招く、と語っている。
バンクラプシーは、望ましい選択肢ではないと強調する事で、貸付金の条件による自動車メーカーの破綻の危険性を取り除き、Rattner氏のチームはGMに対するプレッシャーをある程度軽減し、クライスラーと関連の組織・会社に対して直ちに譲歩を託す様にさせている。しかしながら、チームは、バンクラプシーの選択肢の可能性がないとしている訳ではない。
(中略)
今月の末までに、政府はこれらの企業の存続についての見方と、数年後に業界がどうなっているかについての見方を、公開する計画でいる。しかし、Rattner氏は、それらの計画は、二つの会社の包括的な問題解決については含まれない、と述べている。それについては、株主、組合、経営陣と投資家に大きく依存するだろう、と語った。
(引用終わり)
数週間前にWSJが、GMの経営陣がバンクラプシーに対して柔軟な姿勢に変わってきている、との記事を掲載、また、タスクフォース・チームがバンクラプシーの法律家を雇う等の報道があり、方向性としては、オバマ政権のサポートのもと、Chapter 11を申請して(バンクラプシー)、再建に取り組む可能性が高まっていると思っていましたが、Rattner氏が明確にその選択肢を望まないとしたことは、非常に注目するに値する話だと思います。
確かに、GMが破綻申請となれば、消費者に与えるイメージは大きいものがあるかと思います。失業率が高まり、景気の悪化、等米国経済に対して非常に重要な影響を与える米消費者の心理や消費動向に対して、オバマ政権がより配慮する様になってきている様に思います。
ここにきて、米消費者の新たな不安要因を可能な限り取り除く、消費者に希望を与える様にする、と言った方向に政策やコミニュケーションがシフトしてきている様に感じます。
ただし、実際の米自動車メーカーのおかれている状況はかなり厳しいものなので、実際にバンクらプシーを回避でき、無事再生できるのかに関しては依然として難しい様に思っています。
以前、当ブログで取り上げたWSJの記事のリンクを参考までに添付します。本記事とこの記事を両方読んで比べてみるのもおもしろいかと思います。
今日のWSJ - GMがバンクラプシー(破産)に対して柔軟な姿勢
2009年3月16日月曜日
2009年3月14日土曜日
3月13日の米国市場
<主要インデックスの終値>
DOW: 7,223.98 +53.92 (+0.75%)
Nasdaq: 1,431.50 +5.40 (+0.38%)
S&P500: 756.55 +5.81 (+0.77%)
3日続けて大きく上昇した市場は、本日も上昇で始まりましたが、その後昼過ぎにかけては下落トレンドになり、一旦はマイナスになっていたものの再び上昇トレンドに転じ、昨日終値から上昇となって終了しています。週を通してみた場合は、DOWは9%の大幅な上昇となり、11月以降で最も上昇した週となりました。
<本日の主なニュース>
Citigroupの会長Richard Parsons氏がReutersのインタビューで、Citigroupは政府から追加の資本注入が必要となるか、と聞かれ、これ以上の資本投入は必要ない。と答えた事が本日の朝の目立ったニュースでした。Parsons氏の実際の発言は、 Reutersの記事によると、以下のものでした。
"No, I think actually, particularly with the latest conversion ... Citi is actually one of the better capitalized banks in the world."
かなり踏み込んだ強気の発言だと思います。ちなみに、Parson氏は、元Time WarnerのCEOで比較的最近Citiの会長に就任しています。Citiの株は本日6.59%上昇しました。
関連記事:Citi doesn't need more government aid: Parsons
G20が始まりました。その席上で、World bankのPresident Robert Zoellick氏は、銀行の問題を解決しなければ、景気刺激策は一時的なもので、効果は限定的となってしまう。と語りました。
また、各国政府に景気刺激策を積極的に導入する様提案する米国と、クライシス再発を防止するための金融システムの再構築と規制強化を優先させるべきとのヨーロッパ主要国(フランス、ドイツ等)と意見が食い違っている様です。(日本は米国サイドの様です。)
イギリスの提案(と米国の主張)は、主要各国がそれぞれのGDPの最低2%を使って自国の需要を引き上げ、世界経済の停滞からの脱出を計る様、主張している様です。行うべきことは次の3点です。需要を引き上げる。ファイナンシャルのレギュレーションのリフォーム。IMFの資金を増やす事。
この内、IMFの追加資金に関しては合意がもたれており、既に行っている日本に続きEUも新たに追加として1000億ドルの資金提供を行うことを今週発表する予定とのことです。
関連記事:G20 rift deepens ahead of crisis response talks
オバマ大統領の米国自動車メーカー救済のタスクフォース(チーム)は、バンクラプシーのロイヤー(法律の専門家)を雇ったとのことが、関係者からの話で明らかになりました。
関連記事:U.S. autos task force hires bankruptcy lawyer
GMがギアの不具合のリコールを発表しました。対象となる車は27万6千台に達するとの事です。
関連記事:GM recalls more than 276,000 vehicles for gear fix
ちょっと興味を引いたニュースとしては、Fedの一部でクレジットの問題に対するFedの対応に対して、対立意見が出てきているとのことです。基本的な方針は変わる事はないだろうとの見方ですが、一部のRegional Fedからは批判が出だしている様です。
関連記事:Internal dissent over Fed action won't halt policy
<主なセクター・株の動き>
(ファイナンス)上昇しているところが多いですが、若干下落しているところもあります。上昇で目立ったのは、 Citi 6.59%, Goldman 5.17%, Fifth Third Bancorp 4.17%等です。一方下落しているのは、BofA 1.54%, US Bancorp 1.38%, Wells Fargo 0.07%です。
(住宅) 上昇と下落に分かれていますが、変動幅は大きくありません。
(小売り)上昇しているところが多いです。目立ったのは、Target 5.19%の上昇でした。
(テクノロジー) 上昇と下落に分かれていますが、主要企業で大きく変動したところはあまり目につきませんでした。
<まとめ・コメント>
3日続けての上昇で、本日はどうなるのかと思いましたが、結果的には若干の上昇で終了し、週を通した場合は、大幅な上昇となりました。S&Pは、第2次世界大戦後で3番目に高い週の上昇幅だったとの事です。再び、一部では市場は底を打った、絶好の買い時、といった声が多く聞かれ、一部ではS&Pは950位まで一気に戻すのでは、等といった見方もある様です。先週は、市場心理が非常に悲観的だったのに、たった一週間での豹変ぶりはとても印象的です。
週を通してみて、市場心理好転の材料となるニュースは、やはりCitiの黒字観測の報道、そして大手銀行のトップが揃って1月2月は黒字だと語ったことになるかと思います。一方で、私自身を含め、一部では懐疑的、慎重な見方も残っています。Citiに関しては、本日会長のParson氏がこれ以上の政府の資本投入の必要性を否定した事、国有化せずに十分やって行けるだろう、と述べた事がニュースとなり、Citiの株は今日も上昇となりました。確かに、これ以上政府の援助なしでやっていけて、黒字にもなるのであれば、Citiの株は上昇の余地は十分にあると思います。
数週間以内に、Tim Geithner氏が新たなファイナンシャルのレギュレーション等を含むリフォームプランを発表する予定で、その中で、ファイナンス企業に対する”Mark to market”(市場価格での算出)に対するガイドラインを緩めることになるとの観測があり、これもファイナンス企業の決算に多少なりとも好影響を与える事が期待されています。
