2009年3月25日水曜日

Goldman Sachs来月にも政府にTARPの融資返済か?

Goldman Sachsが、政府のTroubled Asset Relief Program(TARP)から受けている100億ドルの融資を来月にも返済する様に動いている、と米国時間24日火曜日(日本時間25日深夜)にNew York Timesが報道し、それを他のメディアでも盛んに取り上げています。

Goldman Sachsや他の主要ファイナンス企業のトップは、今年に入ってからTARPの返済をできるだけ早くしたいと、口を揃えて語っています。これは、政府から援助を受けている企業に対して、経営者に対する給料の上限の設定他、政府や議会がいろいろ介入してくる恐れがある事等が背景にあり、TARPを返済する事により、他から介入される事なく自由に運営したいことが主な理由です。さらには、ここにきてAIGのボーナス支給の問題から、政府の援助を受けている企業に対して、高額ボーナス支給に対する懲罰的な税率の適用の法制化の動き等が、GoldmanのTARPの返済の動きに加速を与えている様です。

以下、元となったNew York Timesの記事を中心に、本件についての概要を記します。

Goldman Sachは、TARPの返済を早ければ来月にも行いたいと計画している。これは、CEO Lloyd Blankfein氏が以前に設定した年末までの返済のゴールのタイム・テーブルよりもはるかに早いスケジュールである。

Goldmanの突然の急を要する返済は、先週のAIGのボーナス支給に対する批判の噴出等が部分的に起因している。さらに、Goldmanは、政府のAIG救済のカウンターパーティーとして、最も恩恵を受けていた事についての批判が高まっている事も理由としてある。

関係者によると、Goldmanの経営陣は、先週、何度も打ち合わせを行い、元々の予定よりもかなり早くお金を返済する事を暫定的に決めた。Goldmanの公式窓口(の社員)は、本件に関して、内々にHouse Financial committee(上院金融委員会)の議長である民主党のBarney Frank氏と話を持った。

If Goldman Returns Aid, Will Others?

The New York Times, March 23, 2009

(以下、記事は続きますが、直接的な引用はここまでにします。)

上記記事の続きでも書かれているのですが、Goldmanが他に先駆けて早々に返済するとなると、他社もそれに追随しようとすることが予想されます。しかし、返済を実際にできるだけの与力のある会社は非常に限られており、引用の記事では、Goldman以外にそれができるのは、JPMorgan Chase位だろう、としています。

Wells Fargo CEOは元々、前財務省長官のPaulson氏が、全主要ファイナンス企業に対して、半強制的にTARPの融資を行う際に反対しており、TARPは必要なく、自社はより有利な条件で資金を自前で調達できた、と強調しています。ただ、Wachoviaの不良資産の処分等でバランスシートが弱っているので、Wells Fargoも早急に返済できるかは、私も分かりません。

Goldmanの場合は、事情としては、経営陣の非常に高額な給料でも知られており、政府に干渉されたくない、と言う気持ちが強いと思われます。また、上記引用記事でも述べていますが、仮に全てTARPを返済して、給料等に上限なく高額の支給ができる様になった場合に、制限のある他社から有能な人物を引き抜く事も容易になると言った理由も指摘しています。

来月は、各主要金融企業も決算を発表します。その決算結果の内容に加え、例えばGoldmanがTARPの返済を行う事を発表した場合は、Goldmanの株価ももちろんですが、セクター全体、あるいは株式市場全体への影響も少なからずあるかと思います。

2週間程前まで、ファイナンス企業の勝ち組と負け組で随分明確なパフォーマンスの差が出てきていましたが、この2週間をとって見た場合は、CitiやBank of Americaと言った負け組と見られる企業のパフォーマンスの方が他の主要企業よりも大きく上回っています。

しかし、第1四半期の決算結果やTARPの返済の可能性等で、再び勝ち組と負け組のパフォーマンスの差が大きくなる可能性もでてきました。

来月の見所にこの件も加わってきたと思います。

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