冷え込んでいる米国自動車需要を喚起するため、GMとFordが、新しい販売促進プログラムを開始する事を発表しました。今回発表されたプログラムは、Fordの場合は、自動車をローンを使用して購入した顧客が職を失った場合、月々の支払いを最高700ドルまでを、最長で1年間免除するもので、これは同時に行っている0%(無利子)のローンと組み合わせる事ができます。
GMは、”GM Total Confidence”と言う名前の包括的なキャンペーンプログラムで、顧客に対して様々な保証を提供する者です。以下、GMのニュース・リリースを参考に当該プログラムの特徴をまとめたものです。
- Payment Protection(支払いの保証):新車購入後、2年以内に購入者が職を失った場合、最長で9ケ月分の月々のローンまたはリースの支払いを保証する。月額の最大補償額は500ドルまでとする。
- Vehicle Value Protection(車の価値の保証):ローン契約期間の半分を過ぎた時点から、顧客は’Vehicle Value Protection’の権利を得る。これは、新たなGMの車を購入する場合に、中古車の市況の関係で残債が車の市場価格よりも多い場合、その差額を保証するもの。
“GM Total Confidence”プレスリリース
Ford プレスリリース
両社とも既に0%のローンキャンペーンに加え、激しい値引きを行っていましたが、今回はこれらに加えて購入者が職を失った場合の保証を追加しています。今回のプログラム導入の背景として、韓国のHyundai Motorが、自動車購入者が職を失った場合は、購入した車を返却する事ができると言うキャンペーンを今年1月から行っており、好評を得ている事がある様です。Hyundaiは、はげしく落ち込んでいる自動車市場の需要にも関わらず、2009年の最初の2月の間に5%売り上げを伸ばしています。今回のGMとFordのプログラムはそれに対抗する様な者です。
実際に、このプログラム適用の費用がどの程度になるのかは、現時点では分かりませんが、既に行っているインセンティブに加えて、新たな出費が増えるため、利益率を圧迫、または、赤字を拡大する事になるリスクが伴います。一方で、このプログラムはかなり顧客へのアピールはあると思います。在庫を処分する観点で見た場合、ある程度の追加出費は伴うものの、必要なことかもしれません。
ただし、これらのプログラムは中短期の売り上げには大きな効果があるかもしれませんが、長期の視点で見た場合、マイナス材料が多いと思います。現在の米国自動車メーカーの問題は、車自体の魅力ではなく、経済的な面での魅力に頼った販売を続けてきた事も大きな要因の一つだと思います。
正直なところ、政府からの資金援助を受けながら、この様なキャンペーンを延々と続け、さらに政府に資金を求める様なシナリオは、
昨日のオバマ政権の発表によりなくなったと考えられるので、政府の対応も適正だったのではと思っています。
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