更に、空売りを抑制するためにuptickルールを導入するのでは、との観測もあり、これも市場上昇に貢献している様です。
一方で、G20でWorld bankのZoellick氏が銀行の問題を解決することが優先事項であると語っている訳で、銀行トップの話とのギャップを感じます。昨年も四半期の決算時にこれで最悪期は脱した、と言う発言やもう追加での資金調達は必要ない、と言った後で、翌四半期に再び大幅な赤字決算の発表や資金調達の発表等があったりしました。どの程度、銀行トップの発言をどの程度信頼していいのか、微妙なところです。
尚、今回に関しては、これらの発言の一ケ月後に万が一、大幅な損失発表等、大きく異なる結果となった場合は、さすがに責任が大きく問われることが予想されます。そのあたりの事も十分に理解した上での発言とも思えるので、信じても良いのかな、と言う気持ちも(少し)あります。
昨日、GMが政府に対して要請していた追加の援助なしに3月まで持ちこたえられると発表しましたが、本日、大規模なリコールの発表を行っています。このリコールのコストはかなりかかると思われるので、それも考慮した上で、昨日の発表なのか、あるいは、リコールのコストに関して4月以降の話なので昨日の発表とは別なのか、と言った様な疑問があります。恐らく後者なのでは、と想像しています。
本日市場終了後に、米自動車業界救済タスクフォース・チームがバンクラプシーの法律専門家を雇ったとの報道があり、このことからも、昨日のGM発表はあったものの、GMバンクラプシー申請の可能性は依然としてかなりあるのでは、と思っています。
今週は大幅な上昇となりましたが、これで、少なくとも短期的には上昇トレンドとなるのか、それとも、来週以降、今週の上昇分の調整的な動きとなるのか、注目されます。どうなるかは、市場センチメントの要因が大きいのでどちらも十分に考えられると思います。
それでは、皆さん、良い週末をお過ごし下さい。
Freddie Mac 2008年510億ドルの損失
Freddie Macが第4四半期の決算を発表、損失は239億ドルでした。これは、希薄後の一株当たり7ドル37セントの損失との事です。2008年を通してみた場合、501億ドルの損失でした。あまりの巨額な損失に驚きました。以下に添付している記事によると、年末の時点で、シェアホルダーのエクイティはネガティブの307億ドルとのことです。(総資産から負債を引いた時、307億ドルのマイナス)
数週間前だった思いますが、政府が任命したCEO Moffett氏が6ケ月も経たないうちに辞任する事を明らかにし、かなり会社の状況が悪いのではと想像していました。尚、Moffett氏は今月末で辞任、現会長のJohn Koskinen氏が暫定CEOとして、職を引き継ぐ様です。
住宅ローンのフォークロジャー(担保権執行)件数も更に増加の傾向にあるので、今後も引き続き損失が続く様です。Freddieは、支払い能力を維持するためには、政府からの援助の追加として308億ドル必要との事です。以下プレスリリースから該当部分を引用します。
Freddie Mac’s Conservator has submitted a request to the U.S. Department of the Treasury (Treasury) for an additional $30.8 billion in funding for the company under the Senior Preferred Stock Purchase Agreement (Purchase Agreement) with Treasury.
Freddie Mac第4四半期と2008年決算発表プレスリリース
Freddie Mac posts 2008 loss of $50.1B
数週間前だった思いますが、政府が任命したCEO Moffett氏が6ケ月も経たないうちに辞任する事を明らかにし、かなり会社の状況が悪いのではと想像していました。尚、Moffett氏は今月末で辞任、現会長のJohn Koskinen氏が暫定CEOとして、職を引き継ぐ様です。
住宅ローンのフォークロジャー(担保権執行)件数も更に増加の傾向にあるので、今後も引き続き損失が続く様です。Freddieは、支払い能力を維持するためには、政府からの援助の追加として308億ドル必要との事です。以下プレスリリースから該当部分を引用します。
Freddie Mac’s Conservator has submitted a request to the U.S. Department of the Treasury (Treasury) for an additional $30.8 billion in funding for the company under the Senior Preferred Stock Purchase Agreement (Purchase Agreement) with Treasury.
Freddie Mac第4四半期と2008年決算発表プレスリリース
Freddie Mac posts 2008 loss of $50.1B
2009年3月13日金曜日
3月12日の米国市場
<主要インデックスの終値>
DOW: 7,170.06 +239.66 (+3.46%)
Nasdaq: 1,426.10 +54.46 (+3.97%)
S&P500: 750.74 +23.38 (+4.07%)
今日は、開始直後は下落して始まりましたが、その後すぐに上昇に転じ、それから一貫して上昇基調のまま終了しました。上昇のトレンドとなった主な材料としては、S&PによるGEのレーティングが1段階ダウングレードしただけで、その先の引き下げの恐れは現時点でないこと、政府発表の2月の小売店の販売結果が前月に比べて予想されていた程下落しなかった事等が挙げられています。
Wall Street jumps on GE rating outlook and data
<本日の主なニュース>
Reutersによるエコノミストへの調査で、米国の失業率は10%近くに達すると予想されています。また、景気は第3四半期に底をつくだろうとの見込みが主流で、これは1ケ月前に行われた前回の調査よりも弱気の(遅い)見通しとなっています。
関連記事:U.S. jobless seen nearing 10 percent
GEは、S&Pによるレートが最高のAAAのクレジット・レーティングからAA-plusにダウングレードされました。しかし、同時に先の見通しに対しては、negativeからstableに引き上げました。この発表でGEの株価は本日12.7%の大幅な上昇となりました。ただし、依然として多くの問題・懸念事項を抱えている様です。詳しくは添付記事を参照して下さい。
関連記事:GE stripped of top-tier credit rating by S&P, stock up
Citi Pandit氏、JPMorgan Dimon氏に続き、Bank of America CEOのKenneth Lewis氏が、BofAの1月と2月は黒字である事、今後政府の援助なしにリセッションを切り抜けれるだろうと、述べました。また、2009年は黒字となるとしています。添付記事から、Lewis氏の発言を以下に引用します。
"I actually think the next six months is going to be, in a positive way, a gut-wrenching time," Lewis told an audience at the Chief Executive Officers Club of Boston. "We're going to start seeing signs of improvement and, at some point, you have to pull the trigger on that investment or that expansion."
