2009年4月3日金曜日

4月2日の米国市場



<主要インデックスの終値>

DOW: 7,977.84 +216.24 (+2.79%)
Nasdaq: 1,602.63 +51.03 (+3.29%)
S&P500: 834.36 +23.28 (+2.87%)

本日は、市場開始から大きく上昇して始まり、そのままさらに上昇を続け昼過ぎには、各インデックスとも4%近いあるいはそれ以上のレベルにまで上昇しました。その後は多少調整的に下がったものの、昨日に続き、本日も大幅な上昇で終了しました。

Reutersの記事では、本日の上昇は、米国の銀行の資産の価格についてアカウンティングのルールを緩める事が決定した事、G20でIMFに対して1兆ドルの追加融資を決定した事、米国の3月の工場注文(factory order)が7ケ月ぶりに上昇した事を挙げています。(私の意見は後のコメントに書きます。)
Wall Street surges on accounting rule change, G20

<本日の主なニュース>

G20の結果の発表が行われました。主な発表の内容としては、IMFの貸し出し枠を現行の3倍の7500億ドルにする、加盟国の外貨保有枠を拡大し、グローバルファイナンシャル・システムの流動性を高めるためIMFのリザーブ・カレンシー(保有通貨)を2500億ドルに拡大する事、貧困に窮する国に対して、IMFの金を売る事を確約する事、等です。

その他、ヘッジファンドやそれ以外の金融機関に対して税金逃れを防ぐ様々なファイナンシャルの規制条件についても発表されました。

G20 seals $1.1 trillion deal, markets rally
G-20 Expands IMF Lending Powers to $1 Trillion


FASB(Financial Accounting Standards Board)が米国の銀行の資産の価格についてアカウンティングのルールを緩め、より自社の裁量で’mark to market’の申告(自社の判断による市場価格での申告) を認める事を全員の賛成で可決しました。しかし、市場で売却が困難な資産に対して、貸し付け側がより少ないロスを計上する案については、賛成3、反対2で票が割れました。
U.S. rulemaker softens mark-to-market's bite

政府が発表した2月の工業製品の新規注文の速報値(preliminary)は、1.8%の上昇の3522億ドルとなりました。上昇となったのは7ケ月ぶりのことです。出荷額は、0.1%の下落で7ケ月連続の下落となりました。
商務省 国勢調査局プレスリリース

市場終了後にBlackBerryで有名なResearch In Motionが四半期の決算を発表しました。EPSは90セントで前年同期の72セントを上回る好決算でした。また、今後の見通しに対しても強気の予想をしており、株価は、本日7.61%上昇だったにも関わらず、さらに、アフターアワーズで17%程度の大幅な上昇となっています。
RIM posts rosy results and outlook, shares soar

<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)主要なところは全て上昇しています。上昇幅はそれなりです。WFC 5.87%, GS3.56%, C 2.24%, BAC 2.7%上昇しました。その中で、MSについては、2.61%の下落で目立っていました。アナリストが第1四半期の収益が赤字になる予想を発表した事が原因の様です。

(小売り)順調に上昇しています。上昇幅もそれなりに大きいです。

(住宅関連)順調に上昇しています。目立ったところで、MTH 10.80%, DHI 8.49%, KBH 7.38%上昇です。

(テクノロジー)  全般的に上昇しているところが多いです。その中で、MicrosoftとDell は微減でした。

<まとめ・コメント>

G20の発表は、悪い内容ではありませんでしたが、イギリスとアメリカが提案していた、各国が大幅な景気刺激策を行う事については、フランスとドイツの強い反発もあり、発表には含まれませんでした。正直、市場が好意的に解釈する程の内容ではなかったと思います。ただ、ほぼ事前予想通りで、別に悪い話はなかったこと、無事に終了した事が好感された様です。FASBの発表に関しても、ほぼ予想通りでした。直接の恩恵を被るファイナンスセクターは上昇したものの、上昇幅はそれ程でもありませんでした。これは、株価は既にこの件を織り込み済みだったことを示しています。

工業製品の新規注文が上昇となったことについても、好材料と判断された様ですが、これに関しても昨日書いた事と同じで、実際の需要が上がったためと言うよりも第4四半期に在庫を急激に減らす動きがあったため、第1四半期に過剰に減少となった在庫のレベルを調節するために注文が増えたことが主な理由と予想されるため、悪いニュースではないと思いますが、それ程楽観しできるような明らかな良いニュースでもないと思います。特に国勢調査局のニュースリリースを見て頂ければ分かると思いますが、悪い材料も依然として多くあります。

一方で、失業者申請件数は予想を上回る数となっており、失業率の上昇には歯止めがかかっていません。しかしながら、市場の動きとしては、発表された経済指標と失業関連のニュースに対して、昨日と本日は非常に似た反応をし、二日続けて大幅な上昇となりました。

明日は、失業率が発表されます。失業率は、前回発表の8.1%から今回8.5%に上昇する事が予想されています。失業率に関しては、現時点で良い材料となるものはないのですが、それが分かった上で、ここまで上昇してきているのは、市場センチメントがかなり好転している事を示していると思います。明日、実際に失業率が発表された後も、現在のセンチメントを維持して行くのか注目だと思います。

本日市場終了後に、RIMMが予想以上に良い好決算を発表し、今後の見通しに対しても強気の見方を示した事から、アフターアワーズで株価は17%程度の大幅な上昇となっています。この影響から、他のテクノロジー株でもアフターアワーズで上昇しているところが少なからずあります。RIMM が上がるのは分かりますが、これは、失業した場合でも、外部との連絡の重要性から、Black Berryを維持、購入するケースもあると思われるので、これは、RIMMがシェアを伸ばして、RIMM固有の好結果であり、市場環境自体が好転しているわけではないと、思っています。

しかし、テクノロジー・セクターも第4四半期の急激な在庫調整から、第1四半期は注文が増えている可能性が高く、思いの外、第1四半期の結果が良くなる可能性が高くなっています。この様な期待・考えもテクノロジー株の買いを促進していると思います。ただし、在庫調整が終わった後、実際の需要がそれ程上がらなければ、中期の業績を下支えすることが難しくなることも考えられるため、注意が必要と思います。

今日の上昇は、センチメントの要因が非常に強いと思いますが、それに加えて、空売りのポジション解消による踏み上げもかなりあったのではと思います。これ以上、市場を上に引っ張る材料があるのか、注目です。ただ、徐々にアップサイドとダウンサイドの差が大きくなってきている様に思えるので、何かをきっかけに今度は大幅な下落となる可能性も高くなってきている様に思います。

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