2009年3月31日火曜日

オバマ政権、GMとクライスラーに対する支援策のアップデートを発表

本日、オバマ政権がGMとChryslerに対する救済についてのアップデートを行いました。

米国財務省のGMとChryslerに貸し付けを行うにあたって、両社が今後継続して行くことができるための具体的な案の提出が条件でした。今回の発表は、両社から提出された計画案に対しての政府の見解と今後に対する道しるべが骨子です。

政府発表のファクトシートからの抜粋を訳し要約し、以下に記します。ファクトシートの冒頭で、キー・ファイディングズ(主要な見解)として、以下の様に述べています。

Viability of Existing Plan:

2月17日提出されたGMとChryslerの計画は、継続性に対して確証を与えるには至っていない。現行の体制では、納税者の資金を使用した巨額の新たな投資を妥当であるとするには、不十分である。両社は夫々、期間を設定し、長期の経済的な継続・持続性(を達成するため)の戦略を策定するために相応しい額の運営資金を得る事になる。

General Motors:

GMの現行の計画は妥当(十分)ではないが、オバマ政権は、更に抜本的なリストラクチャリングを行う事により、GMはこのプロセス(過程・手順)を経て、より強くさらに競争力の高い会社に育成されると確信している。このプロセスは、GMのリーダーシップの変更、米財務省による更なる取り組み(尽力)、そして、外部のアドバイザーのリストラクチャリングの取り組みへの強力等を含む。Rick Wagnerは、会長兼CEOの座から離れることになる。この骨子により、更に意欲的なリストラクチャリング計画と計画を実現するに値する戦略を作成するために、オバマ政権はGMに対して60日分の運営資金を提供する。オバマ政権は、GMのリストラクチャリングの取り組みの後ろ盾となる。

Chrysler:

ファイナンシャルと業界の専門家と十二分に協議・相談した結果、オバマ政権は遺憾ながら、クライスラー社は単独の会社として継続して行く事はできない、との結論に至った。しかし、クライスラーはフィアットと合意しており、それは、継続して行くための基本的な道しるべとなる可能性がある。フィアットは、価値のある技術をクライスラーに移譲する準備があり、オバマ政権と幅広い点について相談した結果、米国の工場で新しい燃費に優れた自動車とエンジンを製造することを約束している。しかしながら、一方で、この案件が現実として成立するために、超えなければならない大きな(複数の)障害が存在している。

そのため、オバマ政権は、フィアットとの正式な(確実な)合意の結論をだすため、そしてサポートのため必要となる保有分を確保するため、30日分の運営資金を提供する。もしも、成功した場合、オバマ政権は、クライスラーが求めているこのパートナーシップ(協力関係、協業)を成功させるために手助けとなるとする追加の最大60億ドルの投資を検討する。もし、合意が得られなかった場合、オバマ政権は、クライスラーに対して、いかなる形でも税金を使用した追加の投資は行わない。

A Fresh Start to Implement Aggressive Restructurings:

クライスラーとGMは異なる会社で今後の取る道も異なるものの、2社の両方とも、立ち行かない程の借金があり、両社は新たな出発が必要である。彼らの成功するための最良の機会は、手早く解体する方法のバンクラプシー・コードを適用することかもしれない。会社を分割し、売却する様な清算・整理(liquidation)、あるいは、会社が清算から抜け出すために数年間かかる通常の倒産、とは異なり、構造化したバンクラプシー手法(a structured bankruptcy process) - もしも必要となった場合の手段 – は、GMとクライスラーが昔からの負債を清算することを容易にする手段となり、そのため、引き続き自動車を生産し、我々の経済において職を提供しながら成功への道を得ることができることになる。

A Commitment to Consumer Warrantees:

オバマ政権は、この期間において、GMまたはクライスラーから購入した新車を革新的な保証確約のプログラム(an innovative warrantee commitment program)を通じて、後ろ盾となり支えることを確約する。

Appointment of a Director of Auto Recovery:

オバマ政権は、前労働省長官で労務のトップ・エコノミストのEdward MontgomeryがDirector of Recovery for Auto Workers and Communitiesの任につく事を発表した。Monntgomery博士は、米自動車業界に依存する労働者、地域社会、地域を支援するため、政府のあらゆる人材・機能を活用して職務を遂行する。

(要約終わり)訳については、一部意訳しています。この後に、それぞれのGMとクライスラーの計画のfindingsについての詳細が書かれています。ご興味のある方は、以下の政府発表の資料のpdfのリンクを参照して下さい。

原文:Fact Sheet of the New Path to Viability for GM & Chrysler(GMとChryslerの継続性についての新たな道しるべのファクトシート)

(コメント)

予想されていたよりも厳しい姿勢を示した上での支援策だと思います。GMに対しては、60日間の猶予期間を与え、更なる大胆なリストラクチャリングを託しています。クライスラーに対しては、単独での存続は無理との結論を示した上で、フィアットと共同する道を進む様、半強制的に託しています。

また、今回与えた猶予期限で、求めている結果を得られない場合に対しては、構造化したバンクラプシー手法(a structured bankruptcy process)が最良の方法である事を示唆しています。もしも、バンクラプシーを適用した場合とその可能性に対する消費者の不安を和らげ、新車販売の障害にならないために、この期間内の新車の保証を政府が行うことを確約した事も注目されます。この政府の新車保証については、逆に言えば、バンクラプシーの選択の可能性を示しています。また、Monttgomery氏の任命は、恐らく、バンクラプシーの選択を主眼に入れた意図でのものと想像しています。

今回の発表で、クライスラーは30日後、GMは60日後には今後の方向性がはっきり決まる事が明確になったと思います。


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