尚、アナリストのBofAの収益予想平均は、第一四半期は一株当たりで3セントのロスを見込んでいます。株価は本日18.66%の大幅上昇となりました。
GMは、政府に対し3月まではそれまで要請していた追加の20億ドルの緊急援助なしでも生き残れるとの声明を発表しました。
GM says can survive March without new aid
Commerce Departmentが発表した2月の小売店の販売状況は、先月に比べ0.1%の下落となりました。尚、添付記事によると、この数値に関して懐疑的なアナリストもいる様です。
US Department of Commerce: プレスリリース
関連記事:U.S. retail sales dip less than expected
<主なセクター・株の動き>
(ファイナンス)今日も大幅に上昇しているところが多いです。
(住宅) 大幅な上昇をしているところが多いです。
(小売り)順調に上昇しています。上昇幅は、ファイナンスや住宅セクター程ではなく一桁台の%上昇です。
(テクノロジー) 上昇しているところが多いですが、主要なところで5%を超える大きな上昇をしているところは目につきませんでした。尚、Microsoftは若干の下落でした。
<まとめ・コメント>
Citi Pandit氏、JPMorgan Dimon氏に続き、Bank of America CEOのKenneth Lewis氏も1月、2月黒字発言で、株価は大幅上昇、ファイナンスセクターも大幅上昇となりました。上にも書きましたが、今四半期のアナリストの予想は赤字予想なので、黒字になるとの見方を額面通り受けとれば、大幅上昇となる事は納得できます。また、大手銀行のトップが揃って1月2月は黒字、好調だったと言っている訳で、そうなると実際に今四半期に関しては、ファイナンスセクターの市場環境はかなり改善されてきていると考えるのが妥当の様に思います。
また、発表された2月の小売りの販売結果が思った以上に堅調だったことも、市場の心理を好転させるのに大きく貢献した様に思います。一部の投資家・メディアでは、市場は底を既に打った、今が絶好の買い場だ、と声を大にしている様で、先週支配的だった悲観的な見方は、一週間後にはすっかり豹変してしまっています。
ただ、マクロの視点で見るとそれ程、楽観視できる状況にあるとは思いません。一方で、来月発表される第一四半期の決算結果と収益見通しは、短中期的な市場の動き、トレンドを決める上で非常に重要だと思います。
何度か既にエントリーで書いておりますが、もしも、ファイナンス・セクターの企業の第1四半期の決算で、全ての企業が黒字転換、一部企業は順調な利益を獲得、今後の収益見通しに対しても比較的強気、等となった場合、下落していた市場が大幅に戻すシナリオは可能性としては十分に考えられます。
個人的には、あまりにも楽観的な気がしますが、短期的にはファンダメンタルズよりも市場センチメントで動く要素が大きいので、主要銀行トップの立て続けの強気の発言をどう受けとるかも、短期の動きとしてはかなり重要な要素だと思います。
更には、GMも3月までは追加援助なしでも大丈夫、等と言う声明を発表しているのも興味深いところです。別のエントリーで取り上げていますが、ヨーロッパのBMWの赤字転落、VW CEOの発言、現在の米国内の自動車市場の状況等を考慮すると、マクロでの市場環境はまったく良くなっている訳ではないので、GMの今後の展開に注目したいと思います。
なんとなくですが、極端に悪くなっていた市場センチメントを改善するため、ここにきてメディアを含めた市場心理改善キャンペーン的な動きが強まっている気がしています。一ケ月後には実際のところ第1四半期がどうだったのか分かるので、結果との比較をしてみたいと考えています。
米生命保険会社が政府に救済を要請
本日のWSJに”The Next Big Bailout Decision: Insurers”と言う記事が一面に載っています。多くの生命保険会社が政府のTARPの(救済の貸し付け)申請を行っており、業界は数週間以内に政府から本要請に対する返答をもらう見込みであるとの事です。非常に良い記事なので、是非添付のリンクから読んでみて下さい。以下に一部要約と私のコメントを記します。
- 生命保険会社の株価はここ数週間で大幅に下落してきている。インデックスは今年の頭から比べて59%下落、2007年5月からは82%の下落となっている。
- 大きな打撃(下落)を被っているいくつかの会社は100年(以上)の歴史を持つ名のしれた会社で、何百万人の生命保険を取り扱っている。
- 生命保険会社の中でも、勝ち組、負け組の差が大きくなっている。
- 一部の州では、保険の資本基準を緩める等して(救済して)いるが、ここ数ヶ月の間に行われた政府による銀行に対する資本投入の様な救済は保険会社に対しては行われていない。なぜなら、生命保険会社は、リスクの高い資本投資を行なっていないし、長期投資家として、彼らは一般的に所有する資産の価値を短期的な下落によって、(評価損失)を計上する必要がないからである。
- レーティング・エージェンシーや株投資家は、後どれくらいの間、業界が大きな打撃を被っている資産を彼らの帳簿上に反映しないでいられるか、不安を高めている。ここ数週間で、Moody’s Investors Service, Standard & Poor’s, そしてA.M. Bestは1ダース以上の企業のレーティングを引下げている。
- 生命保険会社(の財政面で)の弱体化による景気全般への影響は大きい。生命保険会社は、国内の企業債券の最大の保有者である。American Council of Life Insurersによると業界全体を合わせると、全ての企業債券の貸し付け残高の18%を保有しているとのこと。
- もしも、生命保険会社が債券を買う事を止めた場合、資本市場が完全に回復する事はできないのでは、と業界の代表とアナリストは語っている。
- 既に、彼らの購買動向は停滞している。ACLIの調査によると、2008年第4四半期に、生命保険会社は、33億ドルの株式と債券を購入したが、それは前四半期に比べて63%の下落したものだった。
- 生命保険会社の弱体・不安の兆候は、消費者のコンフィデンスを更に削ぐことになり、保険商品を購入する事に躊躇する事になるだろう、と業界関係者は語っている。
- レーティング会社、ウォールストリートのアナリストは、いくつかの生命保険会社のもう一つの問題は退職後の収入を提供する商品、年金保険の支払いであると述べている。保険会社は、基準を満たすため追加の資金を確保して置いておかなければならず、予備の資本(蓄え)を更に減らす事になってきている。
- 業界はいくつかの好材料もある。生命保険は、彼らの契約から得られる保険金により継続して現金を得られること。投資銀行や他の金融企業とは異なり、生命保険会社は日々の業務に投資するために、定期的に現金を調達する必要がない。
- 現時点では、財務省は生命保険会社はTARPの対象資格があるか否かについて語っていない。業界団体のACLIは、財務省は、今月の末頃までに救済の対象資格があるかどうかについて判断する見込みとしている。
- 財務省は(この件についての)取材の電話に応じていない。
- 生命保険会社が被っている問題は、1730 億ドルの救済パッケージを受けとっている保険会社大手AIGの抱えている問題と同じではない。AIGの損失は、デリバティブ、特にCDSに関連したものだ。
- 生命保険会社の苦境は、主に投資グレードの社債、業務用不動産(Commercial real estate)、ローン等である。多くの生命保険会社は、2008年、高額の損失となったが、企業会計のルールにより彼らはさらに低い金額での記載を要求されていない。国内の最大手の生命保険会社MetLifeは、3808億ドルの資産を一般会計で保有しているが、2008年末の時点で298億ドルの含み損失を抱えている。
これ以降、もう少し話は続きますが、ご興味のある方は、是非、原文をご覧になって下さい。非常に良くまとまった、良い記事だと思います。
参考記事:
The Next Big Bailout Decision: Insurers
The Wall Street Journal, March 12, 2009 A1, A2
ご存知の通り、政府はAIG, ファイナンス企業, Freddie Mac, Fannie Mae, そして自動車企業等に救済措置を取ってきていますが、更に生命保険会社までが救済を求めることになるとは、まさにいたちごっこの様な状況に思えます。米政府も様々な対応をしておりますが、次から次へと噴出する問題や救済要求の全てに対処、要求を完全に満たす事は現実としてはできないと思います。ウォーレン・バフェット氏は、先月末に公開したBerkshire Hathawayの株主向けのレターの中で、「政府(財務省)とFedの状態は、ポーカー用語で言うところの”all in”だ」と語っています。かなりうまい喩えだと思います。尚、本ブログの関連ブログ“ウォーレン・バフェット ウォッチ”の方で、バフェット氏のバークシャー株主向けの手紙の邦訳のエントリーを行っております。以下、上記引用の該当箇所の翻訳した部分を記載します。
(以下ウォーレン・バフェット ウォッチから)
第4四半期までに、クレジット危機は、住宅と株式の急激な下落と共に国を麻痺させる恐怖に巻き込みました。その結果、ビジネス活動の急激な低下を引き起こし、そして、私が今までに目撃した事がない様なペースで加速しています。米国、そして世界のほとんどが、危険なnegative-feedback cycle(否定的な・負のフィードバック・サイクル)の罠に嵌ってしまいました。恐怖はビジネス・事業活動の低下を招き、そしてそれは、更に大きな恐怖を引き起こす事となっています。
この弱体化のスパイラルは、我々の政府に大規模な行動を取る事を駆り立てています。ポーカーの用語で言うと、財務省とFedは"all in”になっています。(注:ポーカーのall in”は、場の掛け金に対して手持ち資金が満たない場合でも賭けを継続する時に宣言すること、の様です。バフェットさんらしい、うまい言い回し、喩えだと思います。Wikipediaの説明)
引用:バフェットからの手紙 - 2008年版
