2009年3月10日火曜日

3月9日の米国市場




<主要インデックスの終値>

DOW: 6,547.05 -79.89 (-1.21%)
Nasdaq: 1,268.64 -25.21 (-1.95%)
S&P500: 676.53 -6.85 (-1.00%)

本日は市場開始後は上昇して始まったものの、その後下落に転じ午後にかけて全てのインデックスは前日比でマイナスとなりました。

<本日の主なニュース>

Merckは、Schering-Ploughを411億ドルで買収する事を発表しました。これは、ここ数週間で2番目に大きい製薬会社の合併の案件です。添付の関連記事によると、オバマ政権によるヘルスケアのリフォームにより薬品価格等でプレッシャーがかかる事が予想されており、それが、製品会社の合併等を促進しているとのことです。
関連記事:
Merck to buy Schering-Plough for $41.1 billion

Roche Holding AGは、Genetechの保有していない残りの株を一株95ドルで買い取る事で交渉していることが明らかになりました。(注:金曜日提案した買い取り価格を引き上げている模様)Rocheは、金曜日に提案価格を93ドルに引き上げ、両社は交渉中との事です。一株95ドルとなった場合、この取引は467億ドルになります。
関連記事:
Roche, Genentech in talks on $47 billion deal

McDonald’sの米国の2月の既存店(開店後13ケ月以上経過したもの)の売り上げは、昨年と同月と比べ1.4%の増加となったと発表しました。昨年は閏年だったため1日多く、1日少ない影響は既存店売り上げで4%減少との事です。

しかしながら、McDonald’sは、現在のドル高の為替レートの影響で第一四半期の利益は、一株当たり7から9セント減るだろうとしています。
関連記事:
McDonald's same-store sales up 1.4 percent in February


<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)Bank of Americaが19.43%, Wells Fargoが15.8%の大幅な上昇、その一方で、Morgan Stanley4.07%, Goldman 2.25%の下落となりました。Citiは1.94%の上昇、JPMorganは、0.19%の微減でした。

(住宅)  上昇と下落に分かれていますが、変動幅はそれ程大きくない(1%前後)ところが多いです。

(小売り)食品や日用雑貨等の小売り大手は、下落しているところが多いですが、一方で、Home Depot, Lowe’s, BestBuy等は上昇となっています。

(テクノロジー)  ほとんどが下落しています。目についたのは、HPが5.09%、Google 5.73%, Oracle 4.28%と比較的大きく下落しています。

<まとめ・コメント>

大きく下落した先週から明けた今週、MerckのSchering-Ploughの買収の発表等から、上昇して始まりましたが、途中から下落に転じ、結局先週金曜日終値からさらに下落して終了となりました。本日の主要なニュースを見ても、製薬会社の大型買収合併案件が発表され、業界の再編成が進んでいる事が顕著にしめしています。一般的には、大型の合併や買収は、企業価値の上昇を即するものですが、市場全体を引き上げる、あるいは、市場のセンチメントを向上させることにはつながりませんでした。このことも、如何に現在の市場心理が冷え込んでいるかを表していると思います。

先週大きく下落したWells Fargoは、本日大幅な上昇となりました。さらに、Bank of Americaは20%近い上昇でした。この2社(と正確には、US Bancorp)の際立った上昇は、今朝のWSJで掲載されたBofAのCEO Ken Lewisの意見記事の内容;ウォーレン・バフェット氏がCNBCの特別企画のインタビューでWells Fargoは、このクレジット・クライシスを経て、将来、今までにない位成功するだろうとの意見を述べた事;先週あまりにも下がりすぎて、行き過ぎとの見方が投資筋から出てきていること:等が主な材料の様です。

Ken Lewis氏の意見記事のリンク:
Some Myths About Banks

Buffett氏関連の記事:
Wells Fargo shares boosted by Buffett

尚、CNBCのウォーレン・バフェット氏との特別企画インタビュー、”Ask Warren” に関しては、当ブログの姉妹ブログの“
ウォーレン・バフェット ウォッチ”の方で後程、詳しく取り上げる予定です。

上記2銀行株とUS Bancorpが大幅に上昇した一方で、投資銀行系の GoldmanとMorgan Stanleyの株は本日は下落となり、あまりぱっとしませんでした。ただし、これらの2社の株価は先週、ファイナンス・セクターのほとんどの株が大きく下落する中で、堅調に推移していたので、ある意味、今日の株価の動きはバランスを取る様な調整的な色彩も感じられます。BofAが大幅に上昇となったにもかかわらず、Citiはほとんど上昇しなかった事は、一時的な国有化の可能性が取沙汰される2社の行く末に今日の時点では、たもとをわかつ様な傾向が見られます。これが、短期的なものなのか、どうなのかについては、引き続き注目して行きたいと思います。

市場終了後に私が注目していたTIの第1四半期のミッド・クウォーター・アップデートがありました。発表内容としては、第1四半期の前回示していた予想の範囲を絞る形でした。個人的には、より悪い見込みとなるのではと思っていたので、ちょっとびっくりしています。言い方を換えると、TIの今回のフォーキャストの精度が高い事に感心しました。ただし、収益見込みに関しては、一株当たり8セントのロスからイーブンなので、内容自体は別に良い訳ではないと思います。アフターアワーズでは若干の上昇となっていますが、これは、前回予想よりも悪くなるのでは、と言った懸念が払拭された事によるものだと思います。発表内容について後で詳しく読んでみようと思います。

市場全体としては、上に書きましたが、大型の買収案件、売却提案額の引き上げ等のニュースは、通常の場合であれば、市場を引き上げる大きな原動力になるにも関わらず、そうならないところに、深刻な市場心理の冷え込み・悲観的な見方を表している様に思います。ここ最近、ハイテクの大手を中心にテクノロジー株を買い戻す動きがありましたが、ここにきてその上昇を打ち消す様な下落となっています。これも、市場が上昇トレンドに変わる場合は、テクノロジー株は順調に上昇するだろうとの期待からだったと見られており、そういった期待が失われてきている表れと思えます。

ただ、ここにきて悪材料に関してはほぼ出尽くし、それら悪いニュース、懸念材料に関しては株価に織り込まれた感があるので、何かのニュース、特にサプライな良いニュース等で、市場が一時的に大きく上昇する可能性もあるかとは思います。(一時的だと思いますが、、、)

3月も2週に突入し、中期的なトレンドの焦点としては、約1ケ月後から始まる主要企業の第1四半期の決算結果に注目が移って行く事となると予想しています。

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