2009年3月6日金曜日

3月5日の米国市場




<主要インデックスの終値>

DOW: 6,594.44 -281.40 (-4.09%)
Nasdaq: 1,299.59 -54.15 (-4.00%)
S&P500: 682.55 -30.32 (-4.25%)

本日は午前中にGMの倒産の可能性が高まってきているとの報道をきっかけに市場全体が下落し、さらに銀行への不安が高まり全面安となり、下落基調のまま終了しました。主要インデックスは、全て4%以上の大幅な下落となりました。

関連記事:Wall Street tumbles on GM woes, bank


<本日の主なニュース>

今日の一番のニュースはGM関連だと思います。これに関しては、一つ前のエントリーで取り上げておりますので、そちらを参考にして下さい。

MBA(Mortgage Bankers Association)が、住宅ローンを利用している住宅所有者の8人に1人が住宅ローンの支払いの遅延を起こしているか、フォークロジャー(担保権執行)の過程にあると発表しました。今回の発表で、住宅ローン返済の破綻が非常に高まってきていることが明らかです。更には、サブプライム等信用が低いもの、あるいは、OptionARMの金利変更等で返済に窮する住宅ローン債務者だけでなく、通常の住宅ローン利用者でも、失業する事で支払いに窮するケースが増加しているのとのことです。
関連記事:One in 8 U.S. homeowners late paying or in foreclosure


Bank of Englandが金利を過去最低となる0.5%に引下げました。更に750億ポンドの資金で債券等の買い取りを行うことを発表しました。予想よりも、かなりアグレッシブな対応であるのと事です。
関連記事:BoE cuts rates to 0.5 percent, to pump money into economy


<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)昨日大幅に下落したにも関わらず、本日もWells Fargo 15.94%, JP Morgan Chase 13.99%, US Bancorp18.17%と大きく下落しました。昨日はそれ程下落しなかったCitiは、今日は9.73%, BofAは11.70%と大きく下落しました。また、昨日上昇したGoldmanは今日は4.39%、Morgan Stanleyは7.32%の下落でした。

(住宅)  ほとんどが下落していますが、下げ幅はそれ程大きくないところが多いです。Centexは、2.63%の上昇でした。

(小売り)Wal Martは、2.6%の上昇。それ以外の主要なところは、下落しています。(下げ幅としては、インデックスの値と同じレベルのところが多いです。

(テクノロジー)  ほとんどが下落しています。その中で、TIは0.34%の上昇、Qaulcomは0.32%の下落で携帯電話関連の半導体メーカーは今日は堅調でした。


<まとめ・コメント>

GMが倒産する可能性は、以前から取沙汰されていましたが、その可能性が高まったとの報道は、市場のセンチメントに対してかなりインパクトがあった様です。更には、今週の月曜日の政府の再三の救済策にも関わらず、発表されたAIGの大幅な赤字決算は、政府の救済があっても自体が簡単に改善することではないことを印象づけており、それが、銀行株に対する大きな不安となってきている様です。

昨日大幅に下落したにもかかわらず、Wells Fargoは今日も15%を超える下落となり、ひときは目立っていました。Wells Fargo自体は、財務状況としては他と比べると良いとの認識が支配的でしたが、ここにきて買収したWachovia関連の損失が高まる可能性の不安等が連日の大幅下落の要因の様に思います。

今日のニュースのところで取り上げていますが、住宅ローン返済が滞ってきている率が住宅ローン返済者の8人に1人との、との報道は正直びっくりしました。ちょっと信じられない様な高い比率の様に思いますが、これが事実とすれば、そのことが与える影響、特に住宅ローンを供給する銀行にとっては直接的な影響があるので、このことも下落に拍車をかけることになっていると思います。

また、住宅ローン返済が遅延している理由として、職を失ったためとのケースが増えているとのことも非常に興味深いところです。アメリカの消費者はあまり貯金をしないことは、比較的有名ですが、そのため、職を失うとすぐに家計に大きな影響をきたし、ローン等の返済にすぐに窮してしまうと言うもろい構造が露見している様に思えます。

昨日はファイナンスセクター全体が下がる中、順調に上昇したGoldmanとMorgan Stanleyは、今日はさすがに下がりましたが、下げ幅は銀行系と比べると小さいものでした。また、AIGに対する政府の救済、特にCDSの処分等で利益を得られる側として、Goldmanが筆頭に挙げられており、そのことが他の企業に比べて比較的(かなり)高い状態で株価が推移している事の大きな理由の一つの様に思われます。

昨日も書きましたが、ファイナンスセクターが上昇のトレンドに転じない限り、市場全体のトレンドも変わる事はないと思います。株価の水準自体はかなり低くなっているので、一時的に反発的な上昇、それもかなり上がる場合もあり得るとは思いますが、反面、中長期的なトレンドとしては、ファイナンス関連の問題が改善に向かわない限り、下落基調を維持するのではと思っています。

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