- 生命保険会社の株価はここ数週間で大幅に下落してきている。インデックスは今年の頭から比べて59%下落、2007年5月からは82%の下落となっている。
- 大きな打撃(下落)を被っているいくつかの会社は100年(以上)の歴史を持つ名のしれた会社で、何百万人の生命保険を取り扱っている。
- 生命保険会社の中でも、勝ち組、負け組の差が大きくなっている。
- 一部の州では、保険の資本基準を緩める等して(救済して)いるが、ここ数ヶ月の間に行われた政府による銀行に対する資本投入の様な救済は保険会社に対しては行われていない。なぜなら、生命保険会社は、リスクの高い資本投資を行なっていないし、長期投資家として、彼らは一般的に所有する資産の価値を短期的な下落によって、(評価損失)を計上する必要がないからである。
- レーティング・エージェンシーや株投資家は、後どれくらいの間、業界が大きな打撃を被っている資産を彼らの帳簿上に反映しないでいられるか、不安を高めている。ここ数週間で、Moody’s Investors Service, Standard & Poor’s, そしてA.M. Bestは1ダース以上の企業のレーティングを引下げている。
- 生命保険会社(の財政面で)の弱体化による景気全般への影響は大きい。生命保険会社は、国内の企業債券の最大の保有者である。American Council of Life Insurersによると業界全体を合わせると、全ての企業債券の貸し付け残高の18%を保有しているとのこと。
- もしも、生命保険会社が債券を買う事を止めた場合、資本市場が完全に回復する事はできないのでは、と業界の代表とアナリストは語っている。
- 既に、彼らの購買動向は停滞している。ACLIの調査によると、2008年第4四半期に、生命保険会社は、33億ドルの株式と債券を購入したが、それは前四半期に比べて63%の下落したものだった。
- 生命保険会社の弱体・不安の兆候は、消費者のコンフィデンスを更に削ぐことになり、保険商品を購入する事に躊躇する事になるだろう、と業界関係者は語っている。
- レーティング会社、ウォールストリートのアナリストは、いくつかの生命保険会社のもう一つの問題は退職後の収入を提供する商品、年金保険の支払いであると述べている。保険会社は、基準を満たすため追加の資金を確保して置いておかなければならず、予備の資本(蓄え)を更に減らす事になってきている。
- 業界はいくつかの好材料もある。生命保険は、彼らの契約から得られる保険金により継続して現金を得られること。投資銀行や他の金融企業とは異なり、生命保険会社は日々の業務に投資するために、定期的に現金を調達する必要がない。
- 現時点では、財務省は生命保険会社はTARPの対象資格があるか否かについて語っていない。業界団体のACLIは、財務省は、今月の末頃までに救済の対象資格があるかどうかについて判断する見込みとしている。
- 財務省は(この件についての)取材の電話に応じていない。
- 生命保険会社が被っている問題は、1730 億ドルの救済パッケージを受けとっている保険会社大手AIGの抱えている問題と同じではない。AIGの損失は、デリバティブ、特にCDSに関連したものだ。
- 生命保険会社の苦境は、主に投資グレードの社債、業務用不動産(Commercial real estate)、ローン等である。多くの生命保険会社は、2008年、高額の損失となったが、企業会計のルールにより彼らはさらに低い金額での記載を要求されていない。国内の最大手の生命保険会社MetLifeは、3808億ドルの資産を一般会計で保有しているが、2008年末の時点で298億ドルの含み損失を抱えている。
これ以降、もう少し話は続きますが、ご興味のある方は、是非、原文をご覧になって下さい。非常に良くまとまった、良い記事だと思います。
参考記事:
The Next Big Bailout Decision: Insurers
The Wall Street Journal, March 12, 2009 A1, A2
ご存知の通り、政府はAIG, ファイナンス企業, Freddie Mac, Fannie Mae, そして自動車企業等に救済措置を取ってきていますが、更に生命保険会社までが救済を求めることになるとは、まさにいたちごっこの様な状況に思えます。米政府も様々な対応をしておりますが、次から次へと噴出する問題や救済要求の全てに対処、要求を完全に満たす事は現実としてはできないと思います。ウォーレン・バフェット氏は、先月末に公開したBerkshire Hathawayの株主向けのレターの中で、「政府(財務省)とFedの状態は、ポーカー用語で言うところの”all in”だ」と語っています。かなりうまい喩えだと思います。尚、本ブログの関連ブログ“ウォーレン・バフェット ウォッチ”の方で、バフェット氏のバークシャー株主向けの手紙の邦訳のエントリーを行っております。以下、上記引用の該当箇所の翻訳した部分を記載します。
(以下ウォーレン・バフェット ウォッチから)
第4四半期までに、クレジット危機は、住宅と株式の急激な下落と共に国を麻痺させる恐怖に巻き込みました。その結果、ビジネス活動の急激な低下を引き起こし、そして、私が今までに目撃した事がない様なペースで加速しています。米国、そして世界のほとんどが、危険なnegative-feedback cycle(否定的な・負のフィードバック・サイクル)の罠に嵌ってしまいました。恐怖はビジネス・事業活動の低下を招き、そしてそれは、更に大きな恐怖を引き起こす事となっています。
この弱体化のスパイラルは、我々の政府に大規模な行動を取る事を駆り立てています。ポーカーの用語で言うと、財務省とFedは"all in”になっています。(注:ポーカーのall in”は、場の掛け金に対して手持ち資金が満たない場合でも賭けを継続する時に宣言すること、の様です。バフェットさんらしい、うまい言い回し、喩えだと思います。Wikipediaの説明)
引用:バフェットからの手紙 - 2008年版
JPMorgan CEO Dimon氏:1月2月は黒字
昨日、JPMorgan ChaseのCEO Jamie Dimon氏がワシントンで行われた米国商工会議所(United States Chamber of Commerce)主催のカンファレンスでスピーチを行いました。その後で、CNBCのテレフォン・インタビューで、JPMorganも1月2月は黒字であると発言し、大きくメディアに扱われていました。本日、記事を検索したのですが、あまり見つからないので、ちょっとあれ?と思いましたが、見つけた主な記事のリンクを以下に添付します。(気のせいかもしれませんが、一日後にこの件についての記事を控える様な動きがあった様にも感じます。大きな勘違いかもしれませんが、、、)
Dimon on JPM's Profitability (CNBC video)
Dimon Reaffirmms JPMorgan's Profitability (The New York Times)
JPMorgan (JPM) CEO Dimon Said Company Profitable in Jan and Feb (StreetInsider.com)
また、昨日の朝にDimon氏が「経済の回復の兆候が若干見られる」(Jamie Dimon said on Wednesday he sees "modest signs" of an economic recovery...)と語った事を取り上げた記事も多かったです。(こちらの方は、検索してもすぐ出てきます。)
これで、主要な銀行企業、Wells Fargo, Citi, JPMorganが1月2月は黒字(Wellsの場合、ビジネスは好調との表現)だったとのことで、2009年第1四半期はファイナンス企業の決算はかなり改善される可能性が出てきました。ただし、Dimon氏が経済状況に関して割と控えめに語っている事、昨日のカンファレンスの発言を聞いても、多くの問題に対して政府、業界をあげて取り組んで行く必要性を強調している事を考慮すると、今後の見通しに関しても予断を許さない様に見ている様に思われます。
本日、JPMorganは第1四半期の決算発表を4月16日に行う事をアナウンスしました。実際の決算がどうなるのか非常に興味深いところです。
BMW赤字転落、VW 09年は最悪の年となる見込み、と発表
BMWが第4四半期の決算を発表。アナリストの予想を大幅に上回る(悪い意味で)7億1800万ユーロ(9億174万ドル相当)の赤字となりました。
また、GMのヨーロッパ・ユニットのOpelについて、BMWは買収する計画はないことを再度示しています。
VWは、2009年が会社の歴史上、最悪の年となるだろうとの見込みをCEO Martin Winterkorn氏が述べました。該当の発言は、以下の通りです。(Reutersから)
"A difficult 2009 lies ahead of us -- one the most difficult years in our company's history,"
また、Winterkorn氏は、2009年も黒字となるものの、販売台数、売り上げ、利益は全て下落するだろうと語りました。
ヨーロッパの自動車業界もかなり状況は悪くなっている模様です。
参考記事:BMW posts sharp loss, VW sees worse ahead (Reuters)
2009年3月12日木曜日
Citiの収益予想について
昨日のCiti CEO Pandit氏の社員向けメモから端を発したCiti黒字報道は、Citiの株価を大きく引き上げ、市場全体にも非常に大きな影響を与えました。
個人的に気になったのは、Pandit氏の言う1月2月は黒字(Profitable)の意味は、通常の業務(Operation) での話で、一時的な損失計上等を含まない場合のことを意味している可能性があるのでは、と思いました。今日のWSJにVikram Pandit’s Citi of Dreamと言うタイトルの記事があり、その中でその件についてCitiのスポークス•ウーマンのコメントが引用されていました。それによると、Pandit氏が述べたProfitは、net income(純利益)とのことでした。(私が思ったGrossではなく、Netでしかも、GAAP!)
