2009年4月17日金曜日

4月16日の米国市場


<主要インデックスの終値>

DOW: 8,125.43 +95.81 (+1.19%)
Nasdaq: 1,670.44 +43.64 (+2.68%)
S&P500: 865.30 +13.24 (+1.55%)

本日は、朝から昼過ぎにかけては小康状態を保っていましたが、午後2時頃から上昇トレンドに転じ、前日比上昇で終了しました。本日は昨日とは対照的に、Nasdaqが他のインデックスよりも好調でした。テクノロジー関連の株が全般的に好調だった事が主な要因です。テクノロジー企業の決算は予想よりも良いのでは、との期待が高まっている様です。

Wall Street flies on tech bets and JPMorgan

<本日の主なニュース>

商務省が発表した、3月の住宅着工件数は10.8%減少し季節要因を考慮した年間のペースで51万戸となりました。これは、1959年からで史上2番目に悪い数字です。アナリストの予想は年換算54万戸でした。労働省が発表した、先週の失業保険申請件数は、増加の予想に反して53000件減少し、610000件となりました。また、(はっきり言って60万件を超えているのは依然として非常に高いレベルにあると思います。)
U.S. recession drags but recovery hope grows

全米第2位のショッピングモール所有企業のGeneral Growth PropertiesがChapter 11を申請しました。
General Growth files historic real estate bankruptcy

携帯電話世界一位のNokiaが決算を発表しました。結果は、初めての四半期の赤字決算で、税引き前で1200万ユーロ(1580万ドル)の損失でした。(追記:四半期決算赤字は、税引き前のことです。添付のReutersの記事を元に書きました。尚、第1四半期の税金収入は1600万ユーロで税引後は黒字です。Nokia決算発表資料10ページを参照して下さい。親会社の株主に属する収益としては、1億2200万ユーロ(1億6100万ドル)でした。)

決算発表の際に注目を集めたのは、CEO Olli-Pekka Kallasvuo氏の以下の発言でした。(以下に添付のReutersの記事から引用)

"Although the trajectory of end-demand remains unclear, we believe the market is no longer falling in an uncontrolled manner,"

"I am encouraged by the signs of stabilization we saw at the end of the first quarter,"

個人的には、急激な需要の低下、更に先がまったく見えない状態:最悪の状況から、脱したと言う程度の様に思えます。しかし、市場は、需要の状況が安定してきたと言う好意的に解釈している様です。さらに、追加の発言として

"Nevertheless, it is too early to conclude that the end-user demand has touched bottom," Kallasvuo added. "The global economy as a whole remains weak, and we are planning our business accordingly."

エンドユーザーの需要が底を打ったと結論づけるには時期尚早で、世界経済全体は依然として弱く、我々はその状況に則して事業を行う計画である、と付け加えています。

決算発表をうけて、Nokiaの株価は9.4%の大幅に上昇しました。

Nokia shares rally after calming forecast

JPMorganの四半期の結果は、15億2000万ドルの純利益、EPS40セントで、アナリストの予想平均の32セントを上回りました。また、決算発表のカンファレンスコールで、CEO Jamie Dimon氏は、TARPの返済は明日にでもできると、発言しています。JPMの株価は、本日2.09%の上昇でした。

JPMorgan shares up after profit tops view

市場終了後にGoogleが四半期の決算を発表しました。第1四半期の純利益は、14億ドル、EPS$4.49でした。特別な出費を除いた場合、EPS$5.16でアナリストの予想の$4.93を上回りました。発表直後のアフターアワーズでは、株価は5%以上上昇し、$400を軽く超えていたのですが、現時点では、少し上昇のレベルに留まっています。カンファレンスコールで、CFOが先の見通しを明らかにしなかったこと、利益が高い検索ワードを使用した広告の需要の伸びが落ちてきている事、他、今後の事業展開等についての不安も多少ある様です。

Google handily beats first-quarter profit estimates

<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)BAC (-0.96%), WFC (-0.51%)若干下落した他は、上昇しています。決算を明日に控えたCitiは1.01%, JPM 2.09%, MS 2.22%の上昇でした。

(小売り)Wal-Martが0.99%の下落でしたが、他は、Target 3.40%上昇を始め、順調に上昇しているところが多いです。

(住宅関連)今日も順調に上昇しています。

(テクノロジー)  上昇しているところが多いです。Nokiaの影響か、通信系は今日も順調でした。また、Dellが6.67%上昇したのも目を引きました。

<まとめ・コメント>

本日発表された、経済の指標等は予想よりも悪くなく、また、下落のペースが落ちてきている、あるいは、非常に悪い数値から比べ上昇している等、最近発表された他の指標の傾向と似たパターンでした。また、NokiaのCEOもそのパターンに則した様な発言をしたからか、株価は初の四半期赤字(注:税引き前、上の追記を参照して下さい。)の発表にも関わらず大幅な上昇となりました。Fedも上記パターンを市場の状況が安定化、改善している兆候と強調しており、市場もそれに素直に反応している様な状況が続いています。個人的にはとても楽観できる様な状況ではないと思っています。

General Growth PropertyのChapter 11申請は、今後、事業用不動産の破綻が増加する事を端的に示した大きなニュースだと思っています。しかし、市場の反応はそれ程でもありませんでした。ファイナンス・セクターを取り巻く事業環境は今後更に悪化して行く事は必至だと思います。

本日発表されたJPMの結果は、アナリスト予想よりも良い、ほぼ自分の予想通りの結果でした。株価の反応も過剰に上昇しなかったので、ほぼ最新の市場・投資家の予想の範囲だったと思います。Googleの決算に関しては、個人的にはほぼ予想の範囲でしたが、発表後のアフターアワーズで大きく上昇しているのを見て、市場のセンチメントが行き過ぎなのでは、と心配していましたが、その後、過剰な上昇は収まったので、ある意味では妥当、冷静なレベルの反応の様に思います。

個人的にびっくりしている(あきれている)のは、Nokiaの決算結果からか、通信系の株の多くが本日大きく上昇した事です。今日のNokiaの発表はそれほどポジティブなものではないと思います。通信系が大きく売り込まれているのであれば、本日の様な株価の動きは理解できますが、ここ最近既に大きく上昇している上で、本日更に上がっているのはちょっと行き過ぎと思っています。来週、TI等が決算発表を行うので、その結果と株価の動向に注目しています。

明日はいよいよCitiが決算を発表します。市場の注目も大きく集まっているなかで、どの様な内容になるのか注目しています。どんなことをしても黒字に持って行くと思っています。多分市場も黒字自体は既に見込んでいて、決算発表の内容に注目が集まると予想しています。3月の初めからここまで、連続して大きく上昇してきましたが、このモーメンタムを維持して更に上に引き上げるためには、何か新たなサプライズがないと厳しいと思います。例えば、CitiとBACが予想を大幅に上回る黒字発表等です。その様なものがない場合は、そろそろ燃料切れになりそうに思っています。あるいは、ネガティブなサプライズによって、一気に市場の方向性が反転する可能性もでてきていると思います。

ストレステストに関しては、政府としても何としても市場に対してネガティブな影響を与えない様に、必死に策を練っていると思います。ある意味で、非常に皮肉な状況にあるとも言えます。短期的には、やはり明日のCitiと来週月曜日のBACの決算と市場の反応に注目しています。


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