2009年4月13日月曜日

Wells Fargo四半期黒字決算 前倒し発表の意図

Wells Fargo CFOのAtkins氏のCNBCのインタビューを一つ前のエントリーで取りあげました。今回の決算見込みの前倒し発表の理由について、Atkins氏は、「Wachovia買収後、初めての四半期決算となり、市場に対する重要さからも、できるだけ早く発表すべきと考えたため。」との主旨の発言をしています。実際、それが理由としてはあるとは思いますが、Wells Fargoの前倒し発表の意図について、個人的な考察と見解を以下に書きます。

Wells Fargo会長のRichard Kovacevich氏は、昨年10月に行われた政府の主要銀行に対するTARPの半強制的な融資に対して、非常に批判的な態度、発言をしています。特に、3月13日のスタンフォード大学において、Kovacevich氏の意見を明確にした発言はメディアでも大きく取り上げられました。ここでは、参考としてBloombergの記事を取り上げ、その中からのKovacevich氏の発言を引用します。(添付のKovacevich氏の写真もBloombergの記事から引用しています。)

“If we were not forced to take the TARP money, we would have been able to raise private capital at that time” and not needed to cut the dividend to preserve cash, he said.

「もし我々がTARPのお金を受け取る事を強制されなければ、我々は、その時点で、プライベート・キャピタルから資金を調達する事ができていただろう」、現金を確保するために、配当を削減する必要もなかったであろう、と語りました。(コメント:TARPよりも良い条件で融資を得られる事ができた、と言う意味が含まれます。)

<ストレステストに関して>

The “stress test,” designed to determine which of the 19 largest U.S. banks need more capital, provides opportunities for short-sellers to drive down bank stocks and can hurt confidence in the system even more, he said.

上記の様な、ストレステストについて株価とコンフィデンスに対して悪影響を与えるだけだ、と否定的な発言をしています。さらには、

“We do stress tests all the time on all of our portfolios,” Kovacevich said. “We share those stress tests with our regulators. It is absolutely asinine that somebody would announce we’re going to do stress tests for banks and we’ll give you the answer in 12 weeks.”

特に、"It is absolutely asinine, ...."のくだりですが、asinineは日本語では一般的に”浅はかな”, “愚かな”です。英語での意味は、"extremely stupid or foolish"で非常に強い否定的な言葉です。それにabsolutelyまで加えて発言しているので、本当に強い否定的な姿勢を示しています。かなり強烈な発言、言葉を使用したため、この"asinine"はBloomberg他、他のメディアでも多く取り上げられました。尚、このKovacevich氏の発言をWells Fargoは謝罪、撤回する意思を示していません。

関連記事:Wells Fargo Assails TARP, Calls Stress Test ‘Asinine’ (Bloomberg)

政府は、ストレステストの結果の発表を延期しています。現在の予定では、4月末までに発表される予定です。最近の政府の姿勢を見ると、ストレステストの公開内容について、政府の姿勢に変化が見られてきています。先週の金曜日にオバマ大統領はガイトナー氏、バーナンキ氏、他、この件に関する主要な人物と打ち合わせを行っています。恐らく、発表内容をどの様にするか、結果に対して政府が行うアクションについて等が、議題となったことと思います。発表の予定を延期したり、公開内容について明言しない等を考慮すると、ストレステストの結果が良くない、少なくとも一部の企業に対してはかなりまずいものになっている様に思います。

Wells Fargoの四半期決算の正式な予定は4月の22日です。22日だとストレステストの結果発表と日にあまり差がない事が考えられるため、少しでも早く非常に良い決算結果を発表して、ストレステストとその結果、または、政府のストレステストの方針に対して、牽制する意図がある様に思います。

また、Goldmanに関しても、14日の四半期決算の際にも、TARP返済のため新規株を発行して資金を調達する予定がある、との報道がWSJを始めとしてされています。

政府は、ストレステストについての内容やコメントを控える様に各企業に要請している様です。そのため直接的には、発言を控えているものの、事業内容、ファイナンスの状況が比較的良い会社による駆け引きが活発化してきている様に思います。Wellsの今回の前倒し発表もその様な駆け引き的な意図もある様に考えています。

尚、これは私の個人的な意見です。


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