以下、当該記事から該当部分を引用します。
A Citi spokeswoman said Mr. Pandit’s measure of profits was net income, according to generally accepted accounting principles.
つまり、損失計上や四半期内のクレジットロス等を含んだ全ての経費を差し引いた後で利益が出ている、ことを意味します。WSJの記事でも、その後に、通常実際にかかった経費は四半期が終了しないと分からないので、注意が必要だ、と書いてあります。
参考記事:Vikram Pandit’s Citi of Dream
Wall Street Journal, March 11, 2009, C14
現時点で最新のアナリストのCitiの収益予想を調べてみました。11人のアナリストが予想をしており、今四半期の予想平均はEPSで32セントの赤字です。最も楽観的な予想でも12セントの赤字です。誰も黒字の予想はしていません。また、次の四半期に関しても同様に全てのアナリストの予想は赤字です。ちなみに、別のソースを調べてみましたが、アナリストの予想は、今年の第4四半期まで全て赤字です。つまり、現時点で公開されているアナリストの予想では、四半期が黒字になるのは、2009年中はないことになっています。
もしも、仮にCitiが今四半期黒字になったとしたら、これは本当にビッグサプライズで市場に大きなインパクトを与えると思います。もちろん、Citiの株に対しても同様です。あるいは、仮に今四半期はまだ赤字となったとしても、来四半期から黒字に転換する様なシナリオだったしても、かなりインパクトがあると思います。
尚、一般的に考えて、Citi以外の銀行のパフォーマンスはCitiよりもはるかに良くなる可能性が高いと思います。他の主要なファイナンス企業が軒並み黒字転換、しかも好調となる可能性がでてきます。
個人的にはこの様なシナリオは楽観的すぎる気がします。個人的な意見としては、今後追加の損失計上が続き、通常の業務では黒字転換となっても、純利益では当面は赤字の状態が続くと思います。もしも、私の見方が間違っていてCitiが黒字転換となる様なシナリオであった場合、市場のトレンドが完全に転換する可能性も高いと思います。
Citiの第1四半期の決算発表は、4月17日に予定されています。まだ、後1ケ月ちょっとありますが、かなり注目だと思います。その時点では、他の企業決算も既に多くされていると思うので、市場全体に対しての影響は今回程ではないとは、思っています。
p.s. 今日はこれから外出し、夜遅くにならないと帰ってこないので、本日はこのエントリーのみとなる予定です。よろしくお願いします。
個人的に気になったのは、Pandit氏の言う1月2月は黒字(Profitable)の意味は、通常の業務(Operation) での話で、一時的な損失計上等を含まない場合のことを意味している可能性があるのでは、と思いました。今日のWSJにVikram Pandit’s Citi of Dreamと言うタイトルの記事があり、その中でその件についてCitiのスポークス•ウーマンのコメントが引用されていました。それによると、Pandit氏が述べたProfitは、net income(純利益)とのことでした。(私が思ったGrossではなく、Netでしかも、GAAP!)
以下、当該記事から該当部分を引用します。
A Citi spokeswoman said Mr. Pandit’s measure of profits was net income, according to generally accepted accounting principles.
つまり、損失計上や四半期内のクレジットロス等を含んだ全ての経費を差し引いた後で利益が出ている、ことを意味します。WSJの記事でも、その後に、通常実際にかかった経費は四半期が終了しないと分からないので、注意が必要だ、と書いてあります。
参考記事:Vikram Pandit’s Citi of Dream
Wall Street Journal, March 11, 2009, C14
現時点で最新のアナリストのCitiの収益予想を調べてみました。11人のアナリストが予想をしており、今四半期の予想平均はEPSで32セントの赤字です。最も楽観的な予想でも12セントの赤字です。誰も黒字の予想はしていません。また、次の四半期に関しても同様に全てのアナリストの予想は赤字です。ちなみに、別のソースを調べてみましたが、アナリストの予想は、今年の第4四半期まで全て赤字です。つまり、現時点で公開されているアナリストの予想では、四半期が黒字になるのは、2009年中はないことになっています。
もしも、仮にCitiが今四半期黒字になったとしたら、これは本当にビッグサプライズで市場に大きなインパクトを与えると思います。もちろん、Citiの株に対しても同様です。あるいは、仮に今四半期はまだ赤字となったとしても、来四半期から黒字に転換する様なシナリオだったしても、かなりインパクトがあると思います。
尚、一般的に考えて、Citi以外の銀行のパフォーマンスはCitiよりもはるかに良くなる可能性が高いと思います。他の主要なファイナンス企業が軒並み黒字転換、しかも好調となる可能性がでてきます。
個人的にはこの様なシナリオは楽観的すぎる気がします。個人的な意見としては、今後追加の損失計上が続き、通常の業務では黒字転換となっても、純利益では当面は赤字の状態が続くと思います。もしも、私の見方が間違っていてCitiが黒字転換となる様なシナリオであった場合、市場のトレンドが完全に転換する可能性も高いと思います。
Citiの第1四半期の決算発表は、4月17日に予定されています。まだ、後1ケ月ちょっとありますが、かなり注目だと思います。その時点では、他の企業決算も既に多くされていると思うので、市場全体に対しての影響は今回程ではないとは、思っています。
p.s. 今日はこれから外出し、夜遅くにならないと帰ってこないので、本日はこのエントリーのみとなる予定です。よろしくお願いします。
2009年3月11日水曜日
3月10日の米国市場
<主要インデックスの終値>
DOW: 6,926.25 +379.20 (+5.79%)
Nasdaq: 1,358.28 +89.64 (+7.07%)
S&P500: 719.60 +43.07 (+6.37%)
今日は、朝のCitiが現時点で黒字だとニュースをきっかけに上昇して始まり、そのまま上昇を続けて昨日終値に比べ大幅な上昇で終了しました。全ての主要インデックスは、5%以上、Nasdaqは7%を超える上昇でした。
Dow jumps nearly 300 as Citi announces profit
<本日の主なニュース>
Citi CEO Pandit氏が社員向けに送ったメモが公開され、その中で、2009年の1,2月はビジネスが好調で黒字となっており、現時点でのパフォーマンスは、2007年第3四半期以降で最高のペースだと語った事がメディアで大きく取り上げられました。市場に与えたインパクトはかなり大きく、Citiの株価は本日36.19%の大幅な上昇となりました。ファイナンスセクター全体も大きく上昇、市場全体も大幅な上昇となりました。当ブログでも一つ前に関連するエントリーを掲載しておりますので、よかったらそちらもご参照下さい。
