2009年4月21日火曜日

4月20日の米国市場



<主要インデックスの終値>

DOW: 7,841.73 -289.60 (-3.56%)
Nasdaq: 1,608.21 -64.86 (-3.88%)
S&P500: 832.39 -37.21 (-4.28%)

本日は、朝に発表されたBank of Americaの決算結果から、金融機関のクレジット損失が大きく上昇している事、今後更に増える事への懸念等が高まり、市場のセンチメントにも大きく影響を与え、市場全体が大幅に下落しました。また、6週連続で大幅に上昇してきた事への調整的な反落も(当然)あると思います。S&P 500は、4%を上回る大幅な下落となりました。

Wall Street sinks on banks' woes

<本日の主なニュース>

Bank of Americaの第1四半期の結果は、純利益が28億1000万ドル、EPS44セントでした。昨年第1四半期は、10億2000万ドル、EPS23セントで利益は約倍増となりました。この結果は、China Construction Bankの株式の売却益19億ドルとMerrill Lynchのストラクチャード・ノートの22億ドルの収益を含んでいます。一時的な損益(と出費等)のアイテムを除いた場合、利益は一株あたり17セントでアナリスト予想平均の4セントを上回りました。

優先株の配当支払い前の場合、純利益は42億5000万ドルで、その収益の86%はMerrillの事業からのものとの事です。市場から注目を最も集めたのは、クレジットカードの事業で17億7000万ドルの損失となりました。

以下に添付のReutersの記事からのCEOのKen Lewis氏のコメントを引用します。

"Make no doubt about it, credit is bad, and we believe credit is going to get worse," Lewis said.

と語り、今後クレジットの損失が悪化しており、今後更に悪化することは確実(間違えない)との見方を示しました。

Bank of America net up, shares sink on bad loans


OracleがSunを買収することを発表しました。これについては、一つ前のエントリーを参照して下さい。


市場終了後にIBMとTIが四半期の決算を発表しました。

IBMの四半期の結果は、売り上げは217億1000万ドルで前年第1四半期に比べて11%減少しましたが、利益は1%減少に留まる23億ドルでした。また、一株あたりの利益は上昇し、EPS $1.70でした。グロスマージンは43.4%に上昇しています。IBMは、2009年の収益見込みについては一株あたり最低$9.20の見込みを維持しています。IBMの株価は発表後のアフターアワーズで2%程度下落して取引されています。

IBM revenue falls more than expected

TIが発表した四半期の結果は、1700万ドル、EPS1セントの黒字でした。昨年の第1四半期は、6億6200万ドル、EPS49セントの黒字だったので大幅な減益です。また、売り上げは36%減少し、20億9000万ドルでした。第2四半期の収益の見込みは、EPSで1セントから5セントの間を見込んでいることを明らかにしました。

尚、先々の見込みに関しては、CFOのMarch氏が以下の様に語り、非常に慎重な見方をしています。

"Frankly, when we look out at the macro economic environment it remains unclear what direction the economy wants to go in," he said, noting that there were no signs of improvement in markets such as automotive or industrial.

アフターアワーズで、TIの株は4%前後の上昇となりました。

TI Q1 revenue, Q2 outlook top estimates

<主なセクター・株の動き>

(ファイナンス)BAC 24.34%, C 19.45%, WFC 16.09%, JPM 10.73%の大幅な下落でした。GS 4.64%, MS 5.92%で相対的には下落幅は小さめでした。

(小売り)下落しています。特に目立ったのは、Targetで6.27%の下落でした。但し、Targetは先週かなり上昇したので、調整的な側面も大きいかと思います。

(住宅関連)先週大幅に上昇しましたが、今日は下落となりました。Lennarが18.63%で突出して下がっています。それ以外は10%以下のそれなりの下落でした。

(テクノロジー)  Sunが36.77%の大幅な上昇となりました。


<まとめ・コメント>

注目を集めていたBank of Americaの結果はアナリストの予想を上回る収益となりましたが、クレジット・ロスが急速に増えている事、本業の銀行業務の利益はそれ程でていないこと等、今後の収益に対して不安材料が残る内容でした。今後クレジットロスが更に増加する事はほぼ確実と見られており、それによって政府からの資金調達を余儀なくされる懸念が再び持ち上がってきている模様です。BACの株はこの6週間で4倍近く上がっており、今回の発表であれば今日の大幅下落はある意味致し方ない様に思います。

尚、クレジットロスに関しては、先週発表したCitiも同様の傾向にあり、こちらも本日大幅に下落しました。失業率の増加に伴い、クレジットカードや住宅ローンの返済に窮する消費者の数は増加の一途をたどっており、破綻件数の増加による市場への影響、金融機関の決算への影響は今後更に大きくなることはほぼ確実だと思います。

OracleのSun買収発表は衝撃的なものでした。Sunの株価は大幅な上昇となりました。買収側のOracleは下落していますが、私は別エントリーにも少し書きましたが、この2社の組み合わせはかなり強力で長期的には非常に良い組み合わせだと思っています。Ellison氏の手腕に期待しています。(多分、Ellison氏はハイレベルの方向性を示して、適切な人材に戦略を実行させると思います。)ある意味、この2社の組み合わせは、業界に対して非常に大きな変化を与える事になることと思っています。

市場終了後に発表されたIBMとTIの決算は両社とも予想通り(アナリスト予想ではなく)良いものでした。個人的には、特にIBMの結果は素晴らしいと思っています。売り上げは少し下がったものの、マージンは上昇し、収益はほぼ横ばいです。2009年の収益見込みをほぼ達成すると仮定した場合、P/Eは10倍程度で、アンダーバリュー気味です。一方のTIは、アナリスト予想の赤字に反しEPS1セントの黒字だった事、第2四半期の見込みもアナリスト予想以上だった事から、アフターアワーズで株価が上昇しました。はっきり言って、大幅な減益、売り上げ減、EPS1セントで今四半期もレンジの上限でEPS10セントの予想では、P/Eで見た場合、完全にオーバーバリューになっています。バリュエーションと今日のアフターアワーズの株価の反応を見た場合、IBMとTIはまったく対照的です。この様な非論理的なバリュエーションはハイテク株では日常的なので、個人的には冷めた目で見ています。

今日は大幅な下落となりましたが、ここ数週間の大幅な上昇はある意味ちょっと行き過ぎの傾向だったので、この程度の下落は調整的なものだと思います。重要な点は、市場のトレンドが転換を迎えつつあるのかどうなのかだと思っています。引き続き企業決算と市場の反応に注目して行きたいと思います。

明日はCaterpillarが市場開始前に決算を発表します。また、クレジットカード大手のCapital Oneが市場終了後に発表予定です。これらの2社のどちらかが思いの外悪い決算を発表すると市場への影響も大きいと思います。明日は、それ以外にも多くの会社が決算を発表する予定です。ここまでは、アナリスト予想よりも良い、予想した程悪くない、と言った結果が主でしたが、その状況が続くのか、それとも値がティプサプライズがあるのか、市場も注目しているところだと思います。


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