2009年3月5日木曜日

3月4日の米国市場

<主要インデックスの終値>

DOW: 6,876.32 +150.30 (+2.23%)
Nasdaq: 1,353.74 +32.73 (+2.48%)
S&P500: 712.86 +16.53 (+2.37%)

過去12年で最低の水準となった昨日から明けた本日は上昇して終了しました。S&P 500は、700の大台を回復、NasdaqとDOWも順調に推移しました。本日の上昇の主な理由としては、中国の景気刺激策が商品の価格を引き上げたこと、それによって、燃料・資源関連の株が買われた事等があげられています。また、原油の先物価格は9%上昇しました。
Wall Street jumps on China bets and commodities

<本日の主なニュース>

株式市場は上昇したものの、本日発表されたニュースは相変わらず悪い話が中心です。
GEの株価は、レーティングがダウングレードされるのではとの懸念等が高まり、日中一時16%程度の大幅な下落となり、過去18年で最低の株価の水準まで行きました。その後、GEの声明発表と副会長のMichael Neal氏が5万株を購入した事が報道され、株価は大きく回復し、前日終値に比べて4.56%の下落の$6.69で終了しています。
Fears push GE stock to 18-year low

米国政府は、750億ドルの住宅ローン・フォークロジャー(担保権執行)からの救済計画を発表しました。最新のデータによると米国の住宅所有者の5人に1人は、住宅ローンの残債が市場価格を上回る(アンダー・ウォーター)の状況で、速やかな新たな対策が必要との事から発表された様です。

関連記事:U.S. launches mortgage plan as homeowners struggle

財務省プレスリリース

Fedがベージュブックを発表しました。一番最初の段落を抜粋します。

Reports from the twelve Federal Reserve Districts suggest that national economic conditions deteriorated further during the reporting period of January through late February. Ten of the twelve reports indicated weaker conditions or declines in economic activity; the exceptions were Philadelphia and Chicago, which reported that their regional economies "remained weak." The deterioration was broad based, with only a few sectors such as basic food production and pharmaceuticals appearing to be exceptions. Looking ahead, contacts from various Districts rate the prospects for near-term improvement in economic conditions as poor, with a significant pickup not expected before late 2009 or early 2010.

1月から2月末にかけてさ経済の状況がさらに悪化しているとしています。また、基本的な食料品の生産と薬品の様な数少ない限られたセクターを除いて、悪化はかなり広い分野にわたっているとしています。また、先行きに関しては、短期的な景気の回復の見込みは低い事、2009年後半、または2010年の前半の前までには、大幅な改善は見込めないとしています。(要は、ベストケースで2009年の終わりからの大幅な回復)

3月4日発表:ベージュブック

関連記事:Near-term outlook for U.S. darkening: Fed officials

2月の米国の自動車の販売は、昨年同月に比べ41%の大幅な下落となりました。

GM:53%下落
Ford: 43%下落
Toyota:40%下落
Honda: 38% 下落
Nissan: 37% 下落
Chrysler: 44% 下落

関連記事:U.S. Auto Sales Plunged 41% in February


<主要企業の決算発表結果>

高級住宅建設販売大手のToll Brothersが発表した決算上の2009年代1四半期の決算結果は、8890万ドルの赤字、一株当たりは55セントの損失となりました。評価損の計上を除いた場合、960万ドルの利益、EPSで6セントでした。先行きの見込みに関しては、現在の市場環境では収益見込みを発表できない。としています。
Toll Brothers Reports 1st Qtr 2009 Results

会員性日用雑貨・食品卸売り販売大手のCostcoとBJ’sが四半期の決算を発表しました。どちらも食品の販売は堅調だったものの、その他の売り上げは停滞とのことです。Costcoの利益は27%の減益、一方、規模としてはCostcoと比べるとかなり小さいBJ’sは5%の増益となりました。

本日の株価はCostcoは0.29%の若干の上昇、BJ’sは7.22%の上昇となりました。

関連記事:Costco and BJ's see benefit of food sales


<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)Wells Fargo 9.47%, JP Morgan Chase 8.14%, US Bancorp12.48%と大きく下落した一方で、Goldmanは3.76%、Morgan Stanleyは6.71%の上昇と明暗を分けました。

(住宅)  ほとんどが順調に上昇しています。

(小売り)ほとんどが上昇しています。

(テクノロジー)  ほとんどが上昇しています。めだったところでは、Intel 3.91%, Apple 3.17%, Yahoo 5.28%の上昇でした。一方で、Oracle, Dellは下落しています。

<まとめ・コメント>

5日間連続して下落し、過去12年間で最低の水準まで落ちてきた米株式市場は、本日は良いニュースはほとんどなく、相変わらず悪いニュースが多かったものの、順調に上昇となりました。今日の動きで非常に特徴だった事は、ファイナンスの主要企業が大きく下落し、セクターとしても下がっている中で、他のセクターはほとんど順調に上昇した事です。株価はかなり安い水準にあるので、買いに走る投資家も多かった様ですが、買い手はファイナンスセクターを外す傾向が顕著だった様に思います。

また、ファイナンスセクターの中では、JP MorganとWells Fargoの大手銀行株が大きく下落した一方で、日中は下がっていたのですが、投資銀行系のGoldmanとMorgan Stanleyは順調に上昇した事も非常に興味深いところです。再三再四にわたる政府の救済策にも関わらず、今週のAIGの巨額な赤字決算発表からも、ファイナンスセクターの今後には不安が多く残り、さらなる下落リスクも高い、と言うのが比較的共通した見方だと思います。

尚、CitiとBofAに関しては、国有化の懸念も依然として強く残っています。この2社に関しては、ここ2週間で既に大幅に下がっているので、国有化懸念のリスクに関しては株価に既に反映されていると解釈することもできるかと思います。一方で、上記2社と比較した場合、比較的財務的なリスクが低いJP MorganとWellsに関しては、ダウンサイドのリスクが高い事から売りが進んだと想像しています。一方で、ファイナンスセクター自体はかなり大きく下がっているので、何かをきっかけに反転、大幅な上昇するアップサイドのシナリオも考えられます。そのシナリオで下落リスクが比較的低く、上昇の可能性が高いのが投資銀行系の2社なので、それらを買う動きがあったようです。おそらく、ヘッジファンドによるペアトレード的なアプローチが顕著だったのではと想像しています。

ただし、ファイナンス・セクターは下落、全体の市場は順調に上昇すると言う動きは、あまり健全ではないと思います。市場自体が回復基調になるためには、ファイナンス・セクターが上昇基調となることが必須だと思います。良くも悪くもファイナンス・セクターは市場のエンジン・原動力だと思います。この分野が回復しない限り、株式市場の中長期のトレンドは変わらないと思います。

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