IMFが世界経済は今年縮小となる”Great Recession”になるとの見込みを示しました。特にアフリカについては、世界経済の失速・停滞の影響を大きく受け、貧困の問題が深刻になるであろうと警告し、対応を即しました。
関連記事:IMF warns of global "Great Recession"
United Technologiesが、11600人の従業員数を削減すると発表しました。
関連記事:United Tech to cut 11,600 jobs
Bernanke議長が今週末にロンドンで行われるG20において、将来のクライシスを防止するために、規制のリファームを行いファイナンス企業に対する基準・規制を強化する(アカウンティングの)共通の基準を持つ事に合意すべきとの見方を示しました。(以下、関連記事のリンクを添付します。)
関連記事:Bernanke: G20 should focus on regulatory principles
関連記事:Uptick rule may return, mark-to-market changes seen
<主なセクター・株の動き>
(ファイナンス)Citi 38.1%, BAC 27.73%, JPM 22.64%, WFC 18.46%, MS 26.46%, GS 15.32%と非常に大きな上昇となりました。
(住宅) 主なところはどこも10%以上、上がっているところは、20%を上回る大幅な上昇となりました。
(小売り)順調に上昇しています。上昇で目立ったのは、Best Buy 13.51%, Williams-Sonoma 13.11%, Kohls 10.18%等です。一方、Wal-Martは2.44%と比較的穏やかな上昇でした。
(テクノロジー) こちらも全面的に上昇しています。主要なところは、10%を超える様な突出した上昇をしたところはあまりありませんでしたが、その中でIntelは10.92%の上昇でした。
<まとめ・コメント>
昨日のエントリーで終わりに「ただ、ここにきて悪材料に関してはほぼ出尽くし、それら悪いニュース、懸念材料に関しては株価に織り込まれた感があるので、何かのニュース、特にサプライズな良いニュース等で、市場が一時的に大きく上昇する可能性もあるかとは思います。」と書いたのですが、今日のCitiが黒字になっているとの報道をきっかけに、市場は大幅な上昇となりました。Citi以外のニュースではあまりこれといったものはなかったのですが、今日の市場の上昇の理由としてCiti以外の件で、Fedがファイナンス企業のアカウンティングをMark to Market(市場価格での算出)に変更させる事や空売りの規制を再び行う事等を上げているメディアもあります。これらの話は別に新しい話ではなく、Citiのニュースで市場センチメントが大きく変わり、それによりこれらのニュースに対しても非常に好意的に受けとったと私は解釈しています。
ファイナンスセクターの株は、上にも書いている様にどこもかなり大幅な上昇となっています。最近まで急速に下がってきていたので、この様な大幅な反発があって分からなくもないのですが、住宅セクターの株がファイナンス企業の株並みに大幅に上昇しているのが興味深いところです。インデックスのレベルで見るとNasdaqが7%を超える大幅な上昇で、これはテクノロジー株が全体的に好調であった事を示しています。一方で、突出した様な上昇は大手の企業ではほとんどありませんでした。これは、好ましい動きだった様に思います。
Citiの話に戻すと、1月と2月は順調で利益が出ているとの事ですが、これは、先週Wells FargoのCFOが同じ事を言っていたので、恐らくファイナンス企業の1月2月はどこも良かった様です。このことは、間違いなく良いニュースでありますが、この先のファイナンス企業のビジネスがどうなって行くのかは、今後の市場のトレンドを決める上でかなり重要だと思います。昨年はほとんどの企業が大幅な赤字決算となりましたが、それが第1四半期から好転し、今年の後半から安定的に黒字になるようであれば、ファイナンスセクターの株価は大きく上昇すると思います。また、その様なシナリオになった場合は、市場全体が上昇トレンドに転換する可能性が高いと思います。
この様に考えると今日の大幅な上昇も分からなくもないですが、依然として不安要因は多くあると思います。Citi Pandit氏の発言にしても、これだけ株価が下がり、国有化の懸念が払拭されない状況であれば、社員に対して良い方のニュースを強調するのは当然のことだと思います。つまり悪材料が払拭されたわけではありません。また、失業率も高水準にあり、それがさらに上昇すると見られています。上にUnited Technologiesの人員削減の発表を挙げましたが、多くの企業で人員削減を進めており、失業率の更なる上昇は避けられない状況です。
高い失業率は経済の様々な分野に大きな影響を与えます。失業による消費者の動向の変化、需要の悪化、それによる経済への実質的な影響はこれから更に大きくなって行きます。株式市場の今後の動向についても予断をゆるさない状況です。バフェット氏の様に10年以上先と言う様な投資の視点で見た場合、現時点の株価水準は疑いなく魅力的な水準でありますが、短中期では株価が更に下落する可能性もすくなからずあり、また、大きく戻す事はない可能性も十分にあります。
短中期的な焦点としては、昨日も書きましたが、4月にぞくぞくと発表される企業の第1四半期の決算結果と今後の収益見込みやビジネス動向だと思います。
Citi CEO Pandit氏のメモ
本日の朝、CitiのCEO Pandit氏の社内向けのメモがMarketWatchに掲載されました。以下のリンクでメモの全文を読む事ができます。
MarketWatch, March 10, 2009
このメモの中で、特に市場の注目を集めたのが、2009年1月と2月は黒字で、現時点までの状況(quarter-to-date)は2007年第3四半期来で最も良いパフォーマンスだ。と語ったところです。今四半期に入って、ビジネスが順調である事を強調しています。以下に当該パラグラフを抜粋しておきます。
In addition to our strong capital position, I am most encouraged with the strength of our business so far in 2009. In fact, we are profitable through the first two months of 2009 and are having our best quarter-to-date performance since the third quarter of 2007. In January and February alone, our revenues excluding externally disclosed marks were $19 billion. Our client businesses are strong: our deposits are relatively stable, our client-driven Securities and Banking businesses have been performing well, including our recent # rank in M&A, and we continue to provide credit to consumer and corporate customers.
