2009年3月11日水曜日

3月10日の米国市場



<主要インデックスの終値>

DOW: 6,926.25 +379.20 (+5.79%)
Nasdaq: 1,358.28 +89.64 (+7.07%)
S&P500: 719.60 +43.07 (+6.37%)

今日は、朝のCitiが現時点で黒字だとニュースをきっかけに上昇して始まり、そのまま上昇を続けて昨日終値に比べ大幅な上昇で終了しました。全ての主要インデックスは、5%以上、Nasdaqは7%を超える上昇でした。

Dow jumps nearly 300 as Citi announces profit


<本日の主なニュース>

Citi CEO Pandit氏が社員向けに送ったメモが公開され、その中で、2009年の1,2月はビジネスが好調で黒字となっており、現時点でのパフォーマンスは、2007年第3四半期以降で最高のペースだと語った事がメディアで大きく取り上げられました。市場に与えたインパクトはかなり大きく、Citiの株価は本日36.19%の大幅な上昇となりました。ファイナンスセクター全体も大きく上昇、市場全体も大幅な上昇となりました。当ブログでも一つ前に関連するエントリーを掲載しておりますので、よかったらそちらもご参照下さい。

IMFが世界経済は今年縮小となる”Great Recession”になるとの見込みを示しました。特にアフリカについては、世界経済の失速・停滞の影響を大きく受け、貧困の問題が深刻になるであろうと警告し、対応を即しました。
関連記事:IMF warns of global "Great Recession"

United Technologiesが、11600人の従業員数を削減すると発表しました。
関連記事:United Tech to cut 11,600 jobs

Bernanke議長が今週末にロンドンで行われるG20において、将来のクライシスを防止するために、規制のリファームを行いファイナンス企業に対する基準・規制を強化する(アカウンティングの)共通の基準を持つ事に合意すべきとの見方を示しました。(以下、関連記事のリンクを添付します。)

関連記事:Bernanke: G20 should focus on regulatory principles

関連記事:Uptick rule may return, mark-to-market changes seen

<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)Citi 38.1%, BAC 27.73%, JPM 22.64%, WFC 18.46%, MS 26.46%, GS 15.32%と非常に大きな上昇となりました。

(住宅)  主なところはどこも10%以上、上がっているところは、20%を上回る大幅な上昇となりました。

(小売り)順調に上昇しています。上昇で目立ったのは、Best Buy 13.51%, Williams-Sonoma 13.11%, Kohls 10.18%等です。一方、Wal-Martは2.44%と比較的穏やかな上昇でした。

(テクノロジー)  こちらも全面的に上昇しています。主要なところは、10%を超える様な突出した上昇をしたところはあまりありませんでしたが、その中でIntelは10.92%の上昇でした。

<まとめ・コメント>

昨日のエントリーで終わりに「ただ、ここにきて悪材料に関してはほぼ出尽くし、それら悪いニュース、懸念材料に関しては株価に織り込まれた感があるので、何かのニュース、特にサプライズな良いニュース等で、市場が一時的に大きく上昇する可能性もあるかとは思います。」と書いたのですが、今日のCitiが黒字になっているとの報道をきっかけに、市場は大幅な上昇となりました。Citi以外のニュースではあまりこれといったものはなかったのですが、今日の市場の上昇の理由としてCiti以外の件で、Fedがファイナンス企業のアカウンティングをMark to Market(市場価格での算出)に変更させる事や空売りの規制を再び行う事等を上げているメディアもあります。これらの話は別に新しい話ではなく、Citiのニュースで市場センチメントが大きく変わり、それによりこれらのニュースに対しても非常に好意的に受けとったと私は解釈しています。

ファイナンスセクターの株は、上にも書いている様にどこもかなり大幅な上昇となっています。最近まで急速に下がってきていたので、この様な大幅な反発があって分からなくもないのですが、住宅セクターの株がファイナンス企業の株並みに大幅に上昇しているのが興味深いところです。インデックスのレベルで見るとNasdaqが7%を超える大幅な上昇で、これはテクノロジー株が全体的に好調であった事を示しています。一方で、突出した様な上昇は大手の企業ではほとんどありませんでした。これは、好ましい動きだった様に思います。

Citiの話に戻すと、1月と2月は順調で利益が出ているとの事ですが、これは、先週Wells FargoのCFOが同じ事を言っていたので、恐らくファイナンス企業の1月2月はどこも良かった様です。このことは、間違いなく良いニュースでありますが、この先のファイナンス企業のビジネスがどうなって行くのかは、今後の市場のトレンドを決める上でかなり重要だと思います。昨年はほとんどの企業が大幅な赤字決算となりましたが、それが第1四半期から好転し、今年の後半から安定的に黒字になるようであれば、ファイナンスセクターの株価は大きく上昇すると思います。また、その様なシナリオになった場合は、市場全体が上昇トレンドに転換する可能性が高いと思います。

この様に考えると今日の大幅な上昇も分からなくもないですが、依然として不安要因は多くあると思います。Citi Pandit氏の発言にしても、これだけ株価が下がり、国有化の懸念が払拭されない状況であれば、社員に対して良い方のニュースを強調するのは当然のことだと思います。つまり悪材料が払拭されたわけではありません。また、失業率も高水準にあり、それがさらに上昇すると見られています。上にUnited Technologiesの人員削減の発表を挙げましたが、多くの企業で人員削減を進めており、失業率の更なる上昇は避けられない状況です。

高い失業率は経済の様々な分野に大きな影響を与えます。失業による消費者の動向の変化、需要の悪化、それによる経済への実質的な影響はこれから更に大きくなって行きます。株式市場の今後の動向についても予断をゆるさない状況です。バフェット氏の様に10年以上先と言う様な投資の視点で見た場合、現時点の株価水準は疑いなく魅力的な水準でありますが、短中期では株価が更に下落する可能性もすくなからずあり、また、大きく戻す事はない可能性も十分にあります。

短中期的な焦点としては、昨日も書きましたが、4月にぞくぞくと発表される企業の第1四半期の決算結果と今後の収益見込みやビジネス動向だと思います。

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