2009年3月13日金曜日

3月12日の米国市場



<主要インデックスの終値>

DOW: 7,170.06 +239.66 (+3.46%)
Nasdaq: 1,426.10 +54.46 (+3.97%)
S&P500: 750.74 +23.38 (+4.07%)

今日は、開始直後は下落して始まりましたが、その後すぐに上昇に転じ、それから一貫して上昇基調のまま終了しました。上昇のトレンドとなった主な材料としては、S&PによるGEのレーティングが1段階ダウングレードしただけで、その先の引き下げの恐れは現時点でないこと、政府発表の2月の小売店の販売結果が前月に比べて予想されていた程下落しなかった事等が挙げられています。

Wall Street jumps on GE rating outlook and data

<本日の主なニュース>

Reutersによるエコノミストへの調査で、米国の失業率は10%近くに達すると予想されています。また、景気は第3四半期に底をつくだろうとの見込みが主流で、これは1ケ月前に行われた前回の調査よりも弱気の(遅い)見通しとなっています。

関連記事:U.S. jobless seen nearing 10 percent

GEは、S&Pによるレートが最高のAAAのクレジット・レーティングからAA-plusにダウングレードされました。しかし、同時に先の見通しに対しては、negativeからstableに引き上げました。この発表でGEの株価は本日12.7%の大幅な上昇となりました。ただし、依然として多くの問題・懸念事項を抱えている様です。詳しくは添付記事を参照して下さい。

関連記事:GE stripped of top-tier credit rating by S&P, stock up

Citi Pandit氏、JPMorgan Dimon氏に続き、Bank of America CEOのKenneth Lewis氏が、BofAの1月と2月は黒字である事、今後政府の援助なしにリセッションを切り抜けれるだろうと、述べました。また、2009年は黒字となるとしています。添付記事から、Lewis氏の発言を以下に引用します。

"I actually think the next six months is going to be, in a positive way, a gut-wrenching time," Lewis told an audience at the Chief Executive Officers Club of Boston. "We're going to start seeing signs of improvement and, at some point, you have to pull the trigger on that investment or that expansion."

尚、アナリストのBofAの収益予想平均は、第一四半期は一株当たりで3セントのロスを見込んでいます。株価は本日18.66%の大幅上昇となりました。

GMは、政府に対し3月まではそれまで要請していた追加の20億ドルの緊急援助なしでも生き残れるとの声明を発表しました。
GM says can survive March without new aid

Commerce Departmentが発表した2月の小売店の販売状況は、先月に比べ0.1%の下落となりました。尚、添付記事によると、この数値に関して懐疑的なアナリストもいる様です。

US Department of Commerce: プレスリリース

関連記事:U.S. retail sales dip less than expected

<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)今日も大幅に上昇しているところが多いです。

(住宅)  大幅な上昇をしているところが多いです。

(小売り)順調に上昇しています。上昇幅は、ファイナンスや住宅セクター程ではなく一桁台の%上昇です。

(テクノロジー)  上昇しているところが多いですが、主要なところで5%を超える大きな上昇をしているところは目につきませんでした。尚、Microsoftは若干の下落でした。

<まとめ・コメント>

Citi Pandit氏、JPMorgan Dimon氏に続き、Bank of America CEOのKenneth Lewis氏も1月、2月黒字発言で、株価は大幅上昇、ファイナンスセクターも大幅上昇となりました。上にも書きましたが、今四半期のアナリストの予想は赤字予想なので、黒字になるとの見方を額面通り受けとれば、大幅上昇となる事は納得できます。また、大手銀行のトップが揃って1月2月は黒字、好調だったと言っている訳で、そうなると実際に今四半期に関しては、ファイナンスセクターの市場環境はかなり改善されてきていると考えるのが妥当の様に思います。

また、発表された2月の小売りの販売結果が思った以上に堅調だったことも、市場の心理を好転させるのに大きく貢献した様に思います。一部の投資家・メディアでは、市場は底を既に打った、今が絶好の買い場だ、と声を大にしている様で、先週支配的だった悲観的な見方は、一週間後にはすっかり豹変してしまっています。

ただ、マクロの視点で見るとそれ程、楽観視できる状況にあるとは思いません。一方で、来月発表される第一四半期の決算結果と収益見通しは、短中期的な市場の動き、トレンドを決める上で非常に重要だと思います。

何度か既にエントリーで書いておりますが、もしも、ファイナンス・セクターの企業の第1四半期の決算で、全ての企業が黒字転換、一部企業は順調な利益を獲得、今後の収益見通しに対しても比較的強気、等となった場合、下落していた市場が大幅に戻すシナリオは可能性としては十分に考えられます。

個人的には、あまりにも楽観的な気がしますが、短期的にはファンダメンタルズよりも市場センチメントで動く要素が大きいので、主要銀行トップの立て続けの強気の発言をどう受けとるかも、短期の動きとしてはかなり重要な要素だと思います。

更には、GMも3月までは追加援助なしでも大丈夫、等と言う声明を発表しているのも興味深いところです。別のエントリーで取り上げていますが、ヨーロッパのBMWの赤字転落、VW CEOの発言、現在の米国内の自動車市場の状況等を考慮すると、マクロでの市場環境はまったく良くなっている訳ではないので、GMの今後の展開に注目したいと思います。

なんとなくですが、極端に悪くなっていた市場センチメントを改善するため、ここにきてメディアを含めた市場心理改善キャンペーン的な動きが強まっている気がしています。一ケ月後には実際のところ第1四半期がどうだったのか分かるので、結果との比較をしてみたいと考えています。

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