一方で、本日のWSJに政府はCitiに対しさらなる救済措置を取る準備をしているとの記事が掲載されています。(ただし、タイトルに比べ記事自体の内容はそれ程インパクトのあるものではありません。更に状況が悪化した場合に備え準備を進めている、といった内容です。)
The Wall Street Journal, Tuesday, March 10, 2009 C1
2009年3月10日火曜日
3月9日の米国市場
<主要インデックスの終値>
DOW: 6,547.05 -79.89 (-1.21%)
Nasdaq: 1,268.64 -25.21 (-1.95%)
S&P500: 676.53 -6.85 (-1.00%)
本日は市場開始後は上昇して始まったものの、その後下落に転じ午後にかけて全てのインデックスは前日比でマイナスとなりました。
<本日の主なニュース>
Merckは、Schering-Ploughを411億ドルで買収する事を発表しました。これは、ここ数週間で2番目に大きい製薬会社の合併の案件です。添付の関連記事によると、オバマ政権によるヘルスケアのリフォームにより薬品価格等でプレッシャーがかかる事が予想されており、それが、製品会社の合併等を促進しているとのことです。
関連記事:Merck to buy Schering-Plough for $41.1 billion
Roche Holding AGは、Genetechの保有していない残りの株を一株95ドルで買い取る事で交渉していることが明らかになりました。(注:金曜日提案した買い取り価格を引き上げている模様)Rocheは、金曜日に提案価格を93ドルに引き上げ、両社は交渉中との事です。一株95ドルとなった場合、この取引は467億ドルになります。
関連記事:Roche, Genentech in talks on $47 billion deal
McDonald’sの米国の2月の既存店(開店後13ケ月以上経過したもの)の売り上げは、昨年と同月と比べ1.4%の増加となったと発表しました。昨年は閏年だったため1日多く、1日少ない影響は既存店売り上げで4%減少との事です。
しかしながら、McDonald’sは、現在のドル高の為替レートの影響で第一四半期の利益は、一株当たり7から9セント減るだろうとしています。
関連記事:McDonald's same-store sales up 1.4 percent in February
<主なセクター・株の動き>
(ファイナンス)Bank of Americaが19.43%, Wells Fargoが15.8%の大幅な上昇、その一方で、Morgan Stanley4.07%, Goldman 2.25%の下落となりました。Citiは1.94%の上昇、JPMorganは、0.19%の微減でした。
(住宅) 上昇と下落に分かれていますが、変動幅はそれ程大きくない(1%前後)ところが多いです。
(小売り)食品や日用雑貨等の小売り大手は、下落しているところが多いですが、一方で、Home Depot, Lowe’s, BestBuy等は上昇となっています。
(テクノロジー) ほとんどが下落しています。目についたのは、HPが5.09%、Google 5.73%, Oracle 4.28%と比較的大きく下落しています。
<まとめ・コメント>
大きく下落した先週から明けた今週、MerckのSchering-Ploughの買収の発表等から、上昇して始まりましたが、途中から下落に転じ、結局先週金曜日終値からさらに下落して終了となりました。本日の主要なニュースを見ても、製薬会社の大型買収合併案件が発表され、業界の再編成が進んでいる事が顕著にしめしています。一般的には、大型の合併や買収は、企業価値の上昇を即するものですが、市場全体を引き上げる、あるいは、市場のセンチメントを向上させることにはつながりませんでした。このことも、如何に現在の市場心理が冷え込んでいるかを表していると思います。
先週大きく下落したWells Fargoは、本日大幅な上昇となりました。さらに、Bank of Americaは20%近い上昇でした。この2社(と正確には、US Bancorp)の際立った上昇は、今朝のWSJで掲載されたBofAのCEO Ken Lewisの意見記事の内容;ウォーレン・バフェット氏がCNBCの特別企画のインタビューでWells Fargoは、このクレジット・クライシスを経て、将来、今までにない位成功するだろうとの意見を述べた事;先週あまりにも下がりすぎて、行き過ぎとの見方が投資筋から出てきていること:等が主な材料の様です。
Ken Lewis氏の意見記事のリンク:Some Myths About Banks
Buffett氏関連の記事:Wells Fargo shares boosted by Buffett
尚、CNBCのウォーレン・バフェット氏との特別企画インタビュー、”Ask Warren” に関しては、当ブログの姉妹ブログの“ウォーレン・バフェット ウォッチ”の方で後程、詳しく取り上げる予定です。
上記2銀行株とUS Bancorpが大幅に上昇した一方で、投資銀行系の GoldmanとMorgan Stanleyの株は本日は下落となり、あまりぱっとしませんでした。ただし、これらの2社の株価は先週、ファイナンス・セクターのほとんどの株が大きく下落する中で、堅調に推移していたので、ある意味、今日の株価の動きはバランスを取る様な調整的な色彩も感じられます。BofAが大幅に上昇となったにもかかわらず、Citiはほとんど上昇しなかった事は、一時的な国有化の可能性が取沙汰される2社の行く末に今日の時点では、たもとをわかつ様な傾向が見られます。これが、短期的なものなのか、どうなのかについては、引き続き注目して行きたいと思います。
市場終了後に私が注目していたTIの第1四半期のミッド・クウォーター・アップデートがありました。発表内容としては、第1四半期の前回示していた予想の範囲を絞る形でした。個人的には、より悪い見込みとなるのではと思っていたので、ちょっとびっくりしています。言い方を換えると、TIの今回のフォーキャストの精度が高い事に感心しました。ただし、収益見込みに関しては、一株当たり8セントのロスからイーブンなので、内容自体は別に良い訳ではないと思います。アフターアワーズでは若干の上昇となっていますが、これは、前回予想よりも悪くなるのでは、と言った懸念が払拭された事によるものだと思います。発表内容について後で詳しく読んでみようと思います。
市場全体としては、上に書きましたが、大型の買収案件、売却提案額の引き上げ等のニュースは、通常の場合であれば、市場を引き上げる大きな原動力になるにも関わらず、そうならないところに、深刻な市場心理の冷え込み・悲観的な見方を表している様に思います。ここ最近、ハイテクの大手を中心にテクノロジー株を買い戻す動きがありましたが、ここにきてその上昇を打ち消す様な下落となっています。これも、市場が上昇トレンドに変わる場合は、テクノロジー株は順調に上昇するだろうとの期待からだったと見られており、そういった期待が失われてきている表れと思えます。
ただ、ここにきて悪材料に関してはほぼ出尽くし、それら悪いニュース、懸念材料に関しては株価に織り込まれた感があるので、何かのニュース、特にサプライな良いニュース等で、市場が一時的に大きく上昇する可能性もあるかとは思います。(一時的だと思いますが、、、)
3月も2週に突入し、中期的なトレンドの焦点としては、約1ケ月後から始まる主要企業の第1四半期の決算結果に注目が移って行く事となると予想しています。
2009年3月9日月曜日
AIG救済500億ドルを得たのは、Goldman, Deutsche Bank等
政府のAIGの救済で得した企業はどこなのか、先週の上院の公聴会でも取り上げられ、ここ2週間位の間で急速に注目を集めてきていましたが、週末のWSJにAIG向けの政府救済500億ドルは、約24の米国とヨーロッパの銀行に支払われたとの記事が掲載されています。
以下、当該WSJの記事の要約です。
特に、Goldman SachsとドイツのDeutsche Bankに対して、昨年の9月中頃から12月にかけてそれぞれ約60億ドルが支払われた。この2社に次いで大きな金額が支払われたのは、Merrill LynchとフランスのSociete Generale SA。
AIGを巡る救済は、納税者の損失のリスク(救済で使用した税金の回収リスク)が高まってきており、政治的な議論が沸騰してきている。先週、議会において、FedはAIGからお金を受け取ったファイナンシャル企業の名前を公表する様に迫られた。Fedは、AIGの救済について金融システム上非常に重要なためだ、としている。
木曜日の上院のBanking Committeeの公聴会において、Fedの副会長Donald Kohnは、AIGの取り引き先について明らかにする事を拒否した。拒否した理由として、名前を公開してしまうと今後のAIGとの取り引きに支障をきたす恐れがあることとしている。
しかし、Kohn氏は本要求に対して持ち帰り検討すると語った。Fedは、透明性の懸念に対して論議し、AIGの取り引きについての詳細を公開するべきかについて、検討するとしている。
Fedは、9月に投資の損失と銀行からの担保の要求から破綻の危機に陥ったAIGに対して850億ドルのクレジット・ラインを提供して救済した。バンクラプシー・ファイリングとなった場合、世界中の金融企業と債権者が彼らの損失に対してAIGが保証している事に頼っており、それらの企業が損失や問題を起こしてしまうところであった。
9月以降、AIGの問題は更に悪化してきたため、政府はAIGに対する救済額を引き上げている。現時点での救済パッケージは1730億ドル以上に達している。
政府のAIGの救済は、AIGによる保険をかけられていた住宅ローン担保の証券やその他の資産の損失からカウンターパーティー(取引先業)が直ちに損失を被る事を防止する手助けとなった。
以下、話は続きます。この記事も簡潔に良くまとまった良い記事だと思うので、ご興味のある方は是非、WSJの記事を読んでみて下さい。
2009年3月7日土曜日
3月6日の米国市場
<主要インデックスの終値>
DOW: 6,626.94 +32.50 (+0.49%)
Nasdaq: 1,293.85 -5.74 (-0.44%)
S&P500: 683.38 +0.83 (+0.12%)
本日は市場開始後は上昇して始まったものの、その後下落に転じ午後にかけて全てのインデックスは前日比でマイナスとなっていましたが、引けにかけて回復し、最終的にDOWは上昇、S&Pはほぼ変わらず、Nasdaqは下落で終了しました。
<本日の主なニュース>
政府が発表した米国の2月の失業率は過去25年で最も高い8.1%となりました。リセッションが始まった2007年の12月から、440万人の人が職を失い、その内の半分以上は過去4ヶ月の間のことだとのことです。1月の7.6%から一ケ月で0.5%の上昇で、単月の上昇幅としては、1980年4月からで最も大きな上昇幅でした。
関連記事:U.S. jobless rate hits 25-year high
Wells Fargoが四半期の配当を34セントから5セントに引下げることを発表しました。その席上、CFOが1月と2月のビジネスは順調に行っていると語りました。
関連記事:Wells Fargo Slashes Dividend to 5 Cents
WSJが一面で関係者の話としてGMがバンクラプシーに対して柔軟な態度に変わったと報道した事から、GMの株は本日22%を超える大幅な下落となりました。この報道に対して、GMは法廷外でのリストラクチャリング(バンクラプシーではなく)を希望するとの声明を発表しましたが、株価の下落に歯止めをかけることはできませんでした。
WSJの報道の件に関しては、一つ前のエントリーで詳しく取り上げておりますので、そちらをご覧になって下さい。
関連記事:GM says still prefers out-of-court restructuring
JP MorganのアナリストがAppleのMacとiPhoneの売り上げが予想を下回る見込みとして、レーティングを引下げた事が報道され、それにより一時は5%を上回る下落となりました。最終的には、昨日終値に比べ3.98%の下落で終了しています。
Apple Shares Tumble After Analyst's Note
<主なセクター・株の動き>
(ファイナンス)Goldman Sachsが7.43%下落、Morgan Stanley4.45%, JP Morgan Chase4.04%の下落しました。連日大幅な下落をしていたWells Fargoは本日6.3%上昇、Citiは0.98%の上昇となりました。
(住宅) ほとんどが下落していますが、下げ幅はそれ程大きくない(1%前後)ところが多いです。KB Homeは上昇しています。
(小売り)主要なところは下落しています。一方で、日用品、食料品の製造大手は上昇しているところが目につきました。
(テクノロジー) 下落しているところが多い中、Marvell, Broadcomが堅調、Yahooも4.15%の上昇で堅調でした。また、Googleも上昇、Microsoftは微増で、ソフト関連は堅調でした。
<まとめ・コメント>
今週注目を集めているGMの倒産の可能性は、今日のWSJの報道により市場関係者の見方としては更に高まったと思います。GM自体は、この報道に対して否定的な声明を出しましたが、本日の株価の下落を見ると投資家の反応は明らかだと思います。ただ、市場全体に対しては今日は影響はあまりなかったと解釈できるかと思います。
政府が発表した失業率は、予想通りかなり悪く、過去25年で最悪の高水準となっており、また、この先も失業率は上がるだろうと予想が支配的です。ただ、これらの悪いニュース、今後の見込みに関しては、少なからず既に株価に折り込まれていたため、発表後も市場は上昇して始まりました。しかし、買いが一巡後は一転して売りが進み、一旦は過去12年でのインデックスの最低価格を更新する様な展開となりました。
Wells FargoのCFOが、1月と2月のビジネスは順調だと発言して、一旦は株価は10%を超える上昇となり、また、ファイナンシャルのセクター全体も上昇となったのですが、こちらも勢いは続きませんでした。今週、セクターが下がる中、堅調な動きをしていたGoldman Sachsは、今日は下落となりました。AIGの政府救済で利益を得ていたところはどこかといった点が上院の公聴会で指摘されています。ご参考までにNew York Timesの記事を添付します。この件、結構注目だと思います。
Senators Ask Who Got Money From A.I.G.
政府による救済によるAIGのCDS損失補填で利益を得ているのはGoldmanとの噂があり、それが多少なりとも今日の株価の下落の要因であった可能性もあるかと思います。尚、これは、私の推測です。
今日の株価の動きを見ても、市場がかなり悲観的なセンチメントが支配的なことが顕著に表れていると思います。ここ数週間発表されているニュースを見ると、今後景気は更に悪化して行く事を明確に示しており、どうしても悲観的な見方が強まってしまう状況だと思います。個人的には、昨日、一昨日GMのバンクラプシーに関わる話が思いの外、市場全体に与えたのが印象的でした。これは、やはり投資家・市場の心理に対するインパクトがかなり大きいことを示していると思います。
ただ、もし仮にGMがChapter11を申請したとして、その時は、市場は更に影響を受ける可能性もありますが、AIGの様に何ケ月も引きずって、さらに先の状況が見えない様な展開とは異なり、一区切りはつけてその後に対しては市場へのインパクトを与えない事を考えると、政府が関与した形でのprepackagedのbankruptcyは選択肢としては適切な気がします。
ちょっと細かい話ですが、昨日Marvellが四半期の決算を発表した際、第1四半期のフォーキャストに関しては市場の予想以上に良かったため、株価は本日7%を上回る上昇となりました。 Broadcomも順調に上昇したのですが、多分、Marvellのビジネスが堅調であるのであれば、Broadcomも良いのだろうとの見込みから買われたのでは、と想像しています。
一部の報道では、Marvellのフォーキャストにより、半導体メーカーの第1四半期のビジネスは思いの外良いのでは、との見方が取り上げられていました。この見方は少し短絡的、飛躍しすぎの気はしますが、第4四半期にパソコンメーカー等が過剰なまでに在庫調整を行ったとの情報があり、もしもこの情報が事実であればハイテク系、特に半導体メーカーのビジネスは予想よりも良くなる可能性はあります。ただし、これは四半期のレベルの話であって、重要なのは数四半期にかけての市場トレンドだと思います。
来週の月曜日に、TIがミッド・クウォーターでのガイダンスのカンファレンスコールを行うので、個人的にはかなり注目しています。TIは携帯電話のメインの半導体を製造、供給している主要メーカーなので、その事業見込みがどうかで、携帯電話の事業、関連の部品メーカーといった業界、セクターの動向の参考になります。個人的には予想以上に厳しい・悪い結果を明らかにすると、思っていますが、どうなるのか、注目しています。
市場全体の動向について話を戻すと、昨日、一昨日にも書いていますが、ファイナンシャル・セクターが回復基調にならない限り市場が上昇トレンドに転換する事はないと思います。今の時点でファイナンシャル・セクターが抱えている様々な問題を考慮すると、残念ながら、セクターが回復基調になることはしばらくない様に思います。
しかし、バフェットさんが株主総会のレターの冒頭のセクションで述べていた様に、景気がさらに悪化したとしても、必ずしも株式市場も下落すると決まった訳ではないので、市場の動向、トレンドの変化等に引き続き着目していこうと思います。
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